サイアーラインとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > サイアーラインの意味・解説 

サイアーライン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/20 04:53 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

サイアーライン(Sire line、父系、又はMale lineメールライン)とは、における父方の系図(家系)のことをいう。起点となる種牡馬の名を取り-系と呼ぶ。代表的なものを右の表に記載するが系統名はあくまで一般的なもので、固定されたものではない。同様に直系母系のみに焦点をあてたファミリーライン(メアーライン、牝系)がある。

概要

競走馬において血統は非常に重要な物であり、それを表現するために様々な手法が用いられる。サイアーラインもその一つで、特に父、父の父、3代父というように血統の父方のみに焦点をあてている。利点としては統計的にまとめやすい、10代、20代の血統を表すには他に方法がない、祖先との関係を直感的に分かりやすい等がある。反面直系父系以外を考えていないため、多くの先祖馬がいる中で父方にあたる極一部の先祖しか知る事ができないといった欠点がある。

遺伝的な面からも、代を経るごとにY染色体を例外として配列類似性が低下する。また、牝系と比較してほとんど学術的な研究が進んでいないため、系図の信憑性や能力に対する実際の影響は完全に解明されていない部分がある(馬において、Y染色体にはmtDNAの5倍の遺伝子が含まれるが、大半は性関連遺伝子であるため能力に対する影響はほとんどないとされる。この場合、牝馬はY染色体自体を持っていない)。

サイアーラインは公式に決まっているものではなく、大きく子孫が発展した種牡馬を起点にその子孫をまとめているだけなので、分類した人や、時代によって描くサイアーラインは大きく変わってくる事も問題である。例えば右の表にあるオーム系は、テディ系とザボス(オービィ)系に分けることの方が多いが、テディ系、ザボス系に分けると表が細分化されてしまうためそれを避けるためにここではオーム系とした。他にもナスルーラ系やノーザンダンサー系等はさらに細分化され、ミルリーフ系や、ニジンスキー系のように分けることも多い。

サイアーラインの表記法

サイアーラインでは左に行くほど世代が古く、右に行くほど世代が新しい。また対象の先祖馬は対象の上の行に書く。ここでは説明のため馬の名前をA,B,Cで表す。

  • A
    • B

このサイアーラインではAはBの一マス左上にあるので世代が一つ古い先祖馬ということが分かる。つまりAはBの父。

次にBの産駒Cを加えると

  • A
    • B
      • C

と拡張できる。

次にAに複数の産駒がいる場合を考える。

  • A
    • B1(Aの産駒)
      • C1(B1の産駒)
    • B2(Aの産駒)
      • C2(B2の産駒)
    • B3(Aの産駒)

この場合C1の父はB1、B1の父はA、C2の父はB2と分かるが、B2の父はC1、B1ではなくAである。B1、B2、B3ともにAの産駒となる。


馬名と併せてその馬の誕生年(西暦)が記載されるのが一般的である。

サイアーラインに記載される馬

競走馬の繁殖は人間によって厳密に管理されるため、生誕した馬の父馬は明確に判明しているので、すべての競走馬はサイアーラインの図のなかに記載することができる。しかし、生誕した全ての競走馬を記載すると、サイアーラインがあまりにも膨大な量となるため、書籍やネットなどで一般的に作成されているサイアーラインでは、記載する馬の範囲をある程度限定してサイアーラインの図を作成している。 よってどの馬をサイアーラインに記載するかというのは、作成者の考え方次第のところがあって一般論として厳密には説明しがたい部分があるが、概ね次の2つの考え方でサイアーラインに記載される馬が絞り込まれているといえるであろう。

1.種牡馬実績

サイアーラインというのはある馬の父、その父、さらにその父と父系をたどっていく図であるから、種牡馬として子孫を残せなかった馬は記載する必要は無い、という考え方で、種牡馬実績のある馬のみをサイアーラインに記載する。従ってこの考え方では、どれほど競走馬として活躍し非常に著名な馬であろうが、牝馬、セン馬、また種牡馬になれなかった牡馬は、サイアーラインに記載されることはない。

2.競走実績なども加味

牝馬、セン馬、また種牡馬になれなかった牡馬などは、その馬自身は父親として子孫を残せなかったとしても、その馬にも父馬がいるわけだからサイアーラインに記述するべきだという考え方で、種牡馬として子孫を残したか否かを問わず競走実績なども加味して比較的著名だと思われる馬をサイアーラインに記述する。ただし、牝馬やセン馬についてはそれが明示されるのが通常である。

ウィキペディアでは、上記のテンプレート表にある各系統のサイアーラインについては、種牡馬として子孫を多く残した馬だけでなく、競走実績などの要素も加味して、比較的著名と思われる競走馬は種牡馬実績があるか否かに関わらず記載している。全ての種牡馬を記載することはページ容量などの観点から有益ではないため、種牡馬であったがそれほどの繁殖実績があげられなかった種牡馬は記載していない。

