アフリカ全土への拡散
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/22 13:35 UTC 版)
「現生人類の拡散」の記事における「アフリカ全土への拡散」の解説
「:en:Macro-haplogroup L (mtDNA)」および「:en:Archaeogenetics of sub-Saharan Africa」を参照 ホモ・サピエンスはおよそ30万年前にアフリカで現れたといわれている。この推定はモロッコのジェベル・イルード(英語版)の地層で発見された、頭蓋骨及びその同年代のもの思われる複数の石器が熱ルミネセンス法での年代測定によって31.5±3.4万年前のものであると結論付けられたことによる。これが出土する前は、1967年から1974年の間にエチオピアのオモ国立公園(英語版)で発掘されたオモ人骨(英語版)が最古のホモ・サピエンスであるとされており、この化石人類はおよそ20万年前のものであったために以前はホモ・サピエンスは20万年前に誕生したとされていた。なお、1932年に南アフリカで出土したフロリスバッドの頭蓋骨(英語版)は25.9万年前のものと推定されるが、ホモ・サピエンスであるかについては諸説ある。 コンピュータによって260枚のCTスキャン写真をもとに初期の現生人類の共通祖先の頭蓋骨の形状を決定したところ、現生人類の起源が26万年から35万年前に遡ることが示唆されている。 2019年の人類学者の報告によれば、ギリシャ南部のアピディマ洞窟(英語版)で21万年前のホモ・サピエンスの遺骨や17万年前のネアンデルタール人の遺骨が見つかった。これはこれまでにヨーロッパで見つかった最古のホモ・サピエンスの遺骨よりも15万年も古いものであった。 おおよそ20万年前の初期の現代人類はユーラシア西部から中央部へも拡散したが、ユーラシアでは旧人類との生存競争に敗れた。他方、サブ・サハラ以南のアフリカでは初期の現代人類は旧人類によるアシュール文化の終焉(約13万年前)に寄与するほど繁栄した一方で、特に西アフリカでは1万2千年前まで旧人類と共存していたとされる。 現代のコイサン族の祖先は15万年前、一説では26万年前にアフリカ南部に拡散していた。海洋酸素同位体ステージ5期が始まる前の13万年前までには、コイサン族の祖先となるアフリカ南部のハプログループL0 (mtDNA)(英語版)の集団と、アフリカ東部からアフリカ中央部にいたマクロ・ハプログループL1-6 (mtDNA)(英語版)の集団(コイサン族以外の現生人類の祖)の2つの集団があった。12万5千年から7万5千年前にはハプログループL0の集団は東アフリカへ大規模に移動している。 ピグミーの祖先となる集団は6万年前まで(おそらく13万年前より以前)にはアフリカ中央部において拡散していた。 西アフリカでは見つかっている化石が少なく、アフリカの他の地域に比べて研究が難航している。13万年前にはサヘル地域に到達していたと推定されるが、西アフリカの熱帯地域では13万年前以前のホモ・サピエンスの化石は見つかっていない。 西アフリカではアフリカの他の地域に比べて比較的遅い完新世が始まるころまで中期石器時代(英語版)が続いて旧人類がこのころまで存在し、ホモ・サピエンスと混血したことが示唆されている。
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