アダプテーションと言及
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/29 08:56 UTC 版)
「シンベリン」の記事における「アダプテーションと言及」の解説
トマス・ダフィーによる改作版『The Injured Princess, or, the Fatal Wager』は1682年にドルリー・レーン劇場(Theatre Royal, Drury Lane)で上演された。おそらくKing's CompanyとDuke's Companyの合同上演だと思われる。登場人物の幾人かの名前とディテールが変更され、王政復古期に典型的なサブプロット(貞淑に夫の帰りを待つ女がクローテンの罠から逃げる)が追加された。さらにピザーリオが、ユージニア(イモージェンのこと)の裏切りを一度は信じるように変更されている。ポステュマスも、妻は若くて美人ゆえに、本当に自分を愛したのではなかったのだと認める。 ウィリアム・ホーキンスの1759年の改作は、三一致の法則に基づいたものである。ホーキンスは王妃をカットし、宮廷とウェールズの森の場面を縮小した。アーヴィラガスたちの葬送歌にはトマス・アーンが曲をつけた。 18世紀の終わりには、ヘンリー・ブルック(Henry Brooke)が改作したが、上演はされなかった。ブルックは劇におけるポステュマスの重要性を高めるため、グィディーリアスとアーヴィラガス兄弟を消去した。 ジョージ・バーナード・ショーの1937年の『シンベリン』は第5幕を失敗と考えての改作だった。ショーは1896年のエレン・テリー主演の舞台の不合理さに不満を漏らしていた。 『シンベリン』でおそらく最も知られているものは、第4幕第2場の葬送歌である。 Fear no more the heat o' the sun,Nor the furious winter's rages;Thou thy worldly task hast done,Home art gone, and ta'en thy wages:Golden lads and girls all must,As chimney-sweepers, come to dust. 恐るゝな夏の暑さも今ははや。はげしき冬のあらしをも。此世の勤め成(な)しはてゝ其代(しろ)も得て行く旅路(たびぢ)。あゝ、富みたるも貧しきも身まかれば、おなじ塵、あくた — 坪内逍遥・訳 最後の2行は、T・S・エリオットに霊感を与え、『Five-Finger Exercises』の中の『Lines to a Yorkshire Terrier』を書かせた。 最初の2行はヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』に登場し、ダロウェイ夫人の意識を第一次世界大戦の精神的外傷に向けさせる。この歌は『ダロウェイ夫人』の有機的なモチーフになっている。 スティーヴン・ソンドハイムのミュージカル『フロッグス(The Frogs)』の最後では、ウィリアム・シェイクスピアがジョージ・バーナード・ショーと、どちらが優れた劇作家かを巡って争っている。勝者は世界を改善するために死から生き返らされる。死についての意見を聞かれた時、シェイクスピアはこの葬送歌(『Fear No More』)を歌う。
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