ファビピラビル (アビガン)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/19 21:16 UTC 版)
「COVID-19に対する薬剤転用研究」の記事における「ファビピラビル (アビガン)」の解説
「 ファビピラビル#2019新型コロナウイルスへの適用」も参照 抗インフルエンザ薬のファビピラビル(商品名 アビガン錠; 中国語: 法維拉韋)は富山化学工業が開発し、神奈川県が国家戦略特別区域で2013年から開発に協力してきた。2016年に「浙江海正薬業股份有限公司(Zhejiang Hisun Pharmaceutical)」に中華人民共和国におけるライセンスを導出済。2020年3月現在、日本では、「他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分な新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合にのみ、患者への投与が検討される医薬品」であり、新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症に対する本剤の投与経験はない。 中国ではCOVID-19に対する治療選択肢の1つとして挙げられている。中国科学技術部は2月15日、ファビピラビルをCOVID-19治療の臨床試験を実施していると発表。比較的高い治療効果と副作用が少ないとされた(ただし、日本では後述するように副作用が報告されている)(治験番号 ChiCTR2000029548)。2月18日、国家薬監局は、ファビピラビルの販売を許可した。 2020年1月28日、販売元の富士フイルム富山化学は、本ウイルスへの効果の検証に取り組んでいないが、日本でも治験(非盲検試験)が開始され、2月22日から日本の医療機関で本疾患の患者にアビガンの投与が始まった。 2020年2月22日、厚生労働大臣加藤勝信は「アビガンが効くということになれば、全国に展開をして治療に使っていきたい」「効果があると考えられている他の治療薬の使用も並行して考えていく」と述べた。アビガンは新型インフルエンザ治療薬として日本国内で製造され、約200万人分が備蓄されている。神奈川県知事黒岩祐治は、アビガンの人道的使用と臨床試験の早期開始を国に提言した。 2020年3月17日、中国政府はファビピラビルが有効であったと発表した。ファビピラビルはロピナビル・リトナビルとの非盲検比較試験において、ウイルス排出期間を短縮し(4日 vs. 11日)、X線画像の改善率を高め(91.43% vs. 62.22%)、さらに安全性にも問題がなかった(後に論文は撤回された)。 2020年4月3日、ドイツ政府がアビガン数百万セットを大量購入すると報道された。 2020年12月21日、厚生労働省審議会にてアビガンの承認申請について審議されたが、「現時点のデータで有効性を明確に判断するのは困難だ」として継続審議とすることが決まった。また、海外の治験のデータなどを踏まえて審議会で改めて審査を行う方針であることが明らかにされた。 2021年4月21日、富士フィルムは継続審議中のアビガンについて、4月20日より新たな臨床試験を始めたと発表した。臨床試験は10月まで行う予定。
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