《見ていただく》の敬語
「見ていただく」の敬語表現
「見ていただく」は、「いただく」という謙譲語が使われており、そのまま敬語として使うことができます。しかしながら、「見る」がそのままなので丁寧さに欠ける印象もあります。「見ていただく」は他にどのように敬語表現されるのか、ご紹介します。敬語には、丁寧語、謙譲語、尊敬語があります。丁寧語は、言葉の始めに「お」や「ご」を付けたり、文末に「です」、「ます」、「ございます」を付けて丁寧な言い回しをする敬語です。「見ていただく」をそのまま丁寧語にすると、「見ていただきます」となりますが、この表現が日常で使われることはほぼありません。「見ていただきます」では、上から命令しているようにも感じられますし、そもそも表現として分かりにくいです。相手に何か見てもらうことを丁寧語で表現する場合、一般的には、「ご覧ください」と表現されることが多いです。
続いては謙譲語です。謙譲語は、自分に対してへりくだった表現を使うことによって相対的に相手を高める敬語です。相手の行為に対しては使うことができません。「見ていただく」の「見る」行為をするのは自分以外の他人ですので、「見て」をそのまま謙譲語にすることはできないということになります。日常では、謙譲語と同じような使われ方で「ご覧いただく」という表現が使われることが多いです。
最後に「見ていただく」の尊敬語は「ご覧くださる」です。尊敬語はそのまま相手を高める表現をします。「ご覧」は、見ることの尊敬語です。
「見ていただく」の敬語の最上級の表現
前述の通り、「見ていただく」そのままでは少し丁寧さに欠ける印象です。「見ていただく」を別の言葉で言い換えた場合は、より丁寧な表現があります。それは、「ご高覧」です。「ご高覧」とは、他人が見ることを敬って表現している言葉です。「ご高覧ください」は、高い敬意を表しています。相手に何かを見てもらう場合の敬語表現として、最上級ということができます。実際に使用する場合は、「ご高覧賜りますようお願い申し上げます」などのようにかしこまった表現をすることが多いです。「見ていただく」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
ビジネスメールの例文をご紹介します。「営業部門関係者各位
営業管理部の〇〇(氏名)です。一斉送信メールにて失礼いたします。
先月から新しいプロジェクトが始まり、新規契約件数が大幅に増加しました。
このプロジェクトにご協力いただき誠にありがとうございます。
特に営業一課の山田さんの営業が素晴らしいという声があり、成功事例としてご紹介いたします。
詳細は添付ファイルをご覧ください。
引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。
署名」
続いては、手紙の例文をご紹介します。
「株式会社〇〇
総務部〇〇
拝啓
処暑の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は弊社製品をご愛用いただき誠にありがとうございます。
毎年恒例の展示会のご案内をお送りいたします。
豪華なプレゼントが当たる抽選会など、楽しいイベントも用意しております。
詳細は同封のリーフレットをご覧ください。
会場でお目にかかれるのを楽しみにしております。
残暑が厳しい日が続きますがくれぐれもご自愛ください。
敬具
署名」
「見ていただく」を上司に伝える際の敬語表現
「見ていただく」を上司に伝える際は、「ご覧いただく」や「ご覧くださる」などが使えます。「こちらの資料は既に部長にご覧いただきました。」などのように表現できます。上司に何かを見てもらう場合は、内容を精査してほしい場合が多いのではないでしょうか。ですので、「確認」と伝えるのも良いでしょう。そのまま「ご確認をお願いいたします」でも良いですし、「ご確認いただきたく存じます」や「ご確認いただければ幸いです。」などのようにより丁寧に表現することもできます。上司が何かを確認したことを敬語で伝えたい場合には、「ご確認くださる」、「確認なさる」などの敬語表現があります。「集計表は営業部長がご確認くださったのでそのまま管理部門に提出できます。」のように使うことができます。「見ていただく」の敬語での誤用表現・注意事項
「見ていただく」をそのまま使った例文を見てみます。「お送りした資料を見ていただけましたでしょうか?」、少し丁寧さに欠ける感じがしませんか。フォーマルな場や、取引先など社外の人に対して使うのは避けたほうが良いかもしれません。やはり「見る」が敬語になっていないため、敬語として不十分な印象があります。「見ていただく」をそのまま使う場合は、比較的近しい相手にしましょう。また、「ご覧ください」など他の表現を使用する場合でも、より丁寧に伝えたいときもあるでしょう。そのような場合はクッション言葉を使うのがおすすめです。クッション言葉には、「申し訳ございませんが…」、「お忙しいところ恐縮ですが…」、「誠に勝手ながら…」などがあります。文の始めにこのような言葉を置くことによって文章全体をやわらかい雰囲気にすることができます。ただ、「ご覧ください」とするよりも、「お忙しいところ恐縮ですが、ご覧ください」とした方が、相手への気づかいが感じられます。クッション言葉を活用すると、配慮のある温かいコミュニケーションができますのでおすすめです。
「見ていただく」の敬語での言い換え表現
ビジネスメールなどで、「お目通しいただく」という言葉を見たことがある人もいるかもしれません。「お目通しいただく」を、「見ていただく」の代わりに使うことができます。実際に使用する際は、「お目通しいただく」だけで終わらせないで、「お目通しいただきたくお願い申し上げます」た「お目通しいただければ幸いです。」などのように文末まで丁寧な表現を使いましょう。「見ていただく」を「ご査収」と言い換えることもできます。ですが、「ご査収」の場合は、「確認した上で受け取ってください」という受け取る意味も含まれています。「案内書をお送りいたします。ご査収ください。」や、「月次資料をお送りいたしますので、ご査収のほどよろしくお願い申し上げます」のように使います。
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