デスクトップ完全互換ラップトップ機の完成
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「PC-9801シリーズ」の記事における「デスクトップ完全互換ラップトップ機の完成」の解説
PC-98LT発売時点のPC-9800シリーズのデスクトップモデルでは周辺チップの集積がいまだ進んでおらず、デスクトップ完全互換のラップトップ機を開発するには、まずPC-9800シリーズとしての固有機能を集積したチップセットを開発する必要があった。セイコーエプソンはNECに先行して、1987年11月にPC-9800シリーズの本流と完全な互換性を持つラップトップパソコンPC-286Lを発表した。NECによるPC-9801型番のデスクトップ完全互換ラップトップ機は1988年3月発売のPC-9801LV21となった。これはPC-98LTやJ-3100の市場投入から約1年半遅れでの出荷開始となった。しかし、青液晶を採用したPC-9801LV21は視認性が悪く、バックライト付き白黒液晶を採用したPC-286Lに技術面でも後塵を拝することになった。視認性の問題はJ-3100同様の橙色プラズマディスプレイを採用したPC-9801LS(1988年11月)と、バックライト付き白黒液晶を搭載したPC-9801LV22(1989年1月)で解決された。 PC-9801LV 1988年3月(LV21)/1989年1月(LV22) CPUはV30 (10/8MHz) 。EFL(外部電極蛍光管)バックライト付き青液晶(8階調)を搭載し、CPUの性能としてはPC-9801UV21/11に相当するエントリーモデル。バッテリ駆動可能。完全互換性と小型化を両立するために3種類のカスタムVLSIチップが新しく開発され、これらのチップセットはデスクトップ型(PC-9801UV11やPC-9801RAなど)にもそのまま使用された。このモデルはディスプレイの視認性が劣っていたため、1989年1月には8階調バックライト付き白黒液晶を搭載して視認性を改善しつつも若干大型化したマイナーチェンジモデルが登場した。 PC-9801LS 1988年11月 CPUは80386SX (16MHz) とV30 (8MHz) 。J-3100同様のプラズマディスプレイ(15階調)を搭載し、CPUの性能としてはPC-9801ESに相当するデスクトップ完全互換ラップトップ機。コンセントからのAC給電専用。HDD内蔵モデルあり。 PC-9801LX 1989年4月 CPUは80286 (12/10MHz) とV30 (8MHz)。EFLバックライト付き白黒液晶(8階調)を搭載し、CPUの性能としてはPC-9801EX相当に相当する機種。コンセントからのAC給電専用。HDD内蔵モデルあり。 PC-9801LX5C 1989年6月 LXをベースに日本初のカラー8色表示が可能なディスプレイ(STNカラー液晶)を搭載した機種。HDD内蔵。 既存ソフトウェア資産の継承のために必要であることから、ラップトップ機であるにもかかわらず、FDDが各2基ずつ標準搭載されていたのもこのシリーズの大きな特徴の一つである。 しかし、LXデビューから間もない1989年7月に更なる衝撃を伴って市場に投入された東芝の歴史的傑作、J-3100SS001「ダイナブック」によって、このラップトップ機シリーズは可搬機としての命脈を断たれた。ただし、省スペースデスクトップ機としてのこの種のパソコンの市場ニーズは法人を中心に根強く存在したことから、クラムシェル型(折りたたみ式)ラップトップ機としての性質を残したまま、キーボードの本体からの分離機能や汎用拡張スロットの標準搭載など、省スペースデスクトップ機にシフトした実装を行った機種が翌年になって出荷され、以後これを基本にPC-H98、PC-9821の両シリーズにも省スペースデスクトップに特化した液晶ディスプレイ内蔵モデルが細々と継承されることとなった。 PC-9801T 1990年2月 PC-9801LSの後継機種。CPUは80386SX (20MHz) とV30 (8MHz) 。テンキーレスのキーボードが分離可能な大型筐体が新規設計され、2本のCバススロットが搭載された。コンセントからのAC給電専用。液晶ディスプレイは単色8諧調だったが、後にSTNおよびTFTのカラーLCDモデルも登場した(1990年6月)。また当初、HDD内蔵モデルはSASI接続だったが、後にSCSI接続の大容量モデルも登場した(1991年7月)。
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