コンパクトディスク 都市伝説

コンパクトディスク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/02 20:09 UTC 版)

都市伝説

一部のマスメディアにおいて、コンパクトディスクを冷やすと音質が良くなる[38]と言われているが、CDに記録されている情報はデジタルであるため、ビットエラーがない限り記録内容が変質することはない。CDにおいて、ディスクの熱の影響により符号誤り率が増加することは考えにくいため、冷やしても音質には影響しない。もともと1993年にロンドンの新聞「サンデー・タイムズ」に紹介され、後に日本のテレビ番組にも紹介されそこから噂が広がってしまったのではないかとされている。

年表

  • 1965年、アメリカの発明家ジェームス・ラッセルが音楽用光学メディア・テクノロジーを発明。
  • 1970年代前半、フィリップスMCAレーザーディスクを開発。
  • 1975年ソニーが光ディスクの開発を開始。
  • 1977年、フィリップスがCDの開発を開始。ソニーがオーディオフェアでの光デジタルオーディオディスクを実証。
  • 1979年、フィリップスがCDプロトタイプを示し、ソニーと共同開発を開始。
  • 1981年、ドイツでテストCDが製造。
  • 1982年
    • 8月17日、当時の西ドイツのハノーファー(ハノーバー)のランゲンハーゲンにあるポリグラムの工場で、世界で初めて音楽CDの生産が開始。(追って当時のCBSソニー、日本コロムビアが続く)[39]
    • 10月1日、CBS・ソニーEPIC・ソニー日本コロムビアから、世界初の音楽CDが発売された。初回発売は、CBS・ソニー、EPIC・ソニーが合わせて約50タイトル、日本コロムビアが10タイトルだった。このうち最初に生産が行われたのはビリー・ジョエルの『ニューヨーク52番街』(CBS・ソニー/35DP-1)[40]
    • 10月15日、欧州で初めて、ポリグラム製の音楽CDが発売された。日本でも輸入販売され、ポリドールと日本フォノグラムから、欧州から5日遅れで同時に発売された[39]
  • 1983年米国およびその他の市場でも販売が開始された。
  • 1986年、販売枚数ベースでCDがLPを追い抜いた。これは、レコード会社が親会社であるオーディオメーカーに配慮してレコード生産を縮小したことも影響している。
  • 同年末、CD発売当初から当時のデジタル録音の音質に疑問を持っていたキングレコードは、CD化の流れに反し、高音質重量盤仕様のアナログLPレコード「ザ・スーパー・アナログ・ディスク」を発売。マスターテープはすべてアナログ録音のものが使われ、マスタリング・カッティング工程でデジタル処理を介在させないことを特徴とした。デッカ・レコードの旧譜の再カッティングが主体だったが、自社製作音源では、CDではデジタル録音のマスターを、「ザ・スーパー・アナログ・ディスク」では同時に録音されたアナログマスターを使ったものもあった。これが「CDより音質が良い」と反響を受けてシリーズ化された。
  • 1987年 日本のウルテック社が開発した、反射膜に24Kの純金を使用した「GOLD CD(24K純金CD)」が、Mobile Fidelity Sound Lab、日本コロムビア等から発売された。他社もそれに追随したが、1995年日本ビクターが発表した高音質仕様CD「XRCD」が登場してからはあまり発売されなくなった。
  • 1989年以降、CDは定価を次々と下げ低価格化が進み、規格品番に定価を思わせる数字を表記しなくなる。
  • 1990年代前半にかけ、LPは一般的には生産されなくなっていく。
  • 1990年代中期頃からは、キングレコードの高音質アナログレコードのシリーズ化も影響し、欧米ステレオ初期の米RCAビクターや英デッカを始めとするオリジナルの高音質復刻盤が続々と発売。またクラブ音楽の世界的流行もあり、アナログレコードが見直されて再燃する。
  • 2000年代に入り、音楽配信サービスの普及により、世界的にCDの売上が減少傾向となる(CD不況)。
  • 2006年ガラス基板を用いたガラスCDが発売。音質向上を謳う一方で、コスト上昇やプレーヤーの互換性について欠点も挙げられる。
  • 2008年、CDの基盤(樹脂層)に液晶パネル用のポリカーボネートを採用したスーパー・ハイ・マテリアルCD(SHM-CD)が登場。それが一定の評価を得たことを受け、追随する形でハイ・クオリティCDブルースペックCDが同年に販売された。
  • 2010年以降、アナログレコードの再評価により、欧米だけでなく日本国内でもアナログ盤が再生産されるケースが増える。
  • 2014年国際レコード産業連盟(IFPI)の調査で、全世界でのCD、レコードなどのパッケージ売上高が音楽配信の売上高を下回る[41]
  • 2020年上半期の米国では、CDの売上がレコードの売上を下回る[42]。一方、2021年の米国では、2004年以来17年ぶりにCDの売り上げが上昇した。これはアデル「30」が大きく貢献していると見られる[43]

