バガス由来の電力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 05:27 UTC 版)
生の植物換算で、ショ糖が占める熱量は30%を下回る。熱量の35%は茎チップ中に残存し、収穫の際に耕地に放置される、そして、熱量の35%が圧縮残渣の繊維質(bagasse)に存在する。 バガスの一部は、蒸留の熱と機械を操業する為の電力を供給する為に、圧搾所で燃焼している。このことにより、エタノールプラントはエネルギー的に自己充足しており、余剰は公共電力として販売している。現在の生産では600 MWが自家用に消費され、100 MWが販売されている。この二次生産は、10年契約により、公共価格(約30-40 US$/MWh)で一般社会は供給されると考えられている。主にダムの水力発電で作られ、エネルギーは乾季に不足するので、これは公共電力として重要である。バガスが発電する潜在的な電力は、技術に依存するので、1,000から9,000 MWの幅を持つと見積もられている。高めの見積もりでは、現在の低圧のボイラーとタービン、バイオマスによるガス化で高圧のものに置き換え、現在は捨て置かれている収穫残渣も利用することを想定している。比較するために示すと、ブラジルのAngra I 原子力発電所は600 MWを発電する(そして、それはしばしば停止する)。 ほどなく、1トンのサトウキビ残渣から約80kWhの電力を抽出する経済性を確立すると考えられている。そのうち50 kWhがプラントの自給に使用される。従って、年当りの100万トンのサトウキビを加工している中規模の蒸留所は、約5MWの余剰電力を販売するかもしれない。現在、砂糖とエタノール販売で1800万 US$、余剰電力販売で100万 US$を稼ぎだす。先進のボイラーとタービン技術を用いると、電力収量はサトウキビのトンあたり180 kWhに増大させることができるものの、現在の(公定)電力価格ではこの投資を回収できない(ある報告書によると、電力価格が70 US$/MWhであれば世界銀行がバガス発電へ投資するであろうとされている)。 石炭や石油といった他の燃料に比べても、バガスの燃焼は環境に対してやさしい。バガスは2.5%の灰を含むだけであり(比べて、石炭は30~50%である), 硫黄分を含まない。比較的低温で燃焼するので、窒素酸化物の発生が少ない。その上、レモン果汁の濃縮、植物油、陶業、タイヤのリサイクルなど種々の産業にバガスは(重油と置き換える)燃料としても販売される。サンパウロ州では200万トンのバガスが使用され、3500万US$の燃料油の輸入を節約した。
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