アレスIV
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/26 08:14 UTC 版)
アレスIV(Ares IV)は、NASAがコンステレーション計画の一環としてかつて開発計画を進めていた、大重量物打ち上げロケットのアレスシリーズの一タイプである。
アレスIVは有人打ち上げ用のアレスI (Crew Launch Vehicle, CLV) と、貨物打ち上げ用のアレスV (Cargo Launch Vehicle, CaLV) の中間の位置づけで開発を検討されていたロケットだったが、後に計画から除外された。その後コンステレーション計画が中止されたため、アレスIとアレスVの開発も中止されている。
概要
2007年1月のNASAの説明では[1]、アレスVのようなデザインであり、全長113 m (371 ft)、1段目は液体燃料エンジンで、2個から5個のセグメントの固体ロケットブースタを装備し、上段の液体燃料ステージはアレスIから流用されるとされた。総貨物容量は41,100 kg (90,610 lb)で、高度240マイル (386 km)の直接月輸送任務が可能だった。
ミッション
2007年1月下旬、NASAは有人月周回ミッションに使用するアレスIVの運用およびオリオン宇宙船 (Orion Crew Exploration Vehicle, CEV) の「シェイクアウト」テストを開始し、高速で「スキップ」するオリオンの再突入カプセルのプロファイルを行った[2]。
アレスIVは、これらの初期段階を終えても有用な可能性がある。 2月のミッションは、2ブロックのカプセルからなるオリオン宇宙船とアルタイル月面着陸機 (Lunar Surface Access Module, LSAM) を直接月の周回軌道に投入することが出来る。アレスIVによって打ち上げられた2機は、1つは有人のオリオン宇宙船でありもう1つは無人探査機で、オリオンとLSAM機は月周回軌道でランデヴーとドッキングを行う。
これはアレスIおよびアレスVとは対照的で、これらは地球周回軌道でのドッキングおよびランデヴーを行い月に向かうことになる。もし元の計画のように無傷のアレスIVを使用するなら、それはアポロ13号のように無人の「オリオン救助船」を打ち上げ、乗員はLSAMを救命ボートのように使用して、ダメージを負ったオリオン宇宙船を乗り捨てて地球に帰還する。
これはアポロ計画で予定されていたサターンII 型ロケットとサターン INT-20ロケットと同様の計画だが、リチャード・ニクソン大統領はスペースシャトルの廃案に賛成している。
関連項目
参考文献
- ^ Rob Coppinger (2007年1月2日). “NASA quietly sets up budget for Ares IV lunar crew launch vehicle with 2017 test flight target”. Flight International
- ^ Berger, Brian (2007年1月26日). “NASA Studies Early Moon Shot for New Space Capsule”. Space.com 2007年1月26日閲覧。
外部リンク
日本語
英語
アレスIV
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「シャトル派生型ロケット」の記事における「アレスIV」の解説
詳細は「アレスIV」を参照 NASAは、3機目の、クルー搭乗可能な打ち上げ機のコンセプト案を、ごく手短に研究した。今日では、「アレスIV」と呼ばれているロケットがそれに該当する。このロケットはアレスVの第1段目コア機体と横付け式SRBを使用するが、アレスIに使う事を予定していた第二段目を、オリオン宇宙船を運び上げるために、その初段機体の真上に搭載する予定であった。このロケットの、アレスIに対する利点は、おそらく、開発コストと掛かる時間の低減、発射台やインフラを共有すること、計画段階ではアレスIで充たしている、オリオン宇宙船打ち上げに必要な推力よりもっと大きな推力を与えることが含まれていたのだろうと思われている。この方式には、打ち上げ一回当たりのコスト増が見込まれる。しかし、第1段目にシャトルSRB派生品を一本だけ使用する現行型での打ち上げ一回に掛かるコストよりも、新たに開発した液体ロケットステージを使用した1段目を使用して打ち上げる場合の単一打ち上げコストのほうが予算が高付くことになるだろう。それがこの方式の欠点である。NASAによると、潜在的なアレスIVの使用として、オリオン宇宙船を月軌道に投入する早期「シェイクアウト・ミッション」が入っている。このオリオン宇宙船試験打ち上げ計画の中には、着陸する前に地球大気で宇宙船を水切り運動させる、高速度スキップ・リエントリーが含まれている。これと比較して宇宙船を直接降下させる方法もあるが、今回、こちらは採用されない。
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