「2期目」の開始と暫定大統領との並立
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「ニコラス・マドゥロ」の記事における「「2期目」の開始と暫定大統領との並立」の解説
2019年1月10日、マドゥロは二期目の大統領就任を発表した。しかし先の選挙の不当性を訴える野党指導者で国会議長のフアン・グアイドが暫定大統領就任と大統領選挙やり直しを宣言した。グアイドの宣言はマドゥロ政権寄りの最高裁判所(スペイン語版)によって却下されたが、アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領は「マドゥロの政権は正統ではない。ベネズエラにおいて唯一正統なのは国会である」としてグアイドの暫定大統領就任をただちに承認した。これに対抗して1月24日にマドゥロはアメリカと断交することを発表したが、米国政府は「グアイド政権を通じてベネズエラとの外交関係を維持する」としている。その後アメリカに続く形で西側諸国が続々とグアイド暫定大統領就任を支持表明した。ドナルド・トゥスク欧州理事会議長も支持する動きを見せ、2月4日には欧州19ヶ国がグアイドの承認を行っている。2月末までには50か国以上がグアイドを承認した。一方でロシア、中国、北朝鮮、イラン、キューバ、トルコ、シリア、パレスチナ、ボリビアなどはマドゥロを支持しており、これらの国々の国連大使によってマドゥロ支持で共同行動するグループが結成され、国際連合安全保障理事会ではロシアと中国は欧米の提出した対ベネズエラ決議案に対して拒否権を行使した。 アメリカとの国交断絶によって米ドルに換金することができなくなったため、中央銀行に保管する金をユーロに換金している。マドゥロは教皇フランシスコに反政府派との仲介を求める書簡を送るなどの動きも見せている。 グアイドはベネズエラ難民が多数避難している隣国コロンビアに米国の支援物資集積施設を設置し、支援物資をベネズエラ国内に運び込もうとしたが、マドゥロは「ベネズエラに人道危機など存在しない。米国が援助を利用してクーデタを起こさせようとしている」と主張し、支援物資の受け取りを拒絶。2月23日に支援物資を積んだトラックがコロンビアからベネズエラへ入ろうとしたが、マドゥロ支配下のベネズエラ治安部隊と衝突して多数の死傷者を出した。さらに同日「グアイドと共謀するドゥケ大統領が軍事侵攻を企んでいる」としてコロンビアとの断交を宣言した。 マドゥロは出国禁止命令を無視する形で出国したグアイドを帰国次第処罰するとしていたが、3月4日のグアイド帰国の際、グアイドの身柄拘束を阻止するためにドイツをはじめとする欧州諸国の外交官が空港まで出迎えにきたため、国際的批判の高まりを恐れてその日の身柄拘束は見送った。しかし3月6日にマドゥロはグアイドの出迎えたドイツ大使ダニエル・クライナー(ドイツ語版)を「野党の過激主義者と共謀した」として「ペルソナ・ノン・グラータ」に指名し、ベネズエラから追放すると宣言した。この決定についてドイツ政府は「理解できない決定だ」「欧州のグアイド氏支持はゆるぎない」として「マドゥロ氏を標的とした制裁に賛成する」と表明した。米国政府はマドゥロ政権高官と家族のビザを取り消すとともに外国の金融機関でマドゥロ政権に利益を与えるような取引に関与した者は制裁に直面するとの見解を表明した。 その後もベネズエラ国内の混乱は収まらず、3月17日には自政府の全閣僚に対して辞任するよう要請した。これは、政権を立て直し国家統治を強化する目的があった。
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