シクロクロス車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 09:18 UTC 版)
自転車の車種としてのシクロクロス(シクロクロス車、シクロクロスバイク(Cyclo-cross bicycle)ともいう)は、UCIのシクロクロス競技規定に準じた物で有る。UCIまたはその傘下の団体主催の競技では必須である。UCI管轄外の競技であってもそれに準じる物もあるが、不整地の走行を想定して設計されているマウンテンバイクやビーチクルーザーなどのシクロクロス車以外でも参加出来る場合も有る。UCIが規定したシクロクロスの特徴は以下の通り。 フレーム ロードバイクに類似した形状であるが、広いタイヤクリアランスを持ち、ディスクブレーキやカンチレバーブレーキ、太いタイヤに対応し、泥詰まりを防ぐため各所の隙間は大きくとられている。乗車姿勢はロードバイクに比べ上半身の前傾が浅く(アップライトに)なる。フレーム形状は、担ぎを考慮したトップチューブの形状をしているものもある。衝撃吸収性を重視し、曲げ加工を随所に施したモデルが少なくない。素材として、2022年現在トップカテゴリーではカーボンが主流である。下車しての押しや担ぎが多いことからカーボンやアルミといった軽量の新素材が比較的早い時期に導入されていたが、自転車の競技車両としては現在でもクロモリフレームが一線級で使用されている珍しいジャンルでもある。ケーブルのルーティングは競技に特化しているものだと競技中にダウンチューブに泥や埃がかかり、動作の妨げにならないようにフレーム内部にケーブルを収納するケーブル内蔵処理を行うものが多い。ディスクブレーキが普及する以前は、トップチューブ経由でリアディレイラーへとケーブルを廻すトップルーティングを採用しているものが多かった。現在では、ディスクブレーキ普及に呼応するようにスルーアクスル対応であるものが多い。UCIの規定により競技では機材の重さは6.8kgを超えなければならないとされる。 ハンドル 国際自転車競技連盟認定の公式競技及び未登録でも上位カテゴリーのシクロクロス競技ではドロップハンドルである事が事実上義務付けられる形となっており、またハンドルの幅は50cmを超えてはならない。しかしながら下位カテゴリーではその限りではない、すなわちマウンテンバイクに使われるようなストレートハンドルでも可能な場合がある。 ブレーキ 近年では、ディスクブレーキが主に用いられる。2010年にUCIの公式発表により競技での使用が解禁される以前は、ロードバイクで用いられるサイドプルブレーキに比べ、泥詰まりしにくいカンチレバーブレーキが主に用いられていた。 タイヤ 700C規格が用いられる。幅が太い(日本自転車競技連盟開催の競技では33mm以下に規制されている)シクロクロス用のタイヤを用いる。世界的なトッププロの選手は28mmから34mmまでの様々な太さのタイヤを常備しているという。 通常はブロックパターンのタイヤを履くが、フラットな高速コースではダイヤ目のタイヤを履くこともある。 空気圧は2〜4気圧。特に大き目の砂利などバンピーなコースでは限界ギリギリの2気圧にする。ロード同様にWOも増えてきているが、空気圧を下げるとリム打ちパンクするのと、重量面のメリットから、レース用機材はチューブラータイヤが主流である。 ホイール ロードレースに使用される物より耐久性が要求されるが、入手のしやすさや軽量性などからロードレース用のものが用いられることが多い。 近年では、いくつかのメーカーからシクロクロス用を謳ったホイールが発売されている。 また、プロレベルではカーボン製のディープリムが用いられることが多いが、これは空力効果よりも、リムの高さによって「泥をかきわける」メリットがあるためである。 変速レバー オフロード走行中にハンドルから片手を離すと危険なので、手元変速が用いられる。現在ではデュアルコントロールレバーの使用がほとんどである。かつてはドロップハンドル先端に取り付けるバーエンドコントローラが主に用いられた。
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