「己が音」の恋歌とは? わかりやすく解説

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「己が音」の恋歌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/29 06:20 UTC 版)

藻璧門院少将」の記事における「「己が音」の恋歌」の解説

關白左大臣家百首歌よみ侍りけるに おのかねにつらきわかれはありとたに おもひもしらてとりやなくらむ (己が音につらき別れはありとだに 思いも知らで鳴くらん) — 『新勅撰和歌集』 巻第十恋歌三 中少将 暁を知らせ鶏鳴けいめい)はまた、同衾する男女一夜契り終りをも告げる。名残惜しい朝の別れ、そのつらい刻限自分鳴き声告げていることなど、あの知るよしもないのだろう。どこか愚痴っぽいようでさばけてもおり、その感性けだるいようで冷めてもいる。感情ほとばしりを「つらき」の一語済ませておきながら、この淡々とした歌は少将恋人懇ろな一夜過ごしていたであろうことを示唆して止まない。そこにコケコッコー聞こえ、もう朝かと我に還る。そんな時にふと人が思うこと、それは高尚な恋愛哲学でも低俗な愛欲発露でもなく、実際にはやはりこうした何でもないようなことだろう。この一見恋歌とは無縁に思える鶏鳴についての漠然とした思い述べることで、少将はこの一首普遍現実味付加させているともに、それによって婉曲に表現した恋人との関係には得も言われぬ思慕情念醸し出すことにも成功している。歌自体平明で、その趣向どこまでも枯淡だが、それ故にこの歌は鑑賞する者の想像力掻き立て止まないのである。 この一首は、後堀河天皇関白だった九条教実企画した関白左大臣家百首』に少将恋歌として詠進したものだったが、これを見た藤原定家甚く感じるところがあってこれを賞賛した。その趣向自身晩年趣向合致したのだろう、当時後堀河天皇下命により撰者として『新勅撰和歌集』の編纂にあたっていた定家は、この歌をすぐにそれに選入している。

※この「「己が音」の恋歌」の解説は、「藻璧門院少将」の解説の一部です。
「「己が音」の恋歌」を含む「藻璧門院少将」の記事については、「藻璧門院少将」の概要を参照ください。

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