プログラムの特色
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 13:42 UTC 版)
「ランド研究所政策大学院」の記事における「プログラムの特色」の解説
PRGSは、米国の主要な公共政策の大学院の中で、Ph.D.に特化した唯一のプログラムである。他の政策系大学院は博士課程とともに、修士課程のプログラムを持っている。また、PRGSは、シンクタンクに設置されている唯一のプログラムでもある。ランド研究所は、政策研究における多くの分析手法を生み出してきている米国の最大のシンクタンクの1つである。 中心となるカリキュラムは、ミクロ経済学、統計学、計量経済学、社会・行動科学、オペレーションズ・リサーチなどである。卒業するためには、これらのコースワークの単位を取ることに加え、1年目の終わりの夏にある博士資格試験(qualifying examinations)に合格し、更に2年から4年かけて博士論文を仕上げること、更に、ランド研究所のプロジェクトに、最低400日以上勤務することが必要とされている。 ランド研究所は米国で第2の規模のシンクタンクであるブルッキングス研究所の4倍の規模を持っている。ランド研究所は、伝統的に国際安全保障における研究が有名であるが、現在では、研究内容は多角化してきており、教育、科学技術、安全、公衆衛生、労働・人口、ドラッグ、青少年政策、ホームランド・セキュリティ、環境、エネルギーにおける研究も広く実施している。常に500以上のプロジェクトが進行中であり、PRGSの学生は、後述するように、これらの政策研究プロジェクトに参加することになる。フルタイムの研究者は600名以上いる。 PRGSのプログラムは、米国の大学院教育における欠点、すなわち、ディシプリンを超えて創造的に考えることを抑制され、現実社会へのインパクトや価値の低い博士論文を書くことに必要以上に多くの時間を費やすことを極力少なくすることに重点が置かれているところに特徴がある。PRGSにおいては、ディシプリンの枠を超えることはむしろ歓迎される。博士論文においても、学問的厳格さも当然重視されるが、ランド研究所におけるプロジェクトを出発点とする現実的内容のトピックが多く、現実の政策問題への貢献が重視されている。論文の指導は、PRGSの教員に限定されず、ランド研究所の600名以上の政策研究者からの支援を得ることが可能である。 卒業に要する時間のメディアン(中間値)は57ヶ月である。1994年以降のPh.D.授与率は、約60%であり、他のトップレベルの大学院と同様の修了率である。 1960年代後半から設立された米国の公共政策大学院は、ハーバード大学、カーネギー・メロン大学、ミシガン大学、カリフォルニア大学バークレー校、テキサス大学、プリンストン大学、デューク大学に置かれている。これらの大学院においては、シラキューズ大学のマクスウェル・スクールやジョージ・ワシントン大学のプログラムが、政治学や官僚制の分析など伝統的な公共経営のプログラムであったのに対して、より政策分析手法の修得に重点が置かれている。PRGSにおいても政策分析手法の修得が重視され、政治学系のコースワークは重視されていない。 シンクタンクに置かれた大学院であることから、プログラムの特色としては、より実際的であり、より学際的であり、より現実ニーズに対応したものである。理論を深化させることよりも、問題解決への応用に重点が置かれているが、ランド研究所における文化を反映して、研究手法の合理性や知的な要求基準は極めて高い。 PRGSは、修士課程を持たない大学院であるため、評価の対象外となり、米国の主な大学院ランキング(公共政策など)には通常ランキングされていない。
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