ルーシーダットン商標登録事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/23 08:20 UTC 版)
「ルーシーダットン」の記事における「ルーシーダットン商標登録事件」の解説
ルーシーダットンの普及を目的とする特定非営利法人(NPO法人)「日本ルーシーダットン普及連盟」(東京都渋谷区、現・株式会社ルーシーダットン)の代表で、ワット・ポー伝統医学校の卒業生である古谷暢基は、2006年の普及活動開始当初に、個人で「ルーシーダットン」の名称を日本特許庁に商標登録した。具体的には「タイ式ヨガの教授、タイ式ヨガをテーマにしたイベントの企画・運営又は開催、タイ式ヨガに関する設備の提供又はこれに関する情報の提供、タイ式ヨガ道場の提供」を独占的に行う権利が要求され、また別に印刷物(新聞、雑誌)に対しても同様の出願がなされた。これに対し、タイの政府関係者はタイ知的財産局がタイの知財だとして異議を申し立て、日本政府に対して登録の取り消しを求めた。この事件は日本ではさほど話題にならなかったが、タイでは新聞の第1面に関連する記事が掲載されるなど、ある程度話題となった。新聞記事でには、保健大臣の「我々はこの事態を放置することはできない。なぜなら、皆、Rusie Dut Ton がタイ人のものだと知っている。そしてそれはラーマ1世の時代からそうなのだから」という言葉が掲載された。 事の重大性から日本の特許庁ではタスクフォースを作り、無効審判をかけることになった。2007年に商標登録は取り消された。タイ側の主張に対して、古谷は次のように反論している。(小木曽航平による要約) ルーシーダットンは本国タイにおいても限られた地域のものが知っている程度で、タイ全国的に周知の語ではない。さらには、日本でルーシーダットンがタイの伝統医学知識で、健康法を意味することなどは知られていない。 商標権者(古谷)は、2003年頃から現在まで100以上の講座を設置、数百人のインストラクターを養成してきた。2005年4月から日本初の「日本ルーシーダットン普及連盟」を主催し、ルーシーダットンの普及に努めてきた。 日本ルーシーダットン普及連盟は、「ルーシーダットンは本国タイランドでも深淵を学ぶことが困難」であるために、商標登録については「目的は独占にあらず、『日本におけるルーシーダットン黎明期において、正当なるルーシーダットンの型と方法を広める為の一時的な“奇策”』」であるとしている。そして商標登録取り消しの決定について、当連盟による日本でのルーシーダットンの普及、マスコミへの露出、勢力等が十分となり、当連盟により日本のルーシーダットンのスタンダードの礎が完成されたとし、商標活用目的はほぼ達成したため、登録商標を開放すると宣言している。(実際は、商標の開放ではなく取り消しである。) 事件を受けてタイでは「局は法整備の遅れが‘海賊行為’を許したことを認める」という新聞記事が掲載され、このような事態を招いた法整備の不備が指摘され、タイの財産であるはずの「土地の知恵」をいかに外国の「権利侵害」から守るかという議論があった。 小木曽航平は、「取消の理由は何より、日本の特許庁がルーシーダットンをタイに固有な文化として認めて、タイの国民感情に配慮した道徳的な判断と、日本とタイとの国際関係を意識した政治的な判断であったといえるだろう。」と述べている。 2007年には、日本ルーシーダットン普及連盟は株式会社ルーシーダットンと名前を変え、「日本ルーシーダットン普及連盟」の商標登録を試みたが、認められなかった。
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