ロケット爆弾
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/08/02 06:21 UTC 版)
「大日本帝国海軍航空爆弾一覧」の記事における「ロケット爆弾」の解説
日本海軍ではロケットモーターを内蔵した爆弾を相当数量産した。これらは爆撃機編隊に対する空対空兵器、または艦艇に対する徹甲兵器として企図されたものである。三式二五番四号爆弾、三式六番二七号爆弾、ほか三式一番二八号爆弾などが実戦配備された。 制式名称重量説明三式二五番四号爆弾一型315kg 設計作業は1935年(昭和10年)にはじまり、1943年に生産開始した。全長1.9m、239.9mmと分厚い鍛鋼製弾頭を持つ徹甲爆弾である。発射時には推薬15kgを燃焼し、飛翔速度が約90m/sに達した。性能は125mm鋼板を貫通する。主な欠点は炸薬が九八式爆薬3.98kgと少ないことである。この炸薬の不足からか、敵艦に対する投入例はないとされる。 五式一番九号爆弾一型13kg 浮上した潜水艦に対して使用するために試作設計された。本爆弾は九八式爆薬0.9kgを内蔵し、約230m/sの速度で飛翔する。1944年(昭和19年)6月に試作、1945年に制式採用された。戦争末期に量産開始し、増加試作型100発を配備したが投入はされなかった。25mm厚の装甲を貫通可能である。 仮称五式六番九号爆弾84kg 試作設計された爆弾。浮上した潜水艦及び上陸用舟艇攻撃用。この爆弾は炸薬10kgを内蔵し、最大速度は200m/sである。推薬は10kgを充填した。基本構造は六番二七号爆弾を改良し、15mm装甲を貫通できるようにしたものである。頭部に整流環がついており、水中弾道が試験された。 三式六番二七号爆弾60kg 空対空爆撃用の九九式三番三号爆弾をロケット爆弾としたもの。大型のロケットモーターと九八式爆薬2.5kgの炸薬を内蔵する。2.5秒から10秒まで0.5秒間隔で遅延可能な機械式時限信管により発火した。ただし遅延中に直撃しても爆発する。安全装置が設けられており、解除には発射時の50Gの圧力と、高度5,000mならば200m/sの風圧、高度10,000mならば270m/sの風圧を必要とした。このロケット爆弾の最大速度は270m/sであり、弾頭に発火すれば、黄燐4kgを使用した135個の弾子を60度の束稟角(円錐状の範囲)で射出する。1944年1月に開発開始、1945年2月に制式採用。芙蓉部隊では試作型の十八試六番二七号爆弾を1945年(昭和20年)7月4日の夜間空戦に投入した。重量69kg、全長1360mm、弾子135個内蔵。5日未明、P-61に対し発射、戦果不詳。 三式一番二八号爆弾一型7.65kg 戦闘機の主翼に吊下するよう試作設計された対航空機用のロケット爆弾で、九八式爆薬0.580kgを充填した弾頭を持つ。1944年末に試験を完了し制式化された。二七号及び二八号は総計約5,000発が製造された。このロケット弾は1.87kgの推薬を装備し、最大速度は400m/sである。射程500mでの半数必中界は9mだった。発射後5秒で自爆する。対空用であるが1945年(昭和20年)6月には戦闘901飛行隊が対地・対艦用にも用い、命中精度は良好だった。芙蓉部隊では対潜用に改造された二八号爆弾が使用された。全長72cm、全備弾量14.5kg、炸薬850g。最大速度230m/s、散布界は射程200mで1m程度。夜間攻撃に投入。
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