ミルフィーユ
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ミルフィーユ、ミルフイユ[1]、ミルフォイユ[2][3](フランス語: mille-feuille、millefeuille フランス語発音: [milfœj][1][4])は、フランス発祥の菓子の一種。
本項では以下「ミルフィーユ」と記述する。
概要
ラルース百科事典では、「パート・フィユテをきれいに重ね、キルシュヴァッサー、ラム酒、またはバニラで香りづけしたカスタードクリームを挟み、粉砂糖かフォンダンで覆ったケーキ」とミルフィーユを説明している[2]。
歴史ある菓子であり、形状や製法も様々なものがあるが、現代では3枚のフィユタージュまたはパート・フィユテと呼ばれるパイ生地にクリームをはさみ、表面に粉砂糖がまぶされたもの、あるいは糖衣がけされているものが基本とされている[要出典]。
フランス語で「mille」は「1000」、「feuille」は「葉」の複数形、mille-feuilleを直訳すると「1000の葉」という意味になる[2][3]。なお、日本語風に「ミルフィーユ」と発音するとmille-filleと聞こえることもあり、「1000人の娘」の意味に取られる[2][3]。
ミルフィーユに使用されるパート・フィユテはデトランプと呼ばれる小麦粉の生地でバターを包んだものであるが、これを3つ折りにする[2]。3つ折りにする作業を6回行うので、仕上がりは3の6乗で729層になる[2]。折り重なった生地を焼くと、生地の間のバターが溶けて水蒸気が出ることで層が持ち上がって、サクサクとした薄い生地の層が出来上がる[2]。この様子を「1000枚の葉」と例えたのである[2]。
一般的な種類

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- ミルフィーユ・ロン (mille-feuille rond)
- 丸い形状のミルフィーユ。側面にはカスタードクリームを塗り刻んだフィユタージュをまぶし、上面に粉砂糖をまぶしたもの。
- ミルフィーユ・グラッセ (mille-feuille glacé)
- 糖衣がけにしたミルフィーユ。チョコレートで矢羽模様などを描き飾りとしているもの。
- ミルフィーユ・ブラン (mille-feuille blanc)
- 3枚のフィユタージュ生地を用いる代わりに、中央の1枚をスポンジケーキ(ビスキュイあるいはジュノワーズ)に置き換えたもの。
- ミルフィーユ・オ・フレーズ (mille-feuille aux fraises)
- 苺のミルフィーユ。ナポレオン・パイとも言われる。クリームだけでなく苺も挟みこんだもので、冷やして供される。
ミルフィーユに用いられるクリームとしてはカスタードクリームがよく知られているが、生クリームやバタークリームなども広く用いられている。またクリーム以外にも、アプリコットジャムやリンゴのコンポートなどが使われる場合もある。
パイ菓子以外のミルフィーユ
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薄切りの肉・魚や野菜を何層にも重ねた料理をミルフィーユまたはミルフィーユ仕立てと呼ぶことがある。
歴史
偉大なる古典といわれる菓子であり、1807年にはフランスの『食通年鑑』(Almanach des Gourmands) の食味鑑定委員会がミルフィーユを鑑定している。創造者は同時代の著名な菓子職人であり料理人であったアントナン・カレーム (Antonin Carême) だとも言われているが、彼自身も「起源は古いもの」と表現していた。一説によれば、アラブの古い菓子である「パータ・フィロ」が、7~8世紀のヨーロッパ侵攻の際フランスへ伝わり、その後いまの形まで進化した説、17世紀に画家として名を成したクロード・ロランが見習いパティシエであった頃考案したとの説、同じく17世紀にコンデ公のお抱え菓子職人フィエ (Feuillet) が考案したとの説もある[5]。また、古代ローマ時代には薄いケーキやシートを蜂蜜とクリームまたはソフトチーズと一緒に重ね合わせたお菓子が存在し、現在のミルフィーユの遠い先駆けとも言える。
初期のミルフィーユは上面にするフィユタージュ生地に卵を塗り、粉砂糖をふりかけオーブンで焼き、表面をカラメル化するといった仕上げ方だったとも言われている。現代の製法に見られるような、上面への糖衣がけは1822年頃になって用いられ始めたもので、今日に至るまで職人が様々に工夫を凝らし続けている菓子でもある。
