ドビュッシー:プレリュード(前奏曲)集 第2集
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ドビュッシー:プレリュード(前奏曲)集 第2集 | Préludes 2 | 作曲年: 1910-13年 出版年: 1913年 初版出版地/出版社: Durand |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 霧 "Brouillards" | 2分30秒 | No Image |
2 | 枯葉 "Feuilles mortes" | 2分30秒 | No Image |
3 | ヴィーノの門 "La Puerta del Vino" | 3分00秒 | No Image |
4 | 妖精は良い踊り子 "Les fees sont d'exquises danseuses" | 2分30秒 | No Image |
5 | ヒースの茂る荒れ地 "Bruyeres" | 3分00秒 | No Image |
6 | 風変わりなラヴィーヌ将軍 "General Lavine-eccentric" | 2分30秒 | No Image |
7 | 月の光がふりそそぐテラス "La terrasse des audiences du clair de lune" | 4分00秒 | No Image |
8 | オンディーヌ "Ondine" | 2分30秒 | No Image |
9 | ピックウィック卿を讃えて "Hommage a S.Pickwick, Esq.P.P.M.P.C." | 2分00秒 | No Image |
10 | カノープ "Canope" | 2分30秒 | No Image |
11 | 交代する3度 "Les tierces alternees" | 2分30秒 | No Image |
12 | 花火 "Feux d'artifice" | 4分00秒 | No Image |
作品解説
クロード・アシル・ドビュッシーの“印象主義”と呼ばれる作風をピアノ音楽上に確立した最初の作品は『版画』だったが、さらにそれを発展させて完成の域にまで達したのが、この2集から成るプレリュード集と言うことができる。そのため、いずれの曲もドビュッシーの特有の個性が発揮された名曲揃いとなっており、殊にこの第2集は、第1集で通常の2段譜を採用したのに対し3段譜という特殊な記譜によって、一層複雑で絡み合った旋律線を視覚的にも明瞭に示されている意欲作である。
このプレリュード集は1909年から10年にかけて書かれた第1集、1910年から13年にかけて作曲された第2集共に12曲から成り、合せて24曲となる。これはやはりショパンのプレリュード集を念頭において構成されたのであろう。例えば『版画』や『映像』ではそれぞれの曲に標題が付けられているのに対し、プレリュード集では各曲の終わりの余白に小さくタイトルが書かれている。これは、各々の曲に対する固定観念に縛られないようにとの、ドビュッシーの配慮である。
1.霧 / "Brouillards"
和音と分散和音が交互に現れ、やわらかくぼんやりした色彩を醸し出す。一瞬、フォルテで光が射し込む場面もあるが、大部分がピアニシモによってゆったりと流れて行く。
2.枯葉 / "Feuilles mortes"
3.ヴィーノの門 / "La Puerta del Vino"
4.妖精は良い踊り子 / "Les fees sont d'exquises danseuses"
5.ヒースの茂る荒れ地 / "Bruyeres"
ヒースの生い茂る情景が、のどかにゆったりと歌われる。繊細で素朴なメロディーの一方で、和音やリズムもさりげない彩りを添えている。
6.風変わりなラヴィーヌ将軍 / "General Lavine-eccentric"
アメリカの喜劇役者がミュージック・ホールで、ユーモアたっぷりに黒人の踊りのケーク・ウォーク踊っている。メリハリの効いたリズムが印象的な一曲である。
7.月の光がふりそそぐテラス / "La terrasse des audiences du clair de lune"
8.オンディーヌ / "Ondine"
水の精が流麗にそして軽快に、さまざまな姿を見せながら水とたわむれる。気分の気まぐれな移り変わりが、幻想的な雰囲気に包み込む。
9.ピックウィック卿を讃えて / "Hommage a S.Pickwick, Esq.P.P.M.P.C."
10.カノープ / "Canope"
11.交代する3度 / "Les tierces alternees"
12.花火 / "Feux d'artifice"
お祭りでの様々な花火の鮮やかな色彩が技巧的に描かれる。花火のおしまいには、フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」が遠くから聞こえ、7月14日のパリ祭を表現しているのかも知れない。この曲集の最後を締めくくるのに相応しい鮮烈な難曲。
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