イスラムコレクション
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「チェスター・ビーティ図書館」の記事における「イスラムコレクション」の解説
イスラムコレクションは「アラビア」、「クルアーン」、「ペルシャ」、「トルコ」、「ムガル帝国時代のインド」の部門に分かれている。アラビア語の文書は宗教、歴史、法学、医学、地理学、数学、天文学、言語学の論考を含んでいる。ムラッカ(英語版)と呼ばれるムガル帝国時代のアルバムに含まれる非常に精妙な細密画がチェスター・ビーティ図書館に収蔵されており、「故シャー・ジャハンのアルバム」や「ミント・アルバム」の重要な絵もある。アルバムは最近の展覧会や、イスラム部門のキュレーターであるエレイン・ライト博士の刊行物であるMuraqqa': Imperial Albums of the Chester Beatty Libraryの主題となっている。 チェスター・ビーティ図書館のクルアーン部門は、中世イスラーム世界を代表する能書家のひとり、イブヌル・バウワーブが制作したものをはじめとする多数の貴重な写本を所蔵し、世界で最も充実したクルアーン写本コレクションの一つである。黒インクにより流麗なナスフ体(又はライハーニー体)で書かれたこの写本クルアーンは、ヒジュラ暦391年(西暦1000/1001年)に制作された。イブヌル・バウワーブが生涯で64セット制作したクルアーン写本の一つであり、ライブラリーにおいてしばしば展示される。1991年には、チェスター・ビーティ図書館に20年間勤務していたあるキュレイターが、数年にわたり貴重なクルアーン写本コレクションの中からページを抜き取り、不正に持ち出しては古美術商に売却していた事実が発覚した。チェスター・ビーティ図書館は、その後の何年間もの間、地元ダブリンで失墜した信用の回復と売却されたページの回収に、多大な費用と労力を費やした。不正に持ち出されたページの大部分は回収されたが、数枚がロンドンの倉庫火災で焼失し、サウジアラビアとシリアに行った数枚は回収されなかった。 トルコ部門は写本160冊あまりを所蔵し、イスラームコレクションの中では最も規模が小さいが、『預言者の生涯(英語版)』や『スレイマン大帝の肖像画』のような貴重なものを含む。『預言者の生涯』(スィエリ・ネビー)は、8世紀のワーキディー(英語版)が伝えた物語に基づいて、メヴレヴィー教団のデルヴィーシュが作成した彩色挿画800点を付した6巻本であるが、チェスター・ビーティ図書館はこのうちの4巻を所蔵している。
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