犬飼の舞台
名称: | 犬飼の舞台 |
ふりがな: | いぬかいのぶたい |
種別: | 民俗芸能、娯楽、遊戯に用いられるもの |
員数: | 1棟 |
指定年月日: | 1998.12.16(平成10.12.16) |
所有者: | (宗)五王神社 |
所有者住所: | 徳島県徳島市八多町八屋67-3 |
管理団体名: | |
備考: | |
解説文: | 犬飼の舞台は、五王神社境内にあり、社殿から一段低く、山肌を切り盛りした平土間に南面して建つ。明治初期の建築で、上手側面に斜めに太夫座を設け、背面には奥千畳場【おくせんじようば】という別棟を組み込み、人形舞台特有の舟底舞台の形式を残している。 舞台の間口は5間(10.84m)、奥行は3.5間(6.9m)で、正面は腰板の上に雨戸が入る。室内は、手前から、人形遣いの入る二の手、一般には上段などと呼ばれる一段高くなった本手、襖カラクリを行うための敷鴨居を設けたカラクリ場、御殿奥の大広間の風景を見せる奥千畳場と続く。本手の天井、カラクリ場、奥千畳場には襖カラクリの機構が設置されている。人形芝居では舞台背景に多数の襖絵を使用し、場面転換する仕組みとなっている。舟底楽屋は、この舞台の特徴の一つである。これはカラクリ場の下の地面を40㎝ほど掘り窪めて造った三和土造りの楽屋で、徳島県内でも他に現存例がみられない。 なお、この舞台では人形浄瑠璃のほかに歌舞伎も行われた。歌舞伎で使用する際には、雨戸を二の手の床に使い、本手の床を上げて両者を同一平面とし、腰板上端と同じ高さの平舞台を造った。 この舞台は、昭和30年代半ばから使用されずにあったが、昭和51年に阿波の人形芝居が徳島県指定無形文化財に指定されたのを機に、大規模な修理を行い、同年の五王神社の秋祭りから再び人形芝居で使用されるようになっている。 徳島県は我が国でも現存する舞台数が最も多い県の一つで、そのほとんどは人形舞台である。その中でも犬飼の舞台は、舟底楽屋の構造をもつなど、人形舞台の機構が原形に近い状態で残されている全国的にも類例の少ないものであり、また徳島県の人形舞台に特徴的な襖カラクリの機構も備えていることから、我が国の農村の舞台を考える上で重要なものである。 なお、徳島県の人形舞台に特徴的な襖カラクリの操作法については、「阿波の襖カラクリの習俗」として平成11年に記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財に選択されている。 |
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