「偏積分」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 20:59 UTC 版)
通常の微分に対する不定積分(原始関数)に対応する概念を、偏微分に対しても考えることができる。すなわち、偏導関数を既知としてもとの関数を復元する操作である。 例として、∂z⁄∂x = 2x + y を考える。偏微分するときにそうしたように y を定数と見て、x に関する「偏」積分として z = ∫ ∂ z ∂ x d x = x 2 + x y + g ( y ) {\displaystyle z=\int {\frac {\partial z}{\partial x}}\,dx=x^{2}+xy+g(y)} をとることができる。ここに、積分「定数」はもはや定数と仮定することはできず、もとの関数の引数のうち x 以外のもの全てを変数とするような函数と考えなければならない。なぜならば、x での偏微分に際してその他の変数は全て定数として扱われるから、x を含まぬ任意の函数は偏微分によって消えてしまうので、そのことを勘案して不定積分を定式化せねばならない。こういったことを諸々含めた意味で、その他の変数をすべて含む未知函数を「定数」と呼ぶことにするのである。 そうすると、任意の一変数函数 g を含む函数 x2 + xy + g(y) 全体の成す集合が、x に関する偏微分で 2x + y となる二変数 x, y の函数全体の成す集合を表すことがわかる。 仮に一つの函数の任意の偏微分が(例えば勾配などによって)既知であるならば、上記のやり方で以て全ての偏原始函数を同定すれば、もとの函数は定数の違いを除いて再構成することができる。
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