牝馬の表記形式

A(牡馬)に3頭の産駒B1(牡馬)、B2(牡馬)、B3(牝馬)がいて、B1に1頭の産駒C1(牡馬)、B2に1頭の産駒C2(牝馬)がいるとする。

①牝馬を区別せず表記する形式

  • A
    • B1
      • C1
    • B2
      • C2(牝)
    • B3(牝)

②牝馬を区別して表記する形式

  • A→B3
    • B1
      • C1
    • B2→C2

③牝馬は一切表記しない形式

  • A
    • B1
      • C1
    • B2

一般的にはサイアーラインでの牝馬の表記は、①の牝馬を区別せず表記する形式が取られているが多い。その際には牝馬であることを明確に示されるのが通常である。③の牝馬は一切表記しない方式も時々見られる。上述した、種牡馬実績でサイアーライン記載の絞り込みをする考えでは、牝馬はサイアーラインに記載されることはない。

ウィキペディアでは、上記のテンプレート表にある各系統のサイアーラインでは、②の牝馬を区別して表記する形式で記載している。

関連項目


サイアーライン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/05 23:56 UTC 版)

ヴァイスリージェント系」の記事における「サイアーライン」の解説

Darley Arabian 1700 |Bartlet's Childers 1716 |Squirt 1732 |Marske 1750Eclipse 1764 ---←エクリプス系へ戻る |Potoooooooo 1773 |Waxy 1790 |Whalebone 1807 |Sir Hercules 1826 |Birdcatcher 1833 |The Baron 1842 |Stockwell 1849 |Doncaster 1870Bend Or 1877 |Bona Vista 1889 |Cyllene 1895 |Polymelus 1902 |Phalaris 1913 ←---ファラリス系へ戻る |Pharos 1920 |Nearco 1935 ←---ネアルコ系へ戻る |Nearctic 1954 ←---ニアークティック系へ戻る |Northern Dancer 1961 ←---ノーザンダンサー系へ戻る |Vice Regent 1967 ---↓ヴァイスリージェント系改行) ---↓ヴァイスリージェント系 Vice Regent 1967 → *エイシンテネシー 1989Military Bearing 1973Wrinkle Dinkle 1973Pro Consul 1974Regal Embrace 1975 | |Embrace the Wind 1983 | |Embrace's Sybling 1984 |Ballacashtal 1977Indian Vice 1977New Regent 1977Northern Regent 1977Regent Cat 1978Regimen 1978 | |Dan Dureya 1989 |Same Direction 1978Vice Chancellor 1978Brave Regent 1979Deputy Minister 1979 → *オープンマインド 1986Go for Wand 1987 ---↓デピュティミニスター系 | |Silver Deputy 1985 | | |Crown Attorney 1993Rahy's Attorney(g) 2004 | | |Archers Bay 1995 | | |Badge of Silver 2000 | | |Posse 2000 | | | |*マインドユアビスケッツ Mind Your Biscuits 2013 | | |Spring At Last 2003 →*コパノキッキング (g) 2015 | |Tejabo 1985 | |Edgy Diplomat 1986 | |The Prime Minister 1987 | |Mane Minister 1988 | |Salt Lake 1989 | | |Ordway 1994 | | |Saufar 1995 | |Gulpha Gorge 1990 | | |Leon GG 1998 | |Service Stripe 1991 | |*デヒア 1991 | | |Graeme Hall 1997 | | |*ウォーターリーグ 1998 | | |*モルフェデスペクタ 1998 | | |Soto 2000 → *スーニ 2006 | | |Dongseo Daero 2002 | |Defrere 1992 → *レマーズガール 2000 | |Foreign Intreigue 1992 | |*フレンチデピュティ 1992ピンクカメオ f 2004レジネッタ f 2005 | | |*ノボジャック 1997 | | |*クロフネ 1998スリープレスナイト f 2004カレンチャン f 2007ホエールキャプチャ f 2008クラリティスカイ 2012ユキチャン f 2005 | | | |フサイチリシャール 2003 | | | | |ソウルシルバー 2011 | | | |テイエムジンソク 2012 | | |*ヘイアンエルドラド 1998 | | |True Direction 1999 | | |エイシンデピュティ 2002 | | |アドマイヤジュピタ 2003 | | |ロールボヌール 2012 | |*ヴィクトリースピーチ 1993 | |*トーヨーシアトル 1993 | |Awesome Again 1994 → *ジンジャーパンチ 2003、*コンテスティッド 2009 | | |Awesome of Course 2000 | | |Ghostzapper 2000 | | | |Stately Victor 2007 | | |Toccet 2000 | | |Wilko 2002 | | |Daaher 2004 | | |Paynter 2009 | | |Oxbow 2010 | | |Shaman Ghost 2012 | |Deputy Commander 1994 → *グラッブユアハート 2000 | | |Ten Most Wanted 2000 | |Open Forum 1994 | |Touch Gold 1994 → *フェラーリピサ 2004 | | |Midas Eyes 2000 | | |Mass Media 2001 | | |Medallist 2001 | |*エムジーミニスター 1994 | |*トーヨーレインボー 1994 | |Forest Camp 1997 | |*マルターズライオン 1997 | |Talk Is Money 1998 |The Peacemaker 1979French Regency 1980Regent's Dancer 1980 |Archregent 1981 |*パークリージェント 1981アインアイン 1997 | |リージェントブラフ 1996Big Woods 1981Majestic Regent 1981Early Call 1982Forever Regal 1982Regal Remark 1982 |Regentair 1982 |Verzy 1982 | |Can Can Sam 1989 |Balderson 1983Body Check 1983Cougar's Crown 1983Regent Street 1983Spearhead 1983Interrex 1984Regal Classic 1985 | |Stephanotis 1993 | |Royal Albert Hall 1994 | |Dakota Pride 1995 | |One Way Love 1995Regal Intention 1985 |*オークワース Oakworth 1985 |*ユーワジャック 1986 |Nosferatu 1986Presidential 1986Insistent Beat 1987 |Iskandar Elakbar 1987Sir Lal Bahadur 1987 |Temptor 1987Vice Majesty 1987Northern No Trump 1988Great Regent 1989Carry the Crown 1990En Tete 1990Swamp King 1990Lake George 1992Native Regent 1992Once a Sailor 1992Regent Act 1993 |Northernhemisphere 1994Randy Regent 1994Double Vice 1995King's Grant 1995 サイアーライン上は種牡馬入りした馬、→印の後は牝馬などの非種牡馬の代表産駒一部を示す。また、日本調教馬における太字はG1級競走勝ち馬を示す。

