ソナーの種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 13:26 UTC 版)
潜水艦に装備されている主なソナーには、次のようなものがある。ただし各国によって装備方法は異なるので、米海軍式を中心に解説する。 艦首ソナーアレイ 潜水艦艦首に装備される大型・大出力のソナー。球形で表面に捕音機(ハイドロフォン)を並べている。これにより特定の捕音器のみを使用することで指向性を持たせることが可能で(音源の方位が分かる)、またアクティブモードではフェーズド・アレイ・レーダーと同じ原理で、特定の方向にだけ音波を発信できる。 このソナーは遠距離探知能力に優れ、広大かつ大深度の外洋で行動する潜水艦に適するが、船体前部のかなりの空間を占拠するため、魚雷発射管が船体中央部へと移動させられてしまう。広大な海域で作戦を行う米海軍、海上自衛隊、ロシア海軍の潜水艦には艦首部に大型ソナーを装備するのが一般的であるが、狭い北海での運用が中心の欧州諸国ではこの形式はあまり見られない。狭い海域では、遠距離からの探知は必要なく、それより近接格闘戦への対応が重要となるので、魚雷発射管を艦首部に配置して接近戦闘能力を高めている。 コンフォーマルソナーまたはフランクアレイソナー 船体側面に捕音機を並べて付けたもので、音波の到達時間差から目標方位を推定することができるパッシブモード専用のソナー。船体側面なので船首の球状ソーナーアレイでは作れない離れた位置での聴音が可能となり、探知精度の向上が期待でき、測的時間の短縮とともに、潜水艦の静粛化が年々進む中でセンサーの開口径を増大させるために装備される例が増えてきている。コンフォーマルであればセンサーの取り付け角度による聴音解析の補正が必要になる。 潜水艦用曳航式ソナーアレイ(S-TASS) 曳航ソナーは、捕音機を船体から分離した独立ユニットに取り付けて、それを曳航索で牽引するもの。もっぱら低周波帯域のパッシブ探知に用いられる。船体のソナーと合わせると大きな基線長を得られるので、推定精度の向上が期待できる。また、サウンド・チャンネルなどの船体が潜れない深海部まで吊り下げてそこで使用することもできる。船体の雑音から隔離できるので捜索距離が伸びる。
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