トランプによる見直し
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「医療保険制度改革 (アメリカ)」の記事における「トランプによる見直し」の解説
2017年1月20日にオバマの後任の大統領に就任したドナルド・トランプは、大統領選挙の選挙公約にてオバマケアを廃止するとしていたものの、大統領就任前の2016年11月10日にオバマ大統領との会談で再考を促され、既往症を理由に保険会社が加入を禁止する条項と、親の保険で子どもを一定期間カバーできる条項については維持したい意向を示した。すでに多くの国民が加入済みで混乱を避ける狙いがあるとみられる。しかし、2016年11月29日、トランプは保健福祉長官にオバマケア廃止論者のトム・プライスを指名。この起用によりオバマケア廃止や代替案の検討が加速する可能性が指摘された。 2016年11月の米連邦議会選挙に基づく新議会が2017年1月3日開会し、上下両院で多数を占める共和党のエンジ予算委委員長は、オバマケアの廃止に向けた決議案を提出。2017年1月20日にトランプが大統領に就任すると、オバマケア見直しを目的とする大統領令13765号に署名し、これがトランプによる初の大統領令となった。 「大統領令13765号」も参照 2017年3月24日、オバマケア見直しを巡り、米下院共和党は本会議で採決予定の代替法案を撤回した。トランプ大統領も撤回に同意。米国民の医療保険への加入義務や未加入の場合に課せられる罰金制度をなくすと新たな制度確立を掲げた反面、病歴がある場合でも保険に入れるよう、保険会社に求める条項や26歳までは親の保険で医療保険をまかなえる仕組みを存続させ、共和党の一部の議員が「オバマケアを完全撤廃すべき」と賛同しなかった。2017年3月23日に議会予算局が代替法案導入による2026年までの10年間の連邦財政赤字の削減幅は1500億ドル(16兆6500億円)、10年後の無保険者は現状の2800万人から2400万人増え5200万人になるだろうと公表すると共和党内の穏健派も代替法案に反発していた。 2017年5月4日、米下院は本会議でオバマケアを見直す代替法案を賛成217、反対213で可決した。今回は既往症のある人に州の判断で割高な保険料を請求することを認めるなど強硬派に配慮。一方で既往症のある人への保険料の負担軽減として5年間で80億ドル(約9000億円)の支援策を盛り込み穏健派の支持も取り付けた。 2017年7月18日、与党共和党の上院議員3人が廃止法案に反対する考えを表明し、事実上頓挫した。トランプ氏はオバマケア見直しにより大型減税や10年間で、1兆ドル(約112兆円)のインフラストラクチャー投資などの財源確保を見込んでいた。 2017年7月28日、米上院(定数100)本会議でオバマケアの撤廃と代替を目指す法案を採決し、賛成49、反対51で否決。共和党穏健派2人(スーザン・コリンズ議員とリーサ・マーカウスキー議員)に加えジョン・マケイン議員が反対。法案はオバマケアで規定されている個人の医療保険加入義務の廃止を明記。一方で法案通過を最優先し共和党内で意見対立の激しい見直し部分を先送りしたので、オバマケアの骨格が残っていた。過半数の52人を占める上院共和党では、低所得者に対する補助の大幅削減をめぐり、穏健派と保守強硬派が対立していた。 2017年9月26日、米上院トップのマコネル院内総務は、医療保険制度改革(オバマケア)見直しに向けた新法案の採決を断念。「次の優先事項である税制改革に取り組む」と述べ、オバマケア見直しを棚上げ。見直し法案について米議会予算局(CBO)は、9月25日数百万人が保険を失うことになるとする試算を公表。上院(定数100)で52人の共和党議員のうち、党重鎮のマケイン議員ら3人が反対を表明。可決に必要な過半数を確保できなくなった。 2018年12月14日、米与党共和党の州知事らが、国民に保険加入を義務付ける医療保険制度(オバマケア)の廃止を求めた訴訟で、南部テキサス州の連邦地裁は義務付けを違憲とする判決を言い渡した。判決の効力は全米に及ぶため、州知事が野党民主党の西部カリフォルニア州は即時控訴する構えを示した。15日付米紙ロサンゼルス・タイムズなどが報じた。
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