※この「サイアーライン」の解説は、「ヴァイスリージェント系」の解説の一部です。
「サイアーライン」を含む「ヴァイスリージェント系」の記事については、「ヴァイスリージェント系」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「サイアーライン」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「サイアーライン」の関連用語

サイアーラインのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



サイアーラインのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのサイアーライン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのヴァイスリージェント系 (改訂履歴)、テスコボーイ系 (改訂履歴)、マンノウォー系 (改訂履歴)、レリック系 (改訂履歴)、インテント系 (改訂履歴)、ヘイルトゥリーズン系 (改訂履歴)、ミスタープロスペクター系 (改訂履歴)、サンインロー系 (改訂履歴)、ダマスカス系 (改訂履歴)、オーム系 (改訂履歴)、フェアウェイ系 (改訂履歴)、プリンスリーギフト系 (改訂履歴)、シアトルスルー系 (改訂履歴)、ゼダーン系 (改訂履歴)、ブラッシンググルーム系 (改訂履歴)、レッドゴッド系 (改訂履歴)、ファリス系 (改訂履歴)、フェアトライアル系 (改訂履歴)、ブルーピーター系 (改訂履歴)、ニジンスキー系 (改訂履歴)、ブラントーム系 (改訂履歴)、ウッドマン系 (改訂履歴)、ファピアノ系 (改訂履歴)、セントサイモン系 (改訂履歴)、ブランドフォード系 (改訂履歴)、ノーザンテースト系 (改訂履歴)、ゴーンウェスト系 (改訂履歴)、パーソロン系 (改訂履歴)、オリオール系 (改訂履歴)、ファラリス系 (改訂履歴)、ロックフェラ系 (改訂履歴)、ネアルコ系 (改訂履歴)、グレイソヴリン系 (改訂履歴)、リファール系 (改訂履歴)、ソヴリンパス系 (改訂履歴)、ミルリーフ系 (改訂履歴)、デインヒル系 (改訂履歴)、サンデーサイレンス系 (改訂履歴)、キングマンボ系 (改訂履歴)、ニアークティック系 (改訂履歴)、サーゲイロード系 (改訂履歴)、プリンスシュヴァリエ系 (改訂履歴)、ナスルーラ系 (改訂履歴)、ノーザンダンサー系 (改訂履歴)、オルコックアラビアン (改訂履歴)、ワイルドリスク系 (改訂履歴)、フォルティノ系 (改訂履歴)、ストームバード系 (改訂履歴)、バックパサー系 (改訂履歴)、トムフール系 (改訂履歴)、サドラーズウェルズ系 (改訂履歴)、ハイペリオン系 (改訂履歴)、オーエンテューダー系 (改訂履歴)、ヌレイエフ系 (改訂履歴)、ヒムヤー系 (改訂履歴)、ストームキャット系 (改訂履歴)、ピーターパン系 (改訂履歴)、プリンスキロ系 (改訂履歴)、ネイティヴダンサー系 (改訂履歴)、トウルビヨン系 (改訂履歴)、クラリオン系 (改訂履歴)、レイズアネイティヴ系 (改訂履歴)、ロベルト系 (改訂履歴)、バーラム系 (改訂履歴)、ネヴァーベンド系 (改訂履歴)、フォーティナイナー系 (改訂履歴)、フロリゼル系 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS