『貴婦人年鑑』
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「ジューナ・バーンズ」の記事における「『貴婦人年鑑』」の解説
『貴婦人年鑑』(1928年)は、パリのナタリー・クリフォード・バーニーのサロンを中心とするレズビアン社交サークルについての実話モデル小説である。バーンズ自身によるエリザベス朝様式の板目木版画が添えられ、古風な、ラブレーふうの文体で書かれている。 バーニーはデイム・エバンジェリン・ミュッセとして登場するが、「彼女は心では、後部と前部で、そして最も彼女らを苦しめた部分ならどこででも、ひどく嘆き悲しむ少女たちの、追求と休息と気晴らしのための一大赤十字であった」。デイム・ミュッセは、若いときは「先駆者で厄介者」であったが、「ウィットがあり学識のある50歳」に達している。彼女は苦悩する女性を救い、知恵を授け、死の時は聖人に叙せられている。同様に偽名で現れるのは、フランス人女性作家エリザベス・ド・グラモン(1875年 - 1954年)、アメリカ人女性画家ロメーヌ・ブルックス(1874年 - 1970年)、社交界人女性ドリー・ワイルド(ドロシー・ワイルド(1895年 - 1941年)。オスカー・ワイルドの姪)、イギリス人レズビアン作家ラドクリフ・ホール(1880年 - 1943年)とそのパートナーの彫刻家ウナ・トラブリッジ(1887年 - 1963年)、アメリカ人ジャーナリストで両性愛者女性ジャネット・フラナー(1892年 - 1978年)とソリータ・ソラノ(1888年 - 1975年)、そしてミナ・ロイである。 『貴婦人年鑑』の曖昧な言葉遣い、うちわの冗談および両義性のために、批評家はこれが愛情のこもった風刺であるのかそれとも辛辣な攻撃であるのか論議を続けているが、バーンズ自身はこの本を愛し、一生、読み返した。 『貴婦人年鑑』の12のセクションは、それぞれ1年間の12の月に対応している構成である。
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