フーガト長調とは? わかりやすく解説

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バッハ:フーガ ト長調 (コラール「神よ、慈しみをもって我を遇し」に基づく)

英語表記/番号出版情報
バッハ:フーガ ト長調 (コラール神よ慈しみをもって我を遇し」に基づく)Fuge nach einem Choral "Mach's mit mir, Gott, nach deiner Güt" G-Dur BWV 957

作品解説

2008年6月 執筆者: 朝山 奈津子

 長らく真贋議論され位置づけ定まらない作品であったが、バッハ初期コラール編曲集めた写本「ノイマイスター・コラール集」に含まれていたことから、2つの点についていちおうの結論導かれた。まず、これがバッハ真作である可能性きわめて高い、ということ、そして、この作品単なるフーガではなくコラール旋律主題持っているということである。
 旧バッハ全集にも収載されたが、旋律あまりに変形加えられているため、この曲の主題出所誰も気づかなかった。バッハの『4声のコラール集』(1784-87, C. P. E. バッハおよびキルンベルガー編)に含まれるコラール神よ慈しみをもって我を遇しMach's mit mir, Gott, nach deiner Güt》(BWV377)の最上声部比べてみると、ゆるやかに上行して下行するアーチ旋律、という以外にはあまり共通する特徴がない。しかし、「ノイマイスター・コラール集」の稿では最後に四声体のコラールがおかれており、この曲の出自明らかにしている。(旧全集参照した資料はこの四声コラールを持たなかった。)
 タイトルとしては〈フーガ〉とのみ伝承されているが、よくみると、フーガ書法としてはいささか奇妙であることに気づく最初主題提示では主調が2回連続する。各声部は本来、主題をもってその最初登場を飾るのであるが、この曲の3つめの声部となるソプラノは、間句で主題動機断片を担うのが初仕事である。また、最後にバス再現される主題は下属調である。この最終提示には対旋律呼べるものがなく、右手単純な三和音打ち鳴らすこうした書法はしかしコラール編曲であるとすれば納得がいくコラール編曲では、フーガ厳格な実践よりもコラール旋律提示優先させることが許されるからである。
 この作品所収資料の「ノイマイスター・コラール集」によって身元判明したかに見えるが、じつは真作であると完全に保証されわけではない。疑作との意見根強く未だに真贋問題には決着をみない。また、コラール扱っている点からオルガン想定したものと考えられるが、演奏どのような楽器でもできるように書かれている。従って依然として曖昧な点が多い。しかし、鍵盤の幅いっぱいころころ主題上り下りし音域変化によって響き刻一刻色を変え、上行下行切り替わりによって緊張感生まれる。こうした効果は、オルガンチェンバロ、また現代ピアノ、どんな楽器でもそれぞれ異なった音色で楽しむことができるだろう。


「フーガ ト長調」の例文・使い方・用例・文例

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