《図案対象》とは? わかりやすく解説

《図案対象》

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 02:30 UTC 版)

久保克彦」の記事における「《図案対象》」の解説

久保作品は、遺族所蔵している作品を除くと東京芸術大学大学美術館無言館収蔵されているが、最も知られているのは、5の絵からなる大作図案対象」(紙本着色コラージュ、箔、霧吹き) で、多く画集掲載されている (ただし、5全部掲載されることは少なく、「正午あるいは真夏1枚だけであることが多い)。 この作品1942年 (昭和17年) に卒業制作用として描かれ絵画で、優秀作として東京美術学校 (現在の東京芸術大学) が買い上げた。ただ、十分な時間がなかったため未完成なまま提出され作品である。また、画集では見えないが、経年のため紙は大きく破れており、絵の具一部剥落している。 「図案対象」は一部の人には知られいたものの、一般的な意味では全く忘れられていたと言ってよい絵だったが、1971年 (昭和46年) になって久保同期だった鈴木貫爾 (東京芸術大学教授当時) が発掘して東京芸術大学資料館公開されたことで広く知られるようになったこの後も、「卒業制作流れ展」(東京芸術大学1976年)、「〈戦争〉展」(読売新聞大阪本社主催1978年)、「青春の墓標――戦没画学生の遺作展」(東京セントラル美術館1978年) 、「東京藝術大学創立100周年記念展 (デザイン建築)」(松屋銀座1987年) などの展覧会展示された。これらの展覧会では「正午あるいは真夏1枚だけの展示だったが、2001年故郷徳山市美術博物館 (当時) で開催された「戦没画学生『祈りの絵』展」では全5作が1度公開された。 「図案対象」は5の絵から構成されており、第1画面から第5画面までそれぞれ順に、「朝あるいは冬」、「午前9時あるいは春」、「正午あるいは真夏」、「午後3時あるいは秋」、「夕暮あるいは冬」のタイトル付けられている。中央の第3画面中心にして絵のサイズ対称構成されているだけでなく、各画面ともに、対称性を主要モティーフとしている。 第5画面では、画面構成には黄金分割比が利用されていることが明瞭であり、第3画面でも同様に黄金分割比が利用されているとの論もある。第4画面には、立方体の4回回対称軸、2回回対称軸垂直な鏡映面描かれているほか、第2画面でも3次元回転対称性円錐曲線モティーフとして描かれている。 特に「正午あるいは真夏」は、マックス・エルンスト日本の画家言えば初期福沢一郎古賀春江使ったフォト・モンタージュ技法によるシュルレアリスム作品で、画面現れるモティーフは、『科学朝日』、『航空朝日』、『カイエ・ダール』などの雑誌掲載され写真をもとにモンタージュされたことがわかっている。 「図案対象」は、グラフィックデザイン先駆的作品として今日では高く評価されている。1971年時の展示見た版画家駒井哲郎が、横尾忠則仕事三十年も前に先取りしていたとは、と漏らしたという逸話は、「図案対象」の紹介文ではよく触れられる図案対象5画面 《夕暮あるいは冬》 第4画面 《午後3時あるいは秋》 第3画面正午あるいは真夏》 第2画面 《午前9時あるいは春》 第1画面 《朝あるいは冬》

※この「《図案対象》」の解説は、「久保克彦」の解説の一部です。
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