たぬき丼とは? わかりやすく解説

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たぬき‐どん【×狸丼】

読み方:たぬきどん

熱い飯の上天かすをのせ、天つゆをかけたもの東京早稲田大学近く弁当屋元祖という説がある。


たぬき丼

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/31 03:20 UTC 版)

天かすを卵でとじたたぬき丼。神奈川県横浜市内の蕎麦屋にて。

たぬき丼(たぬきどん)もしくはハイカラ丼(ハイカラどん)は、日本丼物の一つ。丼鉢に盛った飯の上に、具として天かす(揚げ玉)[3]、または鶏卵でとじた天かすを乗せたもの[1]。主に関東地方蕎麦屋などで提供されている他[1][4]料理書籍や料理関係のウェブサイトなどで、簡単にできて満腹感の得られる丼物として紹介されている[2][4]滋賀県甲賀市信楽町ご当地グルメでもある[5]

天かすのみのたぬき丼

天かすのみのたぬき丼。神奈川県川崎市内のうどん屋にて。

国語辞典『大辞泉』での定義によれば、「たぬき丼」は、熱い飯の上に天かすをのせ、天つゆをかけた丼とされる[3]

簡単な料理を多数紹介する漫画セイシュンの食卓』でも、手早く料理できる上に満腹感も得られる料理として「カンタンたぬき丼」の名で紹介されている[2]。口当たりを良くするため、飯の上に大根おろしを乗せ、その上に揚げ玉を乗せるよう工夫されている[2][注 1]

テレビ東京情報バラエティ番組出没!アド街ック天国』では、2009年(平成21年)3月に、東京都台東区内の食事処で、常連客が無料サービスの揚げ玉を飯にふりかけ、醤油をかけて「たぬき丼風」にして食べると紹介された[7]

ルーツ

わせだの弁当屋のたぬき丼
東京都新宿区西早稲田、わせだの弁当屋

『大辞泉』では、東京都の早稲田大学近くの弁当屋が、たぬき丼の元祖という説が紹介されている[3]

同書では店名を明記していないものの、早稲田大学近くの新宿区西早稲田の「わせだの弁当屋」のメニューには、「たぬき丼」の名の弁当が存在する。揚げ玉とネギだけを丼の具にし、甘辛いタレで仕上げ、わずかにコンブ金平ゴボウ柴漬を添えただけのもので、ボリュームと安価を特徴としている[8][9]

同店によれば、かつての社長が考案したメニューとされる[8]。弁当の具に揚げ物が多く、天かすがよく出るため、その天かす自体を弁当の具とし、貧乏な学生向けに開発したので、安価なのだという[8]

先述の『出没!アド街ック天国』でも2008年(平成20年)6月に、西早稲田の名所の一つとして同店が紹介され、たぬき丼についても触れられた[10]

天かすを卵でとじたたぬき丼

天かすとたまねぎなどを卵でとじて白飯にのせた「たぬき丼[1][11][注 1]」は、天かす入りの玉子丼と考えれば理解しやすい。主に首都圏の蕎麦屋などで親しまれている[4]

著作家の東海林さだおは、東京都渋谷区内の蕎麦屋で、このたぬき丼を食べた体験を自著『ゴハンの丸かじり』で紹介している[1]。東海林は、汁を吸った揚げ玉と卵の食感、それらの具と飯の調和を「美味」と評価する一方で、食べ慣れている親子丼カツ丼と比較し、衣の中身が無いことに多少の寂しさを述べている[1]。また、たぬき丼を注文した際、周囲の客が誰も関心を示さなかったことから、東海林はたぬき丼を、東京の蕎麦屋ではごくありふれたメニューと見ている[1]

テレビ西日本のローカル情報番組『ももち浜ストア』では、2016年(平成28年)8月の放送で、蕎麦屋の賄い料理として紹介されている[11]

NHKで簡単な料理を紹介する料理番組きょうの料理ビギナーズ』でもレシピが紹介されており、揚げ玉のコクと卵の旨味が評価されている[12]

信楽町のたぬき丼

画像外部リンク
信楽町のたぬき丼の一例 - 信楽町観光協会

信楽焼タヌキで知られる滋賀県甲賀市信楽町では、2010年(平成22年)に開催された芸術イベント「信楽まちなか芸術祭」の目玉企画として、信楽町のご当地グルメ「たぬき丼」が考案された[13]。このときに取材漫画家兼イラストレーターの新里碧[注 2]により製作された食べ歩きガイドの地図「たぬき丼マップ」は、朝日新聞中日新聞に取り上げられ、NHKの取材も入り、大きな反響を呼んだ[15]

翌々年の2012年(平成24年)には、同町のイベント「信楽狸かえるでぇ〜・2012」に伴う期間限定商品として、このたぬき丼が町内の各店で提供された[13][17]。その後も2018年(平成30年)に至るまで毎年、「信楽たぬきの日」に定められた11月8日に合わせて、期間限定で提供されている[5][18]

信楽のたぬき丼は「天かすを使った丼[17]」「各店舗おすすめの、美味しく化けた丼[19]」のみが定義とされており、それ以外は各店ごとに独創的なアイディアに富んでいる[13]。タヌキをあしらった器、近江地鶏や卵の入った丼、ハンバーガー仕立ての「たぬきバーガー」、インドネシア風の甘辛い味付けなど、様々な趣向が凝らされている[13][20]

その他

料理研究家のシラサカアサコ[注 3]は、夜遅い帰宅後も手早くできて美味、カロリーも控え目の「おそごはん」と称するメニューの一つとして、揚げ玉と豆腐を炒めて丼の具とする「とうふたぬき丼」を紹介している[22]

