『貧民の子供たち』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 04:33 UTC 版)
「ジェイコブ・リース」の記事における「『貧民の子供たち』」の解説
続編は1892年の『貧民の子供たち(Children of the Poor)』であり、リースは特に出会った子供たちについて書いた。これは『向こう半分の人々の暮らし』と全く同じ立場に立っており、同じ内容を含んでいる。現状を改善するための事実を集めることが目的であって、リース自身が「二つの本は一つ」であり、この本を刊行するにあたって「何も付け加えることはない」と述べている。従って本書にはイタリア人やユダヤ人を中心にスラム街の子供の様々な生活の悲惨さを記録している。統計などの一般的な記述もある一方、『向こう半分の人々の暮らし』に比べると具体的な事例に則した記述が多く、調査的な記録となっている。実際、当時の批評家たちも、第一作ほどの人気を博しはしなかったものの、本書はそれ以上に論拠とする諸事実を豊富に含んでいると、高く評価していた。 井垣章二は本書について、『向こう半分の人々の暮らし』を子供に集中したものである一方で、この問題展開自体はある程度予測しうるものであったと分析している。なぜならリースは第一作の後半ですでに子供の問題に集中しており、子供がスラムの悪環境に晒されている問題性を大きく指摘しているからであるという。そして、その意味では『貧民の子供たち』は『向こう半分の人々の暮らし』の続編という位置づけにありながら、この子供を取り巻く環境の問題こそがリースの中心課題であったことを指摘している。従って、本書の後半ではますます明確に児童に対する教育と福祉活動の状況と評価をへて、実践的課題を提示していることを述べている。
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