今日の形式のミルフィーユは、1867年にパリ7区バック通りに店を構えていた菓子職人アドルフ・スニョン(Adolphe Seugnot、アドルフ・セニョとも)が仕上げたとする説は、信憑性が高いとされている[2]。
ナポレオン(パイ)
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日本では苺のミルフィーユを指して「ナポレオン」と呼ぶが、海外では「ナポレオン」を通常のミルフィーユの名称として使う。
- 例:フランス (Napoleon)、ロシア (Наполеон)、オーストリア (napoleon slice)、ポーランド (napoleonka)、スウェーデン (Napoleonbakelse)、香港(広東語拿破侖)、イラン(ペルシア語شیرینی ناپلئونی Nâpel'oni)等
語源は、アントナン・カレームが元はイタリアの都市であるナポリのパティシエにこのお菓子の開発を任せ、1800年代初頭に普及させたとされ、ナポリタンと称していたのが、フランスの皇帝として活躍したナポレオン・ボナパルトを連想させ、転じて広まったと考えられる[6]。
日本における苺のミルフィーユ「ナポレオン」の名前の由来が、苺がナポレオンの帽子の形に似ている等という説は、あとから当てはめられたもので、そもそもミルフィーユ=ナポレオンなのである。チェリーを用いたミルフィーユが「ナポレオンパイ」として最初は作られたのだが、サクランボは採れる時期が限られるため苺で代用し年間を通して提供できるようになり、今日ではナポレオンパイは苺、サクランボはチェリーパイと称するのが一般的である。
日本での広まり
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幕末から明治にかけて、フランス人のサミュエル・ペールが横浜で洋菓子店を営んでおり、ミルフィーユが日本に伝わったのはその当時ではないかと考えられている。1870年(明治3年)[年号要検証]、御所の饗宴用フランス菓子御用として出仕し、サミュエル・ペールの元で在官のままフランス菓子製造技術を学んだ村上光保が1874年(明治7年)にフランス菓子の製造と仕出しを行う村上開新堂を開業しており、同店では明治の後期にフランスの製法を研究し「ミルフェ」という商品名で販売も行っていた。
千葉県とミルフィーユ
ミルフイユが「千枚の葉」を意味することから、千葉県ではオランダ家と地元ラジオ局 bayfmと共同開発した「千葉ミルフィーユ」というお菓子が作られたり[7][8]、施設に「ミルフィーユ」と名付けるなど、県名との類似を利用し地域振興につなげようとする試みもなされている。
なお、「千葉ミルフィーユ」は2019年3月をもって販売を終了した。
食べ方
ミルフィーユが立った状態で提供された場合、そのままナイフを入れると側面からクリームがはみ出してくることになる[9][10]。そのため、ナイフとフォーク(またはスプーン)を使って手前に横倒しにして、ステーキ同様に左側から切り分けて食べる[9][10]。
参考文献
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出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。
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- プロスペル・モンタニェ著『ラルース料理百科事典 4』三洋出版貿易
- W・J・ファンス編 辻静雄訳『現代洋菓子全書』三洋出版貿易
- イヴ・チュリエ著 千石玲子、千石禎子訳『フランス菓子百科 1』白水社
- 池田文痴菴編著『日本洋菓子史』日本洋菓子協会
- 静雄著『フランス料理を築いた人びと』鎌倉書房 ISBN 4-308-00107-2
- 吉田菊次郎著『洋菓子事典』主婦の友社 ISBN 4-07-933424-9
- 吉田菊次郎著『洋菓子の世界史』製菓実験社
- ニナ・バルビエ、エマニュエル・ペレ共著 北代美和子訳『名前が語る お菓子の歴史』 白水社 ISBN 4-560-03991-7
出典
- ^ a b 三省堂『クラウン仏和辞典』
- ^ a b c d e f g h i 山本ゆりこ「ミル・フォイユ」『フランス伝統菓子図鑑お菓子の由来と作り方: 定番菓子から地方菓子まで132種を網羅した決定版』誠文堂新光社、2019年、25頁。ISBN 978-4416519646。
- ^ a b c 「日本だと「ミルフィーユ」って言うけど違うの?」『日本人が知りたいフランス人の当たり前』三修社、2016年、26-27頁。 ISBN 978-4384058536。
- ^ mille-feuille - Forvoによる発音例