画像外部リンク
カツオチャンジャのたぬき丼 - 満天☆青空レストラン

バラエティ番組『満天☆青空レストラン』で2017年9月に紹介された「カツオチャンジャのたぬき丼」は、天丼のように天かすを飯に乗せるのではなく、飯に混ぜ合せた料理であり、味付けも天丼とは異なる[23]

脚注

注釈

  1. ^ a b セイシュンの食卓』では、卵とじの天かすを具とした丼物を「かす丼」の名で紹介している[6]
  2. ^ 新里 碧(にっさと みどり、1984年昭和59年〉1月[14] - )。取材漫画家兼イラストレーターで[15]、観光マップ制作も手掛ける[16]。東京都出身[14]東京芸術大学美術学部先端芸術表現科卒業[16]
  3. ^ シラサカ アサコ(1979年〈昭和54年〉 - )。料理研究家。SNSを活用した料理紹介で好評を得る。埼玉県出身、エコール・キュリネール国立辻製菓専門カレッジ修了[21]

出典

  1. ^ a b c d e f g 東海林 2002, pp. 184–187
  2. ^ a b c d たけだ 1987, p. 49
  3. ^ a b c d 松村監修 2012, p. 2260
  4. ^ a b c 揚げ玉で手軽に天ぷら食感! すぐにできる「たぬき丼」”. ペコリ. サイバーエージェント (2016年6月6日). 2018年11月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月10日閲覧。
  5. ^ a b たぬきグルメチラシ”. ほっとする信楽. 信楽町観光協会. p. 2 (2017年10月20日). 2018年11月10日閲覧。
  6. ^ たけだみりこ、東京ブリタニアン『セイシュンの食卓』 2巻、角川書店角川文庫〉、1996年2月25日(原著1988年)、61頁。ISBN 978-4-04-197202-1 
  7. ^ 傳丸(柳橋)”. 旅グルメ. テレビ東京 (2009年4月4日). 2018年10月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月10日閲覧。
  8. ^ a b c 牛嶋健 (2014年6月12日). “弁当屋でまさかのマシマシ!「わせだの弁当屋」はボリュームが鬼ハンパない”. マイナビニュース. マイナビ. 2018年11月10日閲覧。
  9. ^ P.K.サンジュン (2015年7月11日). “【激安&激ウマ】米と揚げ玉が1:1! 超カロリー上等「わせだの弁当屋」の『たぬき丼』が男らしすぎる!! しかもたったの250円ッ!!”. ロケットニュース24. ソシオコーポレーション. 2018年11月10日閲覧。
  10. ^ わせだの弁当屋”. 出没!アド街ック天国. テレビ東京 (2008年6月14日). 2018年11月10日閲覧。
  11. ^ a b 激ウマたぬき丼”. ももち浜ストア. テレビ西日本 (2016年8月17日). 2018年11月10日閲覧。
  12. ^ 河野雅子 (2016年5月10日). “たぬき丼”. きょうの料理ビギナーズ. 日本放送協会. 2018年11月3日閲覧。
  13. ^ a b c d 花井勝規「たぬき丼 器や味付けにこだわり 甲賀・信楽の10店 期間限定で復活」『中日新聞中日新聞社、2012年11月14日、朝刊、19面。
  14. ^ a b 新里碧「80日間チャレンジ 3人娘 離島リレーリポート」『中日新聞』2011年10月14日、朝刊、18面。
  15. ^ a b 江川知里 (2016年11月20日). “「辞めるのは特別なことじゃない」“外資系キラキラ女子”が会社を辞めたワケ”. ウートピ. 協和. 2018年10月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月10日閲覧。
  16. ^ a b about me”. 新里碧. 2018年11月10日閲覧。
  17. ^ a b 復活! たぬき丼”. ほっとする信楽 (2012年). 2018年11月10日閲覧。
  18. ^ 11月の信楽は狸三昧!「見て・買って・食べて」たぬきイベントを楽しもう!|滋賀ガイド!”. ほっとする信楽 (2018年). 2018年10月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月10日閲覧。
  19. ^ 森岡進一「カメラで巡る日本遺産滋賀信楽の旅」(PDF)『滋賀縣人』第190号、東京滋賀県人会、2017年8月1日、15頁、 オリジナルの2018年10月23日時点におけるアーカイブ、2018年11月10日閲覧 
  20. ^ 復活! たぬき丼” (PDF). ほっとする信楽 (2012年11月). 2018年11月10日閲覧。
  21. ^ 谷本有香 (2015年4月). “SNSを活用して輝く女性たち”. 東京ウーマン. 東京片岡英彦. p. 2. 2018年11月10日閲覧。
  22. ^ シラサカアサコ『あさこ食堂の一緒に食べたいおそごはん!ディスカヴァー・トゥエンティワン、2012年11月15日、38-39頁。 ISBN 978-4-7993-1247-6http://asacokitchen.com/23292018年11月10日閲覧 
  23. ^ カツオチャンジャのたぬき丼”. 満天☆青空レストラン. 日本テレビ放送網 (2017年9月). 2018年11月10日閲覧。

参考文献

関連項目


たぬき丼

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 02:30 UTC 版)

天丼」の記事における「たぬき丼」の解説

揚げ玉載せた丼。卵とじにする場合もある。東京では小さなイカ海老団扇状に揚げ天丼したものもこう呼ぶ。

※この「たぬき丼」の解説は、「天丼」の解説の一部です。
「たぬき丼」を含む「天丼」の記事については、「天丼」の概要を参照ください。

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