レルシュタープの詩による歌曲(7 Lieder nach Gedichten von Ludwig Rellstab)
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「白鳥の歌 (シューベルト)」の記事における「レルシュタープの詩による歌曲(7 Lieder nach Gedichten von Ludwig Rellstab)」の解説
全体として抒情性が基調となっている。 第1曲「愛の使い」(Liebesbotschaft) ト長調、4分の4拍子 旅をしている若者が、遠く離れた故郷にいる恋人に、「もうすぐ帰るから心配しないで」という一言を、流れる小川に託する、という愛の歌である。曲は小川の流れを模した16分音符の伴奏で始まり、美しいレガートで恋人への想いが歌われる。 第2曲「兵士の予感」(Kriegers Ahnung) ハ短調、4分の3拍子 「兵士の憩い」と訳されることもあるが、“Ahnung”は「予感」の意である。故郷から遠く離れた戦場にある兵士が、故郷の恋人を思う歌である。 第3曲「春の憧れ」(Frühlingssehnsucht) ト長調、4分の2拍子 心を騒がす春に対する憧れを歌った歌曲。 第4曲「セレナーデ」(Ständchen) ニ短調、4分の3拍子 シューベルトの歌曲の中で最も有名なものの一つ。恋人に対する切々たる思いを、マンドリンを模した伴奏の上に歌いあげる。 第5曲「住処」(Aufenthalt) ホ短調、4分の2拍子 “Aufenthalt”という題はドイツ語のhalt(止まる)からきた言葉で、「滞在地」という意味である。よく「わが宿」、「仮の宿」という訳題が与えられている。流れる河、ざわめく森、寂しい野こそが私の居るべき場所である、というさすらい人の厳しい心情を歌った曲である。 第6曲「遠国にて/はるかな土地で/遠い地にて」(In der Ferne) ロ短調、4分の3拍子 故郷も家族も一切捨てて世俗から逃れようとする男の姿を描く。バリトン歌手ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウは、この歌曲の基本思想は『冬の旅』の諸曲から生まれ出たものであると評する。 第7曲「別れ」(Abschied) 変ホ長調、4分の4拍子 故郷に別れを告げて新天地に赴く主人公を乗せた馬車を表現している。その別れは暗いものではなく、基本的には心機一転の境地を表現した明るい意味合いでのものであるが、6度にわたって繰り返される訣別の言葉は、むしろ別れに対する未練を表現している。 レルシュタープの詩による歌曲の順序は原詩の通りに並んでいるが、国際フランツ・シューベルト協会代表を務めた實吉晴夫は、この曲はシューベルトがレルシュタープの詩と訣別する意味の曲であるという説を提唱している。 第8曲となる予定だった「生きる勇気」(Lebensmut) D937は変ロ長調、4分の3拍子で、24小節までのスケッチが残されている。
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