- ^ 大森由紀子『フランス菓子図鑑 お菓子の名前と由来』19頁 世界文化社
- ^ Food Timeline, on the origin of the name Napoleon
- ^ 「ウチくる!? - #464 森田健作(千葉)2009年5月24日OA」 フジテレビ、2016年6月29日閲覧。
- ^ 「千葉ミルフィーユ~苺ミルクチョコ~」 オランダ家、2016年6月29日閲覧。
- ^ a b 「ミルフィーユ」『専門店で聞いた 本当においしい食べ方』彩図社、2013年、138-139頁。 ISBN 978-4801306653。
- ^ a b 「ミルフィーユ」『イラストでよくわかる きれいな食べ方』彩図社、2012年、85頁。 ISBN 978-4883928774。
関連項目
外部リンク
ミル・フィーユ
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ナビゲーションに移動 検索に移動ミル・フィーユ | |
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本名 | 不明 |
生誕 | 不明 岡山県 |
職業 | 漫画家 |
公式サイト | ミル家の大将[リンク切れ] |
ミル・フィーユ(生年月日不詳)は、日本の漫画家。男性。岡山県出身[1]。主に成年向け漫画雑誌で活動。以前のペンネームはミルフィーユ。
来歴・人物
ヒット出版社の『D-ANGE』にて漫画家デビュー。過去にエンジェル出版の『ANGEL倶楽部』等で連載。2013年現在ではティーアイネットの『COMIC MUJIN』に作品が連載されている。
2006年に名前をそれまでのミルフィーユからミル・フィーユに変更。その理由について「元々適当に付けたもので、もっと人の名前らしいものにすれば良かったと後悔していたが、今更大幅に変えても損なので『・』だけ入れることにした」とブログで語っている[2]。
カラーページやスクリーントーンなどの作画はコンピュータを使わず、アナログで行うこだわりを持つ。単行本のあとがきで「この方が絵を描いているって気持ちになれるんだ」と、その理由を述べている[3]。
名前の由来は、性的な物は粗悪と、妄想さえも厳しく抑えられて育った少年時代に、密かに庭の何枚もの葉っぱに書き残した女子に対する夢を、大人になってから漫画にしたことにより、『ミル・フィーユ(千枚の葉)』というペンネームにした。などと供述している
作品リスト
単行本
6冊目単行本『世の中あざやか』までは「ミルフィーユ」名義、7冊目単行本『夢に見たまま』以降は「ミル・フィーユ」名義。
- 成年向け
- 『ここちよい重さ』 2000年10月 ヒット出版社(セラフィンコミックス) ISBN 4-89465-135-1(
ISBN 978-4-8946-5135-7)
- 綾花先生の香り
- 新感覚!
- かおり先生といっしょに
- アダルト・コーナー
- さやか
- 桃子
- すばらしき実果子
- すばらしき実果子 その2
- ここちよい日常
- 『量感志向』 2001年10月 エンジェル出版(エンジェルコミックス)
ISBN 4-87306-116-4(
ISBN 978-4-8730-6116-0)
- ノリコ愛してる
- 水野くんの部屋
- 高嶺ちゃんが持ってる
- 純くん大歓迎 その1
- 純くん大歓迎 その2
- 不思議先生
- 悪友天使
- 大切な時間
- 『想像以上にたっぷり』 2003年1月 エンジェル出版(エンジェルコミックス)
ISBN 4-87306-157-1(
ISBN 978-4-8730-6157-3)
- 夢子の世界
- 純くん大歓迎 その3
- 純くん大歓迎 その4
- 純くん大歓迎 番外編 悪魔大歓迎
- Millefeuille Color Collection
- あなたのヤエコ 前編
- あなたのヤエコ 後編
- あずみのたからもの
- 共に歩もう
- 『思った以上の反応』 2004年1月16日 エンジェル出版(エンジェルコミックス)
ISBN 4-87306-180-6(
ISBN 978-4-8730-6180-1)
- マチコはいい女
- ふーちゃんタイフーン
- 我が家の場合 前編
- 我が家の場合 後編
- 舞姉ちゃん以外考えられない
- 五十嵐さんの青春 その1
- 五十嵐さんの青春 その2
- のどかさんに会いたい
- 『生まれてはじめて』 2005年1月18日 エンジェル出版(エンジェルコミックス)
ISBN 4-87306-202-0(
ISBN 978-4-8730-6202-0)
- 呪いあざやか 第1話 いくらでも出る!
