「健全なる精神は健全なる身体に宿る」
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「ユウェナリス」の記事における「「健全なる精神は健全なる身体に宿る」」の解説
詳細は「en:Mens sana in corpore sano」を参照 『風刺詩集』第10編第356行にあるラテン語の一節; 「 orandum est ut sit mens sana in corpore sano. 」 は、英語のことわざ「A sound mind in a sound body(健全なる身体の中の健全なる精神)」の元とされ、そこから日本では「健全なる精神は健全なる身体に宿る」となって定着しており、「身体が健全ならば精神も自ずと健全になる」という意味にとられている。元々の英語には動詞がないため、読む者の解釈による部分が大きく、海外でも教育理念のように使用するところがある。 元とされるラテン語を直訳すると、願望を表す接続法によって、「健全な精神が健全な身体の中にありますように、と願われるべきである」となる。 『風刺詩集』第10編は、人々が神々に願う欲望を一つ一つ挙げ、戒めている詩である。例えば、 「 cantabit vacuus coram latrone viator. 」 —空っぽの旅人は山賊の前で歌うだろう(第10篇22行より) 他にも、キケロのような才能を求める者は、彼の非業の最期を思い起こしてみればいいとか、アレクサンドロス3世は生前は広大な領土に満足出来なかったが、死んだら棺桶一つで満足している、などと皮肉り、それでも何かを願いたいというなら、「健全な精神が健全な身体の中にありますように、と願われるべきである」と言っている。つまり、結局どんな願いがいいのかは神のみぞ知ることで、身体が丈夫でもむしろ精神は軟弱な場合が多いことを皮肉っているとも考えられ、欲望が叶ったとしてもそれ相応の報いがあるのだから、願い事は控えめにしておけという風にとれる。そして最後にこう続ける。 ラテン語原詞日本語意訳...orandum est ut sit mens sana in corpore sano.fortem posce animum mortis terrore carentem,qui spatium uitae extremum inter munera ponatnaturae, qui ferre queat quoscumque labores,nesciat irasci, cupiat nihil et potioresHerculis aerumnas credat saeuosque laboreset uenere et cenis et pluma Sardanapalli.monstro quod ipse tibi possis dare; semita certetranquillae per uirtutem patet unica uitae.(『風刺詩集』第10篇356-64行) ……健全な精神が健全な身体の中にありますように、と願われるべきなのだ。強い心を、死を怖れない心を願え。死の間際にあって後悔のない心を。どんな苦しみにも折れない心を。怒りにも、欲望にも打ち克てる心を。欲望の限りを尽くしたサルダナパール王よりも、12の試練を乗り越えたヘラクレスを良しとする心を。君たちの中にもそのような良い心があるのだ。そしてそれは、必ずや良い人生へと導いてくれるだろう。
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