イリス_(列車)とは? わかりやすく解説

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イリス (列車)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/08 08:14 UTC 版)

イリス
Iris
ルクセンブルク駅停車中のブリュッセル行きイリス(2010年)。牽引機はベルギー国鉄クラス20電気機関車
概要
種類 TEE(1974–1981)
インターシティ(1981–1987)
ユーロシティ(1987–)
現況 運行中
地域 ベルギー
ルクセンブルク
フランス
スイス
運行開始 1974年5月28日 (1974-05-28)
運営者 ベルギー国鉄
ルクセンブルク国鉄
フランス国鉄
スイス連邦鉄道
路線
起点 ブリュッセル南駅
終点 バーゼルSNCF駅
営業距離 592 km
平均所要時間 6時間29分(バーゼル行き)
6時間33分(ブリュッセル行き)
運行間隔 毎日運行
列車番号 EC96/97
車内サービス
クラス 1等車
2等車
技術
軌間 1,435 mm
電化 15 kV16⅔ Hz交流電化(スイス)
路線図

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イリスラテン語: Iris)は、ベルギー王国首都ブリュッセルスイス連邦バーゼル=シュタット準州バーゼルを結ぶユーロシティEC列車である。ベルギー国鉄ルクセンブルク国鉄フランス国鉄及びスイス連邦鉄道によって共同運行されている。

概要

1974年に運行を開始した。列車名の由来はツェンネ川英語版流域に広く群生するキショウブ(黄菖蒲)で、1991年からブリュッセル首都圏地域を象徴するとなっている。

運行開始当初の列車種別は全車1等車TEE(Trans Europ Express)であったが、1981年からインターシティとなり、1987年5月31日以降はユーロシティとなっている。2011年ジャン・モネ英語版が廃止されたことにより、イリスはヴォーバン英語版とともにブリュッセルとスイスを毎日結ぶユーロシティ列車のひとつとなった。

歴史

TEE

チューリッヒ中央駅を発車するイリス号(1979年)

イリスは、1974年5月26日エーデルヴァイスとペアとなるTEEとして、ブリュッセル - チューリッヒ間で運行を開始した。これはヨーロッパの三大権力機構が存在するブリュッセル(欧州連合理事会)、ルクセンブルク(欧州司法裁判所)とストラスブール(欧州議会)を行き来する需要が高まったためで、にブリュッセルを発車し、午後チューリッヒから折り返すダイヤであった。

列車には、運行開始時の1974年5月から1981年5月までスイス国鉄RAe TEE II形電車が使用されていた。これはスイス連邦鉄道が1961年からTEEに投入していた電車で、4種類の電化方式に対応していた(直流1,500 V/3,000 V、交流25 kV 50 Hz/25 KV 16⅔ Hz)。車輛は固定編成で、動力車は編成中ほどの4号車に設けられた動力集中式列車であった。運転最高速度は時速160 kmで、車体にはスイスの軽量型客車(Leichtstahlwagen)の設計が採用された[1]。イリスの運転開始当初、車両はエーデルヴァイス、ゴッタルドとの共通運用であった。[2]

TEE91 停車駅 TEE92
運行距離 時刻 時刻 運行距離
0 7:01発 ブリュッセル南 22:34着 683
5 7:11発 ブリュッセル北 22:28着 678
12 7:19発 ブリュッセル=リュクサンブール 22:20着 671
68 7:50発 ナミュール 21:50発 616
206 9:05発 アルロンフランス語版 20:35発 478
233 9:29発 ルクセンブルク 20:14発 451
266 9:52発 ティオンヴィル英語版 19:47発 418
296 10:13発 メス=ヴィル(英語版) 19:27発 388
455 11:32発 ストラスブール 18:07発 225
520 12:07発 コルマール英語版 17:32発 164
561 12:30発 ミュルーズ英語版 17:08発 123
595 12:54発 バーゼル 16:47発 88
683 13:54着 チューリッヒ中央 15:37発 0

[3]

イリスの乗車率は想定した需要を大きく下回り、片道の旅客が50人に満たない日もあった。このため、他のTEE列車と共通の経済的な運用は全く不可能となり、ベルギー国鉄とフランス国鉄は、1974年、1975年のダイヤ改正時、すでに編成を5両への短縮する提案を行い、その直後にはイリスとエーデルヴァイスの廃止を呼びかけていたほどであった。その後2回のダイヤ改正実施後でも利用者の増加が見られなかったため、1976年のヨーロッパ時刻表会議で両列車の廃止が決定された。[2]

1979年5月27日より、チューリヒ発列車の停車駅にアールガウ州バーデンが追加された。[4]

インターシティ

1981年5月30日より、イリスに初めて2等車が連結され、列車種別はインターシティへ降格となった。列車番号はIC394/395が使用され、使用車輌は電車からスイス連邦鉄道の客車Eurofima型客車英語版に切り替えられている。

ユーロシティ

チューリッヒ中央駅行きイリスの行先票(2011年)

1987年5月31日ダイヤ改正でユーロシティが発足した。イリスは新設されたユーロシティに編入され、同時にスイス側起終点駅がグラウビュンデン州クールまで延長された。

ユーロシティ編入後、列車番号はEC94/95となったが、インターシティ時代と運行路線に変化はなかった。その後、列車番号はEC96/97に改められた。2013年12月にダイヤ改正が行われ、運行区間が往復ともブリュッセル - バーゼル間に短縮された。

2015年時点での使用車両はスイス国鉄所属の7両編成で、食堂車の連結は無かった。

2016年4月3日ダイヤ改正により、前日の4月2日にイリス及びヴォーバンの運行終了。

時刻表

以下に2014年夏季の時刻表を示す[5]。なお、各国の間に時差はない。

EC97
(バーゼル行き)
停車駅 EC96
(ブリュッセル行き)
運行距離 時刻 時刻 運行距離
0 13:09 ブリュッセル南 22:51 592
2 13:13 ブリュッセル中央 22:47 590
4 13:18 ブリュッセル北 22:41 588
9 13:27 ブリュッセル=シューマン(英語版) 22:33 583
10 13:29 ブリュッセル=リュクサンブール 22:29 582
68 14:14 ナミュール 21:48 524
155 15:13 リブラモン英語版 437
201 15:42 アルロンフランス語版 20:20 391
229 16:15 ルクセンブルク 20:00 363
263 16:36 ティオンヴィル英語版 19:29 329
293 16:57 メス=ヴィル(英語版) 19:10 299
407 サヴェルヌ英語版 18:13 185
452 18:19 ストラスブール 17:50 140
495 18:41 セレスタフランス語版 17:19 97
517 18:53 コルマール英語版 17:07 75
558 19:16 ミュルーズ英語版 16:46 34
592 19:38 バーゼルSNCF 16:18 0

脚註

  1. ^ 窪田 pp25-27
  2. ^ a b Das Grosse TEE−Buch 40Jahre Trans-Europ-Express,Jörg Hajt, P.100〜101
  3. ^ Cooks Continental Timetable June 21-July 11 1974 P.70
  4. ^ ThomasCooks International Timetable January 1980、ただし停車駅について参考したが、1979年5月27日という元来あった記事の信憑性は不明
  5. ^ 『ヨーロッパ鉄道時刻表 日本語解説版 2014年夏号』p69, p248, pp232-233

参考文献

関連項目

外部リンク


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