シリーズ分裂問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/10 18:21 UTC 版)
「2010年のF1世界選手権」も参照 旧協定は2007年末に期限切れを迎えたが、協定が未締結のチームが存在するため、2008年以降は事実上効力を有しない状況が続いていた。このため本来協定に基づきFOMから各チームに分配されるべきテレビ放映権料等の支払いが行われていなかった。この状況はトヨタによれば2006年から続いており、その金額は全チーム合計で数百億円にも上っていたという。 またレギュレーション変更についてもFIA側が一方的にチーム側に変更を通告する状況が続いており、特に2009年から利用が可能になった運動エネルギー回収システム (KERS) の導入を巡ってはレギュレーションが二転三転する混乱が同年のシリーズ開幕直前まで続いた。 これらの事情から、2008年7月には当時のF1に参戦していた10チームの代表が集まり「フォーミュラ・ワン・チームズ・アソシエーション」(Formula One Teams Association(FOTA))を結成し、2010年以降のF1参戦を巡りFIAと鋭く対立した。特に2010年の選手権エントリーに関しては、チームの総予算に制約を加える「バジェットキャップ制」の導入を巡って激しい議論を繰り広げ、最終的にウィリアムズとフォース・インディアを除く8チームがエントリーに留保の条件をつける、異例の事態となった。 これに対しFIA側も、同年6月12日に発表した2010年の暫定エントリーリストの中で、前記の2チームに加えUSF1、マノーF1チーム、カンポス・グランプリという3チームの新規参戦を認め、さらに留保条件をつけたチームのうちフェラーリ、レッドブル、トロ・ロッソの3チームについては「2012年までFOAとの間に参戦契約がある」ことを理由に留保条件を却下。一方で残る5チームについては「留保条件を撤回しなければエントリーを認めない」として、FOTA側のチームの分断を狙った。 その後FIA・FOA側とFOTA側で水面下の交渉が続けられたが、6月18日にFOTAは「FIAが我々の提案を受け入れない場合、FOTAの8チームはF1を離脱し、2010年より新たな選手権を立ち上げる」ことを発表。FIAは同年6月19日に最終的な確定エントリーリストを発表する予定だったが、このようなFOTA側チームの態度に対し「法的措置を検討するために時間を要する」としてエントリーリストの発表を延期していた。 直後の6月24日、FIAとFOTAは一転して合意に達したことを正式発表した。この中で、参戦している全てのチームが2010年以降も参戦継続すること、2010年規則は基本的に2009年規則とすること、「バジェットキャップ」を廃止し2年以内に参戦コストを1990年代初頭レベルへ削減すること、キャップ前提でのエントリーだった新規チームにメーカーチームが積極的に技術支援を行うこと、スポーツ統治は1998年協定を一部改良したものを適用すること、が確認された。さらに、強権的・独善的などと批判されていたFIA会長のマックス・モズレーが、10月に行われる会長選挙へ出馬しないことも発表された。 FOTA加盟チームはバジェットキャップに代わりコスト削減の自主努力を行うことに合意し、年間予算の自主規制枠を定めた「リソース制限協定」(Resource Restriction Agreement(RRA))を結んだ。 8月1日にはFIAがコンコルド協定の更改に合意したと発表した。新協定の有効期間は2012年末までとされる。BMWザウバーは7月29日にBMWが2009年限りでのF1撤退を発表したため、協定にサインできなかった。この枠は9月15日にロータスF1チーム(現ケータハム)のエントリーが追加承認された。さらに、シーズン終了後にはトヨタもF1撤退を表明したため、独自参戦に戻ったザウバーが最後の参戦枠を確保した。トヨタの場合、新コンコルド協定に調印して2012年までの参戦を確約していたため、契約不履行にあたるのではないかと問題視された。
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