マンチカン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/21 10:34 UTC 版)
マンチカン | |
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原産国 | ![]() |
起源 | 突然変異種 |
体形 | セミフォーリン |
平均体重 | ![]() ![]() |
各団体による猫種のスタンダード | |
TICA | スタンダード |
マンチカン (Munchkin) は、北アメリカに起源を有する猫の一品種。マンチキンと呼ばれることもある。犬種のダックスフントやコーギーを思わせる全身[1]、短い脚を特徴とする[2][注釈 1]。この猫は、その特殊性から長年にわたり論争の的となってきた[4]。
歴史
マンチカンという猫種の歴史は他猫種に比すれば浅いものの、突然変異体としての「短足猫」の存在は古くから確認されてきた。20世紀の記録としては、イギリスのある獣医師による極めて健康的な個体の発見(1944年)、ソビエト連邦のスターリングラード(現代での名称はヴォルゴグラード)における発見(1956年)、米国のニューイングランドにおける発見(1970年)、そしてこの品種の直接の起源にあたる、1980年代における米国ルイジアナ州での報告などが挙げられる[5]。
本格的な繁殖が始まったのは、1983年に米国ルイジアナ州で突然変異の短足猫が発見されてからである[4]。トラックの下で暮らしていたその猫は保護され、さまざまな研究対象となり、遺伝学上の検査結果、健康体であることが確かめられた。以降、通常の脚を有する個体との交配を試みたところ、同様の短い脚を持つ子猫が誕生したのである[6]。
やがてブリーダー主導による突然変異体を用いた異種交配の計画が始まり、これが論争を巻き起こした[4]。交配を積極的に肯定する陣営と、遺伝的な異常であるからして公認は避けるべきとする陣営との衝突であった[6]。
1980年代から北アメリカの地にて繁殖が続けられた末に、1995年、ザ・インターナショナル・キャット・アソシエーション(TICA)から新種として認定された[2]。
特色
ブルース・フォーグルは、「普通の猫と根本的に異なった構造を持つ猫であることは否定できない」とする[2]。その名の由来は餓鬼や小鬼のような存在を指す英語「マンチキン(Munchkin)」の同一語句にあり[7]、最も顕著な特色は短い四肢である[1]。
この目立って短いマンチカンの脚は、常染色体に自然発生的に現出した優性突然変異によって生まれたものである[6]。
脚の短さが日常生活に支障を及ぼすことはない[8][9]。普通の猫のようにジャンプすることができ、木に登ることもできる[9]。ただ、後ろ脚の短さから跳躍力は制限される[10]。同様の短脚を持つダックスフントという犬種は脊椎の骨格に問題を抱えているが、マンチカンに同様の問題が存在することを示す証拠は見つかっていない[10]。初期には研究者から脊椎の構造的な欠陥を指摘する声もあり、1995年に初めて公認されるまでには10年以上を要したが、最終的にはその指摘は否定された[7]。
交配の歴史において、ありとあらゆる猫種を相手にしてきたため、頭の形から被毛の色まであらゆる種類のものが存在している。ペルシャと交配させたブリーダーもいれば、シャムやアビシニアンとの掛け合わせを行っているブリーダーもおり[10]、更にはデボンレックスのような縮れ毛や、アメリカンカールのような屈曲した耳を持つマンチカンの作出の事例も報告されている[2]。
体長よりやや短い、動作豊かな尻尾を持つ[9]。片足をもう一方の足と同じ直線上に置きつつ、尻尾を直立させたうえで腰を振りながら歩くという、ファッションショーにおけるファッションモデルの「キャットウォーク」を想起させるような風変わりな歩き方をする[6]。
足の短さが手伝ってか、前足を上げて後ろ足だけで立ち上がることもあり、一般に「マンチカン立ち」とも呼ばれる。
雑種認定
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この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2010年6月)
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マンチカンの繁殖が日本でも見られるようになったが、TICAは他の純血種との交配を認めていない。TICAはマンチカン同士、もしくは雑種との交配を公認している。これは遺伝子プールを広げるためと規定されており、純血種との交配を認めていないのは、雑種に比べ純血種に多い遺伝病の因子の危険を回避し、他の猫種の骨格に関しての遺伝因子と交雑する目的がある。
