その奇妙さとは? わかりやすく解説

その奇妙さ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/15 14:42 UTC 版)

ヘンペルのカラス」の記事における「その奇妙さ」の解説

ヘンペルのカラス」の奇妙さ表したものとして「室内鳥類学」という表現がある。これは、実物カラスが1羽も観察できない室内でも、室内にある黒くないものを次々と観察することで、「ヘンペルのカラス」の論法に従ってカラスについての性質確証性を高めることができてしまうという奇妙さ指摘したのである実際には「世の中全ての黒くないものを全て調べる」という前提満たせていなくとも、室内くまなく調査して世の中全体把握するために十分なサンプル得られたと判断すれば類推による一般化によって「カラスは黒い」という命題妥当性高めることができるし、同様の方法で「カラスは白い」「カラスは赤い」といった命題も、「白くないもの」や「赤くないもの」の総数によっては、最も確からしい命題となるかもしれない(「確証性の原理」も参照)。これ自体一般化不適切な例であり、誤謬であるのだが(「早まった一般化」を参照)、この論法の「実物観察できなくても」という前提を「観察できないものについても」と言い換えることができるならば、同様の形式で「八本脚でないもの」を調べて火星人ではない」ことを確認していき、「火星人八本脚である」と結論づけることもできてしまう。 さらに、「世の中全ての黒くないものを全て調べる」場合、「『黒くないもの』の数」をどのように考えるかも問題になる。例えば、白人の指を「黒くないもの」の一つ数えるか、それともその指や手足全体含んだ人間一人一つ数えるかによって、「黒くないもの」の数は変わる。一般的には世界中事物から何を黒くないもの」として分節化概念化するかという可能性無限にあり、「黒くないもの」を無限に見積もることも可能である。「世の中全ての」の範囲について問題である。宇宙には無限に黒くないもの」があるとすれば実際にヘンペル論法証明用いることはできなくなる。「黒くないものはカラスでない」ことを証明するために「黒くないもの」を順に調べようとしても、その作業永遠に終わらないからである。 もし、カラス存在確かなものとして前提にでき、さらに「黒くないもの」の総数有限であると仮定したとしても、「ヘンペルのカラス」が直観反す理由は、「黒くないもの」の数が想像絶して大きいことが挙げられる。ある命題について、それが真であることを確かめるには個々事例全て調べ尽くすことができればよい。命題正しさ信頼度合は、調べた事例の全事例対す比率一致する確証性の原理)。しかし「黒くないものはカラスではない」という命題真偽調べ場合、また「黒くないもの」の数は極めて大きいので、「黒くないもの」を全て調べることは事実上不可能である。この論法を「カラスのパラドックス」とも呼ぶのは、ヘンペル論法に従ってカラスが黒い」ことを証明するのが現実には不可能であるという見地立ったのであるこのように不可能なことを可能であるかのように扱う論法は、相手納得させるための証明手段としては不適切である。 一方実際に調べなければならない個々事例常識的なであれば対偶論法による証明は有効である。例えカラスを含む数十種類動物飼っている動物園があったとする。この動物園には、赤・青・黄色・黒四つがあり、この他や、の外で飼育されている動物存在しない。黒以外の三つをすべて見終わった時点で、(黒以外の)どのにもカラスはいないことを確かめた。このとき、カラスがこの動物園飼育されているという前提確かならば、「カラスは黒いにいる」ということは実際にカラスを見るまでもなく明らかである。また、元の命題当てまるもの対象全体のうち多数占め場合など、対偶調べた方が容易となる場合もある。例え多数カラス構成され群れ中に少数黒くないものが混じっているような場合に、群れの中の全てのカラスが黒いことを証明するような場合がそうである。

※この「その奇妙さ」の解説は、「ヘンペルのカラス」の解説の一部です。
「その奇妙さ」を含む「ヘンペルのカラス」の記事については、「ヘンペルのカラス」の概要を参照ください。

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Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのヘンペルのカラス (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

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