脚注


注釈

  1. ^ 業務用では1991年[5]
  2. ^ のちに「CDの父」と呼ばれる、デジタルオーディオ技術の草分け的人物
  3. ^ 当時ソニー副社長
  4. ^ のちのソニー常務[9]
  5. ^ アナログ信号をデジタル信号に変換する際、信号の振幅の大きさを何段階で表すかを示した値[10]
  6. ^ 指揮者によって変わるが、カラヤンの「第九」は約63 – 69分であり、ほとんどのヒストリカル指揮者による演奏時間は60分を超えていた。結果的に74分(最大80分も可能)という収録時間は、1951年にライヴ録音されたフルトヴェングラー指揮のいわゆる「バイロイトの第九」(演奏時間およそ74分32秒)や、それに匹敵する長さであるカール・ベームレナード・バーンスタインの演奏も、コンパクトディスク1枚に収めることが可能である。
  7. ^ レコード会社
  8. ^ ドリームキャスト版『GUILTY GEAR X』特典CDは盤面の絵柄によって形状が異なり、セガサターン用初回限定版『リフレインラブ ~あなたに逢いたい~』特典CDはハート型CDである。
  9. ^ 短いバーストエラーからの誤り訂正を行う符号として「リード・ソロモン符号」を提案したのは、フィリップスのCD開発チーム責任者である。
  10. ^ PからWに12バイトずつ割り当てられる。なお先頭の同期信号を含めれば98バイト。
  11. ^ 文献によっては97分26秒と秒数を指示しているものもあるが、ドライブ側は97分33秒までゆとりをもたせてあることも少なくない。よって、Eight-to-fourteen modulationが定めたオレンジブックに準拠した最大収録時間は96分59秒になる。
  12. ^ 参考までにDVDの記録層は印刷面からも樹脂層からも0.6 mm、Blu-ray Discでは印刷面から1.1 mm、樹脂層から0.1 mmである。

