《着る》の尊敬語
「着る」の尊敬語表現
「着る」を尊敬語で表現する場合、「召す」という言葉を使用します。そして、目上の人が着ている様子を表す場合、「お召しになる」という形となります。そして、「召される」という表現もあり、「着る」の尊敬語として使用するのであれば、「お召しになる」と意味は変わりません。また、「着られる」という表現を使用することもあります。「お召しになる」や「召される」よりも尊敬の度合いは低く、砕けた表現ではありますが、尊敬の要素を持っている助詞「れる」を使用しているため、尊敬語として使用することができます。「着る」の尊敬語の最上級の表現
「着る」を最上級の尊敬語で表現する場合、「お召しになる」あるいは「召される」を使用します。「お召しになる」は尊敬語である「召す」と、尊敬の表現の「お~になる」を組み合わせたものです。尊敬を意味する表現が2つ含まれているため、相手に対して強い敬意を示すことができます。厳密には二重敬語ですが、古くから一般的に使用されてきたため、正しい表現であると認められています。そして、「召される」も同様に、二重敬語でありながら、現代では正しいと認められている表現です。尊敬語「召す」と尊敬の要素を含んだ助詞「れる」を組み合わせた形で、「お召しになる」と同等の、強い敬意を示すことができます。「着る」の尊敬語のビジネスメール・手紙での例文
「着る」の尊敬語として「お召しになる」を使用する場合、ビジネスメールや手紙での例文は「先日お召しになっていらっしゃったお洋服は素敵でした」「寒さが懸念されますので、当日は防寒が可能な服をお召しになってくださいませ」となります。「召される」を使用するのであれば、例文は「お客様は翌日、紺のスーツを召されるとのことでした」「当日の会場でそちらの服を召されるのは、好ましくないかと存じます」などの形です。「着られる」を使用した際の例文は、「ご購入なさった服は、いつ頃着られますでしょうか」「激しい運動を伴いますので、動きやすい服を着られるとよろしいかと存じます」となります。「着る」を上司に伝える際の尊敬語表現
上司に対して「着る」を尊敬語表現にする場合、「お召しになる」「召される」を使用するのが無難です。特に、立場が離れている上司に対しては、かしこまった表現である「お召しになる」あるいは「召される」を使用することが好ましいです。ただ、身近な上司に対して「お召しになる」や「召される」を使用すると、堅苦しい印象を与えてしまう恐れがあります。そのため、親密な雰囲気を演出したいのであれば、少し砕けた表現である「着られる」を使用します。「着る」の尊敬語での誤用表現・注意事項
「着る」の尊敬語として「お召しになる」という表現を用いる場合、「お召しになられる」とならないように注意が必要です。「お召しになられる」という言葉は、すでに尊敬語表現となっている「お召しになる」に、尊敬の意味を持っている助詞「れる」を組み合わせたものです。そのため、過剰な尊敬語表現となります。一般的には、ひとつの言葉の中で、複数の尊敬語表現を用いることはありません。「お召しになる」も、厳密には2つの尊敬語表現が使用されていますが、あくまでも特殊な例です。したがって、「お召しになられる」という過剰な尊敬語表現は使用しないようにしましょう。そして、「召される」を使用する場合は、他の意味として捉えられないよう注意が必要です。「召される」は、「着る」だけでなく、「する」や「飲食する」といった言葉の尊敬語でもあります。ただ「召される」と表現するだけでは、それらの意味と混同してしまう恐れがあります。そのため、「着る」という意味が明確になるような表現にしなければなりません。もし、他の意味として捉えられる恐れがある場合は、「お召しになる」を使用した方が無難です。「お召しになる」にも「着る」以外の意味がありますが、一般的には「着る」という意味で使用されることが多いので、意味がはっきり伝わりやすいです。
さらに、尊敬語である「着られる」は、「着る」の受け身表現と同じ形です。そして、受け身表現の「着られる」は、着ている人よりも服の方が立派だということを示す「服に着られる」という表現で使用されることがあります。「着られる」を使用すると、その「服に着られる」を連想させてしまい、失礼な印象を与えてしまう恐れがあるので要注意です。失礼な対応になってしまうリスクを避けるのであれば、「お召しになる」を使用した方が良いでしょう。
「着る」の尊敬語での言い換え表現
「着る」の尊敬語には、「ご着用になる」という表現もあります。「ご~になる」という尊敬語の要素を含んでいる表現で、目上の人に対しても使用することができます。また、「ご~なさる」という敬語表現を用いて、「ご着用なさる」とすることも可能です。「ご着用になる」よりは「ご着用なさる」の方がかしこまった表現である上に、「なさる」の部分で尊敬語だということが伝わりやすいです。そのため、敬意を明確にしたいのであれば、「ご着用なさる」を使用すると良いでしょう。また、「ご」を省いた「着用なさる」でも、尊敬語として成立します。《着る》の尊敬語
「着る」の尊敬語表現
「着る」を尊敬語で表現する場合は、「召す」を使用するのが適切です。そして、そのまま置き換えるだけでは不自然となるため、一般的には「お召しになる」という形にします。「お召しになる」だけで、服を着る動作と、着ている状態の両方を表すことが可能です。具体的な使い方は「豪華な衣装をお召しになっています」「あの服をお召しになりますか」という風になり、状況に合わせて形を変えます。その他に、「お召しです」「召されます」といった表現も可能です。いずれも「お召しになる」と同じように、文法の活用を変化させることで、着る動作と着ている状態の両方を表せます。また、着ている服そのものを指す際には、「お召し物」という形になり、よく使用される表現です。「着る」の尊敬語での誤用表現・注意事項
「着る」の尊敬語として「召す」を使用する場合、「お召しになられる」という、二重敬語の表現になってしまわないように注意しましょう。「着る」は「召す」にするだけで、尊敬語として成立します。そうであるにも関わらず、「れる」という尊敬の意味を持つ助動詞を付け足すと、回りくどい二重敬語となります。より丁寧な言い回しをしようとして、「お召しになられる」という表現になることは珍しくありません。しかし、正しいのは「お召しになる」です。質問形式で「お召しになられますか」という間違った表現が使用される場合も多いですが、「お召しになりますか」が正しいです。「着る」の尊敬語での言い換え表現
「着る」は、尊敬の助動詞である「れる」を付け足して、「着られる」という形にするだけでも、尊敬語として成立します。フォーマルな場面で使用するのであれば、「お召しになる」の方が適していますが、日常で使用する比較的軽めの尊敬語としては、「着られる」でも特に問題はありません。「お召しになる」では、堅苦しくなってしまう場合にも適した表現です。ただ、着ることができるという意味の「着られる」と全く同じ形であるため、使用する状況次第では混同されかねません。そのような時は、別の表現を使用した方が良いでしょう。また、「着用」を用いた尊敬語の表現も数多くあります。代表的なのは「ご着用になる」や「ご着用なさる」で、「お召しになる」と特に変わらない使い方ができます。そして、「着用」自体が「着る」を丁寧にした単語であるため、その他にも「着用される」「ご着用です」など、尊敬の要素を持つ言葉と組み合わせて、幅広い表現が可能です。「着用」を用いた尊敬語は、フォーマルな場面でも問題なく通用する表現で、文字にして引き締まった形にしたい場合に適しています。- 《着る》の尊敬語のページへのリンク