軽率な一般化
早まった一般化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/12 22:51 UTC 版)
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早まった一般化(はやまったいっぱんか、Hasty generalization)とは、形式的な誤謬または詭弁の一つ。以下のような論証形式の推論をいう早まった類推や類推の危険とも。
- AはXである。
- BもXである。
- CもXである。
- DもXである。
- したがって、いかなる場合もXである。
この形式は論理的に妥当でない。少ない例から一般的な結論を導こうとしており、これが早まった一般化となる。つまり、Xを満たすものが存在するという一部の個別の事実から全体を判断していて、それ以外のEからZまでの中に、Xでないものが存在する可能性が全く考慮に入れられていないため、誤りになる。
具体例
この論証形式が妥当でないと示すには、真の前提から明らかに偽の結論が導かれる反例を挙げればよい。
- 富士山は火山である。
- 浅間山も火山である。
- 桜島も火山である。
- 三原山も火山である。
- 従って、全ての山は火山である。
対象となる集合のうち全要素が正しいと証明できる場合は、妥当である。例えば、
- ライオンは草食でない。
- トラは草食でない。
- チーターは草食でない。
- ヒョウは草食でない。
- …(残り全てのネコ科について言及)
- よって、ネコ科に草食の種は存在しない。
という論証は妥当である。
- 月には動植物は存在しない。
- 水星も同様である。
- 金星も同様である。
- 火星も同様である。
- よって、地球以外に動植物が存在する星はない。
という論証は、膨大な天体の数から考えてあまりに示された例が少数であり、太陽系以外の天体について確認の方法がないことから、早まった一般化と言わざるをえない。
数学のように厳密な論証のできる分野では、演繹的に論証することで、あるいは数学的帰納法のような方法を用いて証明することでそれが可能である。しかし、このことはそれが簡単であることを意味するものではない。
脚注
- ^ 予稿集(PDFファイル カラー版) 日本山岳会、2017年12月24日閲覧
関連項目
早まった一般化 (hasty generalization)
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「詭弁」の記事における「早まった一般化 (hasty generalization)」の解説
詳細は「早まった一般化」を参照 A「私が今まで付き合った4人の男は、皆私に暴力を振るった。男というものは暴力を好む生き物なのだ」 Aの発言は、少ない例から普遍的な結論を導こうとしており、早まった一般化となる。仮に「男というものは暴力が好きなのかもしれない 」と断定を避けていれば、その発言は帰納となる(帰納は演繹ではないので、厳密には論理的に正しくない)。Aの発言を反証するためには、暴力が好きでない男の存在(ある男は暴力的でない)を示せばよい。Aの発言は、「1は60の約数だ。2も60の約数だ。3も60の約数だ。4も60の約数だ。5も60の約数だ。6も60の約数だ。つまり、全ての自然数は60の約数なのだ」と論理構造は等しい。 この種の話法例は容易であり「ある貧困者が努力により成功した」「ある障害者が努力により成功した」などの論調により統計的な検証を待たずして命題として認証される誤謬の原因となる可能性がある。ある貧困者や障害者が「努力」を要因として成功したとしても、それは問題の解決にとって論証的に有効な提示となりえるかどうかは分からない。都合の良い事例や事実あるいは要因のみを羅列し、都合の悪い論点への言及を避け、誤った結論に誘導する手法は「つまみぐい (チェリー・ピッキング)」と呼ばれる。また、極稀な例を挙げ、それをあたかも一般的であるように主張することもこの一種となる。
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