「新潮45」恵庭事件記事訴訟
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「恵庭OL殺人事件」の記事における「「新潮45」恵庭事件記事訴訟」の解説
雑誌『新潮45』2002年2月号(1月18日発売)が「恵庭美人OL社内恋愛殺人事件」とのタイトルで、本事件に関する記事を掲載。同記事はほぼ同じ内容で『殺ったのはおまえだ-修羅となりし者たち、宿命の9事件』(新潮文庫、2002年11月1日発売)に収録された。これらついて、Xが発行元の新潮社、『新潮45』編集長の中瀬ゆかり、記事を執筆したノンフィクションライターの上條昌史を相手取って東京地方裁判所に訴えを提起した。 原告であるXは、上記記事・書籍が、 同僚女性に対する殺害、死体損壊事件(本事件) Xの以前の職場で起きた放火、窃盗事件 について、Xが犯人であるとの事実を摘示するものであり、名誉毀損に当たると主張。上記書籍の販売の差し止めおよび回収、謝罪広告の掲載ならびに1100万円の損害賠償の支払いを求めた。 この民事裁判が一審で係属中に、刑事裁判の方が最高裁で確定した(有罪)。 2007年1月23日の東京地裁判決(高野伸裁判長)は、上記1事件については最高裁で有罪判決が確定していることからXが犯人であるとし、新潮社側の不法行為を認めなかった。一方、上記2事件については、記事の内容はXを犯人と指摘するものであり、かつ、そう指摘できるだけの十分な取材がなされているとはいえないとして、不法行為を認めた。そのうえで、損害賠償として220万円の支払いと、記事の問題箇所を取り除かないままでの書籍の販売等の差し止めを命じた。 この判決に対する評価としては『販売中の書籍の回収と謝罪記事を認めなかったため不服』とする原告側の意見[要出典]と、『出版差し止めはやりすぎで、損害賠償で事足りる』とする清水英夫・青山学院大学名誉教授(言論法)の意見[要出典]がある。 一審判決に対し、新潮社側は「殺人犯の主張を一部とはいえ認めるもので、編集部としては到底承服しがたく、即刻控訴の手続きをとった」。 同年10月18日、控訴審である東京高等裁判所(吉戒修一裁判長)は、一審同様名誉毀損を認めたが、販売の差し止めは認めず、賠償額も110万円に減額した判決を言い渡した。 なおこの記事の取材過程において、上條が「警察の捜査は予断に満ちたものであり、冤罪の可能性も含めて検証したい」と恵庭事件冤罪支援会に取材を申し込み、支援会の協力を得たうえで現場取材をしている。そのため、取材目的を偽った『騙し取材ではないか?』と指摘されている。
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