ガーラット式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 03:46 UTC 版)
詳細は「ガーラット式機関車」を参照 1組ずつのシリンダ及び動輪群がついた台枠(水や石炭が乗る)を2組前後に置き、この上にボイラーや運転室を乗せた第三の主台枠を乗せた方式。イギリスのハーバート・ウィリアム・ガーラット (Herbert William Garratt) により、列車砲をヒントとして1907年に考案され、ベイヤー・ピーコック社の協力で実用化された。大型機に多く見られたが、その最初の適用例となった機関車(タスマニア島政府鉄道K1形)は610mm軌間で34tのB+B機であり、どちらかというと「線路状況のわりに大きな機関車」に多く見られた。走り装置上に水タンクが搭載され、その空積に関わらず常に死重となる炭水車が基本的に不要(しかも特に軸重制限の厳しい線区への入線時には、走り装置上の水タンクを空にして別途炭水車を連結することで軸重を標準より軽くすることも可能であった)、燃料・水の積載量が多く長距離を走行できる、ボイラー下が空間となるため、缶胴部や火室設計の自由度が高い(ボイラーを太く、火室を広く深くできて燃焼効率をあげれる。)、急曲線や勾配に強く動輪とボイラーが干渉しないので高速化もマレー式以上に容易、車輪数が多くすることで1軸あたりの軸重を相対的に軽くでき、それでいて容易に牽引力の強化が可能となる、など様々な利点があり、インド、南アフリカなど英連邦所属の各国で多く採用された。もっとも、その勃興期が第一次世界大戦後であったため、日本では採用されなかった。計画だけに終わったが、ガーラット式の足回りをマレー式相当とする、ガーラット・マレー式機関車も提案されていた。なお、ガーラットは「ガラット」や「ギャラット」などと表記されることもある。 ガーラット式の亜種としてノースブリティッシュ・ロコモティブ(NBL)が製造したモディファイド・フェアリー式と、マッファイが製造したユニオン式があり、モディファイド・フェアリー式は、ベイヤー・ピーコックのパテントに抵触しないように既存のフェアリー式(後述)の名義で、ボイラーのある台枠の前後がそのまま伸びてここに石炭と水を搭載してしまっているもの(走行部分だけボギー台車のように首を振る)。ユニオン式は前部がガーラットのように足回りの上に水タンクがあり、後部がモディファイド・フェアリー式同様にボイラーの後部台枠に水と石炭を搭載。自動給炭機を取り付けやすいという強みがあったが、足回りへのピポットに余計な重量がかかり(ガーラットは炭水の重量はピポットにかからない)、整備の手間や安定性の悪さで広まらなかった。
※この「ガーラット式」の解説は、「関節式機関車」の解説の一部です。
「ガーラット式」を含む「関節式機関車」の記事については、「関節式機関車」の概要を参照ください。
- ガーラット式のページへのリンク