その他のエピソード ・伝承
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/23 02:29 UTC 版)
「パラケルスス」の記事における「その他のエピソード ・伝承」の解説
植物薬が主であった時代に治療に錬金術(化学)を導入し鉱物・化合物を薬として利用する、1500年近く主流であった四体液説を否定するといった、パラケルススの型破りな思想・行動は受け入れられにくかった。聖域的なドグマを廃し、すべてを議論し直すことを望んだため、多くの敵を持ち人生は争いの連続となり、著作の出版も困難になるほどであった。波乱に満ちた人生は錬金術師としての名声とも相まって伝説化し、様々な噂が立つこととなった。例えば、パラケルススが「賢者の石」を生成したという話は典型的な伝説の一つである。「ホムンクルス」(人造人間)の生成にも成功したと言われる。パラケルススは常に剣あるいは杖を持っていたともいわれ、柄に「Azoth」と書かれていたため「アゾット剣」と呼ばれ、この剣(杖)には賢者の石が入っていたとも言われている。 悪魔使いであったともいわれる。「アゾット剣」の中に悪魔を封じ込めており、悪魔に物体を黄金に変えさせるなどをして使役したと伝わっている。いつかは不明であるがインスブルックに居たパラケルススは悪魔の声を聞き、すぐ近くにある十字架に囲われていたモミの木に悪魔が封印されていることを知ると、この悪魔を騙して救出し、それから「アゾット剣」の中にもう一度封じ込めたと言う伝説が残っている。 一説にはタロットカードの「魔術師」のモデルとされることがあるが定かではない。 パラケルススは様々な場所を遍歴しているのにも関わらず、女性遍歴に関する話題が挙がらないことから「パラケルススは勃起不全(インポテンツ)だった」と言う説や、同性愛者だったと根も葉もないことをでっち上げてパラケルススを馬鹿にしたと伝わっている。その他、幼い頃に豚にペニスを食いちぎられたりなどと言った伝説も存在する。またパラケルススは大の酒好きだったとされ、パラケルススの死因の一つに居酒屋で泥酔した挙句喧嘩になって命を落としたと言う説も存在する。 上記のようなパラケルススを侮辱したエピソードが多いが、中にはパラケルススから黄金を貰ったと言う貧しい農家の話もある。それはパラケルススがインスブルックの近くを放浪中に貧しい農家の息子を治療した際に、息子の母が「何もございませんが、先生、ジャガイモの揚げたものを召し上がって下さい。」と言いパラケルススをもてなした。彼はこのご馳走に感動し、農家の暖炉の上に置いてあった一本の火かき棒を取ると、アゾット剣の鍔の容器から黄色い軟膏を取り出して、火かき棒に塗り付け、錆びた鉄の火かき棒が、たちまち黄金に変わったと言う。そしてパラケルススは「これを持って金細工屋へ行くと良い。高く売れる。」と言った後に農家を立ち去ったと言われている。ただし、パラケルススの錬金術は医療面での利用が主であり、黄金の製造を目的とはしていない。
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