ストラブテープと政府の追加調査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/07 23:10 UTC 版)
「ケント州立大学銃撃事件」の記事における「ストラブテープと政府の追加調査」の解説
2007年、負傷した学生の1人アラン・カンフォラがイェール大学の蔵書ライブラリに銃撃音声テープの複製を持ち込んだ。オリジナルとなる30分間の録音テープは、学園構内を見下ろす寮の窓にマイクを置いたケント州立大通信科の学生テリー・ストラブによって作成されたものだった。当時、カンフォラはこのテープの音声増幅版「ここにいる!構え!狙え!撃て!」が銃撃の順序を明らかにしていると主張した。あの事件で自分が発砲したことを認め、1974年の刑事訴訟で起訴されるも訴状が棄却された州兵のローレンス・シェファーは、2007年5月にRecord-Courier紙の地方版で 「自分には発砲命令など全く聞こえなかった、自分が言えることはそれが全てです」と語った。このテープが命令を明らかにしているとの主張について、シェファーは「無かったんだろうとしか言えないが、あらゆる喧噪と騒音があって、あの日に誰がどんなことを聞き取れたのか自分は分からない」と続けて語った。またシェファーは「狙え(point)」が適切な発砲命令の一部だったことはない筈だとも述べた。 ストラブテープは、クリーブランド・プレーン・ディーラー紙から「国家的に尊敬される法医学オーディオの専門家」と評される2名によって2010年に分析され、州兵は発砲命令を与えられたと結論付けた。これは銃撃に至るまでの出来事を捕捉している唯一の知られている記録である。プレーン・ディーラー記事によると、増幅させた記録では男性の声で「ガード(Guard)!」と叫び、 数秒が経過。その後「よし発砲準備!」「伏せろ!」と誰かが緊急に(恐らく群衆の中で)叫ぶ。最後に「ガード!...」に続く2秒後に銃声が響き渡った。発話部分全体は17秒にわたる。音声テープをさらに分析した結果、州兵が発砲する約70秒前に4回のピストル銃声みたいな音と衝突が起こっていたことが明らかとなった。この新たな分析はテリー・ノーマン(FBIへの情報提供者で、騒動中にピストルを携行していた学生)の役割に関する疑問を提起した。アラン・カンフォラは結論に達するのは時期尚早だと語った。 2012年4月、米国司法省は訴訟の再開に「克服しがたい法的かつ証拠上の障壁」があると判断した。また同年、FBIはピストル銃声と説明されているものがドアの開平だった可能性があることや音声聞き取りも判別不能だとして、ストラブテープが決定的ではないと結論付けた。それでも、生存者と現在のケント州立大学生による団体はこのテープが銃撃の軍事命令を州兵に与えられたことを証明していると信じ続けており、第3者機関の分析を使って訴訟を再開するよう米政府の役人に請願している。この団体は、州兵達も犠牲者だという考えであり、個々の州兵を告発起訴することは望んでいない。 そうした団体の一つ、ケント州の真相審理(Kent State Truth Tribunal)は2010年にアリソン・クラウスの遺族らによって創設され、この銃撃事件に関する米国政府の説明責任を求めている。2014年、同団体は米国に批准された市民的及び政治的権利に関する国際規約のもと国連人権委員会による第3者機関の評価を要請したと発表した。
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