プロパガンダ批判と肯定的評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/16 17:45 UTC 版)
「キム・ウンソン&キム・ソギョン」の記事における「プロパガンダ批判と肯定的評価」の解説
戦争画に代表されるような「プロパガンダ芸術」という言葉があるように、芸術はプロパガンダになりえるがプロパガンダ自体は芸術ではない。しかしながら2019年に愛知県で開催された国際展「あいちトリエンナーレ2019」で出品された慰安婦像は、日本においては与党の自民党の保守系議員でつくる「日本の尊厳と国益を護る会」や、経済評論家の池田信夫らから「韓国政府の政治的なプロパガンダ」と認知され、新世紀エヴァンゲリオンなどで知られるアニメーター貞本義行からは「キッタネー少女像<中略>現代アートに求められる面白さ!美しさ!驚き!心地よさ!知的刺激性が皆無で低俗なウンザリしかない」と批判され、日本国民から「大至急撤去しろや、さもなくば、うちらネットワーク民がガソリン携行缶持って館へおじゃますんで」と展覧会へ脅迫のファックスを送られるなど物議を醸した。 フランスのポストモダン哲学の思想が色濃い日本のコンテンポラリー・アート業界でもこのような「広いテーマ」を論じるような流れからか、あいちトリエンナーレ2019での平和の少女像を含む展覧会が右派の政治家や一般市民からの圧力による閉鎖後に、アーティストの加藤翼と毒山凡太朗から「サナトリウム」というニュートラルな対話の場所が2019年8月25日に設けられた。加藤らはサナトリウムを「アーティスト主導で公-パブリックに対し連帯を訴えかけていくためのプラットホーム」と定義し、8月25日の公開イベントに差別団体も受け入れた対話の場を開いている。キム・ウンソン&キム・ソギョンの制作した「平和の少女像」について、元Art Asia Pacific誌副編集長のアンドリュー・マークルは現代美術雑誌「frieze」web版にて、「平和の少女像を含む展示が閉鎖に追い込まれることによって日本の右派政治による単一の資本主義的な問題が呈され結果的に展覧会の強度が増している」と述べている。また元ジャーナリストのタチョ・ベネットがバルセロナに開館予定の「Freedom museum(自由の博物館)」に展示するために、アイ・ウェイウェイやデイビット・ウォジナロビッチらの作品と共に平和の少女像を購入している。キム・ウンソン&キム・ソギョンのような制作活動は、西洋圏での認知は「1970年代に出現したコンセプチュアルなプロセス・アートの様式に属し、なおかつ社会的相互行為(ソーシャル・インタラクション)なしに成立しないものであるソーシャリー・エンゲイジド・アートである」と主張されている。
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