「新港文書」の解読
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/07 14:21 UTC 版)
新港文書の解読は言語学のみならず、平埔族の歴史と社会の研究にも大きく貢献した。1930年代において新港語は解読不可能な言語と認識されていたが、村上直次郎・小川尚義らは一部の単語の解読に成功し、村上はその成果を1933年に『新港文書』として出版した。戦後は翁佳音による研究が進められ、一部解読が可能となった。 新港文書の読解には基本テキストとして、現存する2種類の新港語単語集を用いる。一つは『Vocabulary of the Formosan Language Compiled from the Utrecht Manuscripts』であり、合計1,070語の新港語語彙を含む。もう一つは清代地方志である『諸羅県志』巻八〈風俗志‧蕃俗考‧方言〉であり、これには約250個の単語が収録されている。解読作業はこれらの単語をもとに、漢番対照表記を参照して進める。 新港文にはローマ字とアラビア数字の符号が付されており、これらも解読の対象となる。原住民は通常の10進法とは異なる位取りの概念を用いており、例えば数字の365は新港文では300605と表記されていた。 また、土田滋らの調査によると、これらの文書はいわゆるシラヤ語だけでなく、タイボアン語、マカタオ語も含まれていることが分かっている。
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