「巨人はロッテより弱い」騒動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 14:14 UTC 版)
「加藤哲郎 (野球)」の記事における「「巨人はロッテより弱い」騒動」の解説
近鉄と巨人が対戦した1989年の日本シリーズで、加藤は10月24日の第3戦(東京ドーム)に近鉄の先発投手として登板。挙式を控えた婚約者も観戦する中、6回1/3を3安打無失点に抑え勝利投手となり、近鉄は3連勝で日本一に王手をかけた。 その試合後のヒーローインタビューで加藤が「別に、とりあえずフォアボールだけ出さなかったらね、まぁ、打たれそうな気ぃしなかったんで。ええ、たいしたことなかったですね。シーズンの方がよっぽどしんどかったですからね、相手も強いし」と発言したことが、各種メディアにより「巨人は(シーズンで最下位だった)ロッテより弱い」という見出しで報じられた。 加藤自身は、10月24日の試合後のダッグアウトで報知新聞の近鉄担当記者から「(巨人は)ロッテより弱いんちゃうの?」と振られ、「あれだけええピッチャーおったら(リーグ)優勝するで。でも打線はアカンなぁ」と答えたら、後半部分だけが「巨人はロッテより弱い」という話にすり替えられたと、二宮清純との対談で主張している。 第4戦から巨人が3連勝し両チーム3勝3敗となり、加藤は優勝のかかった10月29日の最終第7戦(藤井寺球場)に再び先発したが、2回表に駒田徳広に先制のソロ本塁打を打たれ、この時、駒田に「バーカ!」と近鉄ベンチに向かって叫ばれるなど、3回3分の1を投げて3失点で降板。近鉄は試合に敗れ、悲願の日本一を逃した。しかし加藤は後に「お願い!ランキング」において駒田と対談した際に、「あのバカ発言は聞こえておらず、VTRを見て気付いた」と駒田に述べており、「もし聞こえていたら次の打席で頭に死球を当てていたと思う」とも振り返っている。この発言には駒田も「もし聞こえたら(頭部に)ぶつけられるのも覚悟しようと思っていた」と発言している。 近鉄球団は、球団50周年記念誌『感動の軌跡』で、加藤がロッテとの比較への言及については否定しているとし、「一選手の発言がシリーズを左右すると判断してはおかしい。(中略)それで勝負が決まるほど単純なものではないだろう」という見解を示している。 後年、駒田はベースボール・マガジン社の取材に「勝負の世界ですから、何を言われても仕方がないでしょう。僕は、プロ野球はああいう発言もアリだと思うんです」「(第7戦の「バーカ!」発言は)第3戦の彼の発言のことを言ったのではなく、あくまで第7戦に限ってのことです。先制ホームランを打った勢いが言わせた部分もあったろうし、巨人ファンの勢いがそう言わせたのかもしれない」と答えている。しかし、勝敗については「1人の選手の発言で勝敗がひっくり返るほど、プロ野球の世界は甘くないですよ」と前置きした上で、「ただ、あの第7戦に関しては、何か特別なものがあったと僕は思う。(中略)日本シリーズが終わってから先輩の岡崎さんが言った言葉です。巨人が3つ負けたのは、自分たちの力がなかったからだ。巨人が3連勝したのは、自分たちが頑張ったからだ。そして最後の1つは、胸のGIANTSの6文字が勝たせてくれた、と。(中略)巨人でプレーしていると、チームの影響力の大きさを実感することは案外と少ないんですが、この第7戦はそれを強く感じました。われわれが加藤君の発言に怒る前に、世の中のファンが近鉄を萎縮させてしまった。言ってみれば、巨人というチームの影響力が彼らを萎縮させたんです」としている。 チームメイトでエースだった阿波野秀幸は、加藤の「ロッテより弱い」騒動に関して、加藤の人物像にも関連づけて「(ロッテより弱いと発言したとされたことについて)そういうような(ニュアンスの)ことは言ってますよ。あまりにも調子に乗ったことを言ってるんで、だんだん『相手もあることだし、その辺にしとけ』という気持ちになったのを覚えてます」、「普段から(自分が勝利投手になったときの相手を)『きょうは手ごたえがなかった』とか言える男なんですよ」、「(あの発言は)普段どおり」、「(本人にとっては)特別挑発的なことを言ったわけではない」と振り返っている。
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