「倭族」論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 23:01 UTC 版)
古代史、文化人類学研究者の鳥越憲三郎は「倭族」仮説(倭族論)を提唱している。鳥越の定義では倭族とは「稲作を伴って日本列島に渡来した倭人、つまり弥生人と祖先を同じくし、また同系の文化を共有する人たちを総称した用語」である。古代日本列島における倭人・倭国については『魏志倭人伝』(『三国志』魏書東夷伝倭人条)が有名であるが、鳥越は他の史書における倭人の記述(『論衡』から『旧唐書』に至るまで)を読解し[出典無効]、長江(揚子江)上流域の四川省・雲南省・貴州省の各省にかけて、複数の倭人の王国があったことを指摘した。その諸王国はたとえば『史記』にある以下の諸国である。 滇(てん) 夜郎(貴州省赫章県に比定され、現在はイ族・ミャオ族・ペー族・回族などが居住) 昆明 且蘭(しょらん) 徙(し) キョウ都(現在の揚州市邗江区に比定) 蜀 巴(重慶市) さらに鳥越は、倭族の起源地を雲南省の湖・滇池に比定し、水稲の人工栽培に成功したというシナリオを描く。以降、鳥越は古代史的な文献研究と現場調査を交差させ、倭族の一部が日本列島に移住し、また他の倭族と分岐していったことを示した。分岐したと比定される民族には、イ族、ハニ族(古代での和夷に比定。またタイではアカ族)、タイ族、ワ族、ミャオ族、カレン族、ラワ族などがある[出典無効]。ほか鳥越は、高床式建物、貫頭衣(和服)、注連縄などの風俗を比較している。また諏訪春雄は倭族を百越の一部としている。
※この「「倭族」論」の解説は、「日本人」の解説の一部です。
「「倭族」論」を含む「日本人」の記事については、「日本人」の概要を参照ください。
- 「倭族」論のページへのリンク