アジアの需要の増加
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「2007年-2008年の世界食料価格危機」の記事における「アジアの需要の増加」の解説
過去20年間、アジアにおいて中産階級の人口は増加した。アジアでは巨大な貧富の格差が依然として残っているが、この地域における中産階級は劇的に増加し、この傾向はまだ続くものと予想されている。中産階級は1990年の国の人口に占める割合とそれぞれ比較して、インドでは9.7倍、中国では8.6倍増加した。しかし、2008年の増加率はそれぞれ約30%と約70%となった。 富裕層の増加に伴い、ライフスタイルと食生活の変化が起こり、より多くの種類の食物と肉類の需要が高まり (ご飯に代わりハンバーガーが求められるようになった)、 より多くの農業資源への需要に繋がった。この需要は2003年以降の原油価格の上昇と共に劇的な食料価格高騰の原因になった。 2005年/1990年の1人当たりの消費量の比インド中国ブラジルナイジェリア穀類 1.0 0.8 1.2 1.0 肉類 1.2 2.4 1.7 1.0 牛乳 1.2 3.0 1.2 1.3 魚介類 1.2 2.3 0.9 0.8 果物類 1.3 3.5 0.8 1.1 野菜類 1.3 2.9 1.3 1.3 国際食糧政策研究所の所長であるヨアヒム・フォン・ブラウンは、新たに成功した人々のゆっくりとした食生活の変化が世界の食糧価格上昇の最も重要な要因であると述べた。 しかし、世界銀行は食生活の変化はバイオ燃料の影響に次ぐものであるとした。 国連食糧農業機関の2008年4月における分析では、世界の穀物消費は2006年以来1%上昇した。食糧の消費が増加したところでは主として食料に付加価値が加えられ、先進国や開発途上国で販売されている。 2006年以降の世界全体の穀物消費の増加(3%の増加、2000年から2006年にかけては年間平均2%増)は非食品用途、特に飼料とバイオ燃料への利用が最も多かった。 1kgの牛肉を得るには7kgの飼料が必要である。それゆえ、これらの報告では質素な穀物を消費する貧困層の人口増加ではなく、工業や飼料への集中した食料の利用が食料価格高騰の原因となったと結論付けた。
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