「差別表現糾弾」への対処
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 13:54 UTC 版)
「早川書房」の記事における「「差別表現糾弾」への対処」の解説
早川書房はレイモンド・チャンドラー『長いお別れ』を1976年にハヤカワ・ミステリ文庫から刊行した。この作品では主人公フィリップ・マーロウが悪役刑事グレゴリウスから殴打された上、「市の留置所には屠殺場で働く方がいいような連中がうようよしている」と脅される場面が登場するが、この台詞は日本の屠場労組から「差別表現」として問題視され、早川書房側は確認会への出席を要求された。しかし早川書房は「あくまでグレゴリウスという登場人物が脅しのために吐いたせりふの中にあらわれることであって、客観的な事実としての叙述でも、作者の思想でもないことはいうまでもありません」と反論し、屠場労組からの要求を突っぱねた。そして、顧問弁護士の五十嵐二葉と協議の上、1991年9月6日付で「話し合いは1回限り、2~3時間に時間を限る。出席者は双方10人以内とし、弁護士が同席する」との条件で公開討論に応じる旨の回答文書を送った。屠場労組がこの提案を受け入れなかったため、結局、早川書房は確認・糾弾会に出席しなかった。 また、早川書房は1990年にカレル・ヴァン・ウォルフレン『日本/権力構造の謎』における「解放同盟の糾弾は人々に恐怖を与えるだけで、何の効果も、法的根拠もない」などの記述が部落解放同盟から問題視された際にも糾弾の動きに屈せず、ヴァン・ウォルフレンと小森龍邦に公開討論会を開かせている。
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