こういった経緯からTICAは、自らの主催する「キャットショー(猫展覧会)において」マンチカンの出場条件に「耳が立っていること」という条項を設けている。これは折れ耳を特色とするスコティッシュフォールドおよびアメリカンカールという純血種との交配をそもそも認めていないからである。
日本の一部のペットショップやブリーダーにはスコティッシュフォールドとマンチカンを交配させてスコマンチや耳折れマンチカンなどという名前で販売しているが、そのような品種をTICAは公認しておらず、ほとんどの血統登録団体がそのような交配を推奨していない。
現在マンチカンとの交配によってグローバルに公認されるのは、ペルシャ系の猫と交配させた「ミヌエット」のみである。
一部の日本国内の血統登録団体は巻き毛のラパーマ、セルカークレックスと交配させた「スクーカム」、「ラムキン」、ヘアレスのスフィンクスと交配させた「バンビーノ」、反り耳のアメリカンカールと交配させた「キンカロー」など公認しているが、国外では公認されていない。
ギャラリー
脚注
注釈
出典
- ^ a b ベスト猫カタログ、p. 114:マンチカン>『コート』/『体型』/『発生国』
- ^ a b c d 新猫種大図鑑、p. 124:イエネコの種類>短毛種>マンチカン
- ^ 長谷川諒『いちばんよくわかる猫種図鑑 日本と世界の60種』メイツ出版、2022年、135頁。ISBN 978-4-7804-2570-3。
- ^ a b c 新猫種大図鑑、p. 213:イエネコの種類>長毛種>アメリカン・カール/マンチカン
- ^ ザ・インターナショナル・キャット・アソシエーション:マンチカン
- ^ a b c d 世界のネコたち、p. 107:ネコたちのプロフィール>マンチカン
- ^ a b 日本と世界の猫のカタログ '2002、p. 115
- ^ 世界の猫カタログ、p. 115:マンチカン>『DATA』/『体型』/『四肢』/『尾』/『歴史』/『特徴と性格』
- ^ a b c ベスト猫カタログ、p. 115:マンチカン>『特徴・性格』/『毛色』/『ワンポイント』
- ^ a b c 猫のすべてがわかる本、p. 168:品種ガイド>マンチキン
参考文献
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出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。
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- ブルース・フォーグル『新猫種大図鑑』ペットライフ社、2006年。 ISBN 4938396661。
- 佐藤弥生/山崎哲『世界の猫カタログ』新星出版社、1998年。 ISBN 440510641X。
- グロリア・スティーブンス、山崎哲『世界のネコたち』山と溪谷社、2000年。 ISBN 463559615X。
- 写真:山崎哲、監修:小島正記『日本と世界の猫のカタログ '95』成美堂出版、1994年。 ISBN 4415040233。
- 写真:山崎哲 監修:小島正記『日本と世界の猫のカタログ '96』成美堂出版、1995年。 ISBN 4415040829。
- 写真:山崎哲 監修:小島正記『日本と世界の猫のカタログ 2002』成美堂出版、2001年。 ISBN 4415096484。
- スージー・ペイジ『猫のすべてがわかる本』ベストセラーズ、1998年。 ISBN 458416231X。
- キャッツワールド編集部『ベスト猫カタログ』誠文堂新光社、2009年。 ISBN 441670920X。
関連項目
- ダックスフント
- ポコポッテイト - 幼児向け番組「おかあさんといっしょ」内で放送していた人形劇。マンチカンの女の子であるミーニャがメインキャラとして登場している。
- 夜は猫といっしょ - キュルZによる実体験ベースの猫漫画。メインキャラクターの猫は長足のマンチカンである。
マンチカン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/20 15:56 UTC 版)
「クレムリン (漫画)」の記事における「マンチカン」の解説
足が短い品種の猫。そのことをものすごく気にしていて、初対面で関羽に足が短いと言われ泣く。足を伸ばそうとさまざまな努力をしてきたことを告白する。また、足の長さに執着するのは、周りの猫にいじめられるからであることも後に明らかになっている。
※この「マンチカン」の解説は、「クレムリン (漫画)」の解説の一部です。
「マンチカン」を含む「クレムリン (漫画)」の記事については、「クレムリン (漫画)」の概要を参照ください。
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