- 呪いあざやか 第2話 淑女番長
- 呪いあざやか 第3話 年上の妹
- 輝く母
- 運命の目利き
- 五十嵐さんの青春 妄想編
- 五十嵐さんの青春 その3
- 五十嵐さんの青春 その4
- 『世の中あざやか』 2005年12月 エンジェル出版(エンジェルコミックス)
ISBN 4-87306-228-4(
ISBN 978-4-8730-6228-0)
- サキスパーク
- 彼も童貞 我も童貞
- おなかの中のもやもや
- 呪いあざやか 特別編 呪いファイル
- 呪いあざやか 第4話 伝説のフルコース
- 呪いあざやか 第5話 共鳴 前編
- 呪いあざやか 第6話 共鳴 後編
- 呪いあざやか 別腹
- 『夢に見たまま』 2008年7月4日[4] ティーアイネット(MUJIN COMICS)
ISBN 978-4-8877-4265-9
- 吉野姫
- 吉野女王
- サキ・スパーク2
- 想太観察日記 その1
- 想太観察日記 その2
- 想太観察日記 その3
- 想太観察日記 その4
- 割り込みさん
- 幸せな困難
- 桃香さんの全盛期
- 『覚えたて』 2009年6月5日[5] ティーアイネット(MUJIN COMICS)
ISBN 978-4-8877-4307-6
- 吉野姫 -教師編-
- 何の変哲も無い二人
- 何の変哲も無い二人 その2
- ふたりめのヒト
- 花村計画
- 理想の童貞卒業
- 呪いあざやか
- 少女小梅
- 初体験やり直し
- 『情熱満ち満ち』 2011年6月3日[6] ティーアイネット(MUJIN COMICS)
ISBN 978-4-88774-393-9
- マコは元気にやってます
- マコは元気にやってます2
- 収穫姫
- 吉野姫 -教師編-
- 独占スペース
- 独占スペース -番外編-
- 呪いまろやか
- 『満タンこぼれぎみ』 2013年12月6日[7] ティーアイネット(MUJIN COMICS)
ISBN 978-4-88774-503-2
- 吉野姫教師編3
- 揺れる生活
- よくできた妹来訪
- 呪いまろやか その2
- キラキラ真田先生
- あけび冬支度
- 『ガマンできない期間』 2014年3月10日[8] 久保書店(ワールドコミックスMAX)
ISBN 978-4-76592-563-1
- 絶版となっている『ここちよい重さ』から『世の中あざやか』までの自選集。
- 『もっちもちハートプレス』 2016年11月25日[9] ジーオーティー(GOT COMICS)
ISBN 978-4-81480-007-0
- 突風のお手伝いさん
- 花の魔緒先生
- 花の魔緒先生 花の密会編
- ドズケベいとこがやってきた
- 男の子にはご褒美
- こたえてあげたい
- 射精アルバム 前編
- 射精アルバム 後編
- マリコさんの本気
- あとがき
脚注
出典
- ^ 『ここちよい重さ』ヒット出版社、161頁。
- ^ “ミル家の大将 単行本” (2008年1月29日). 2010年5月22日閲覧。[リンク切れ]
- ^ 『覚えたて』ティーアイネット、203頁。「あとがき」
- ^ “夢に見たまま”. MUJIN Official. 2022年3月10日閲覧。
- ^ “覚えたて”. MUJIN Official. 2022年3月11日閲覧。
- ^ “情熱満ち満ち”. MUJIN Official. 2022年3月11日閲覧。
- ^ “満タンこぼれぎみ”. MUJIN Official. 2022年3月11日閲覧。
- ^ “満タンこぼれぎみ”. MUJIN Official. 2022年3月11日閲覧。
- ^ “もっちもちハートプレス”. GOT COMICS. 2022年3月11日閲覧。
関連項目
外部リンク
ミルフィーユ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/18 21:25 UTC 版)
「ヴァレンタイン (ギルティギア)」の記事における「ミルフィーユ」の解説
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