出典

  1. ^ a b c d e f g "CD". IT用語がわかる辞典. コトバンクより2023年7月29日閲覧
  2. ^ a b The history of the CD - The beginning - Research” (英語). Philips. 2023年7月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月29日閲覧。
  3. ^ データ用CD”. 三菱ケミカル. 2017年9月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年1月26日閲覧。
  4. ^ a b c d "CD". ASCII デジタル用語辞典. コトバンクより2023年7月29日閲覧
  5. ^ a b The history of the CD - The CD family - Research” (英語). Philips. 2023年7月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月29日閲覧。
  6. ^ 森 2016, p. 365.
  7. ^ a b c d e f g h Sony History 第7章 デジタルをものにしてみせる”. ソニー. 2023年7月27日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h i j k Sony History 第8章 「レコードに代わるものはこれだ」”. ソニー. 2023年7月27日閲覧。
  9. ^ 宮岡千里氏が死去 元ソニー常務”. 日経電子版. 日本経済新聞社 (2014年12月11日). 2023年7月27日閲覧。
  10. ^ "量子化ビット数". デジタル大辞泉. コトバンクより2023年7月26日閲覧
  11. ^ 森 2016, p. 369.
  12. ^ 森 2016, p. 371.
  13. ^ a b c d e f g h i j Sony History 第9章 「石もて追われる大賀」”. ソニー. 2023年7月27日閲覧。
  14. ^ a b c d e f g Sony History 第10章 スタジオ録音もデジタルに”. ソニー. 2023年7月27日閲覧。
  15. ^ 米でレコードがCDに勝利 売上枚数で1987年以来:時事ドットコム
  16. ^ a b c d e f g h i j k l m n コンピュータ講座 応用編 第10回”. 富士通. 2023年9月10日閲覧。
  17. ^ ECMA-130 Data interchange on read-only 120 mm optical data disks (CD-ROM) 2nd edition” (英語). Ecma International (1996年). 2022年2月20日閲覧。
  18. ^ What about subcode (P, Q, R, S, T, U, V, W) channels?” (英語). CDFS.com. 2022年2月20日閲覧。
  19. ^ Tim Buthe and Walter Mattli, The New Global Rulers: The Privatization of Regulation in the World Economy, Princeton University Press, Feb. 2011.
  20. ^ Beethoven_and_the_Compact_Disc”. www.researchgate.net. www.researchgate.net. 2022年6月3日閲覧。
  21. ^ longest-running-time-on-an-official-cd-you-bought”. forums.stevehoffman.tv. forums.stevehoffman.tv (2017年1月14日). 2019年1月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月21日閲覧。
  22. ^ 外部リンク webcache.googleusercontent.comからのアーカイブ、21 Feb 2017 05:35:09 UTC閲覧。
  23. ^ 外部リンク webcache.googleusercontent.comからのアーカイブ、21 Feb 2017 05:37:08 UTC閲覧。
  24. ^ GML. “99min CD”. www.genmag.com.sg. 2024年4月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年4月3日閲覧。
  25. ^ Esperanza. “ESPERANZA CD-R 870MB / 99MIN - SPINDLE 100 PCS.”. esperanza.pl. 2024年4月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年4月3日閲覧。
  26. ^ Banana disc large capacity 870 MB 99 min cd-r”. web.archive.org. 2019年1月25日閲覧。
  27. ^ Esperanza CD-R 870MB/99min”. www.cdsklep.pl. 2019年1月25日閲覧。
  28. ^ CD-R 900MB 100min 48x speed, inkjet fullsurface printable, Cake 25”. www.media-range.com. 2019年12月3日閲覧。
  29. ^ Field: Nocturnes Nos. 1-18”. www.prestomusic.com. www.prestomusic.com. 2021年1月26日閲覧。
  30. ^ RUBINSTEIN, Anton: Bal (Le) (Warren Lee)”. www.naxos.com. www.naxos.com. 2021年1月15日閲覧。
  31. ^ 800 MB XCD Guide”. www.divxland.org. 2019年1月30日閲覧。
  32. ^ CDファミリーの系譜”. マルチセッションとTAO. CDs21ソリューションズ. 2023年7月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月20日閲覧。
  33. ^ 四本淑三 (2003年5月1日). “第7回 ─ 次世代CD、SACDって従来のCDとどう違うの?”. TOWER RECORDS. 2022年2月20日閲覧。
  34. ^ 片面CD/片面DVDの両面ディスク“DualDisc”発表”. AV Watch. インプレス (2004年8月26日). 2023年11月19日閲覧。
  35. ^ a b DualDiscについて詳しく教えて!”. CDJournal リサーチ (2005年12月22日). 2023年11月19日閲覧。
  36. ^ 岩見旦 (2019年2月23日). “ケースから取り出したらCDが劣化し白濁。30年前のCDが寿命を迎えているかもしれない件”. CNS MEDIA. 2022年1月4日閲覧。
  37. ^ 気になるCDの寿命 - 神戸新聞社
  38. ^ ●CDを冷凍すると音質が良くなる?”. www.hifido.co.jp. www.hifido.co.jp. 2022年6月3日閲覧。
  39. ^ a b *ポリグラム 最初のCD(初期・西独盤)(B級オーディオ・ファンのサイト内)
  40. ^ Sony Global -Sony History- - アーカイブ
  41. ^ 音楽配信の世界売上高、昨年CD上回る”. 日本経済新聞 (2015年4月16日). 2021年7月29日閲覧。
  42. ^ “2020年1~6月の米レコード販売、CDを逆転 1980年来初”. 日本経済新聞. (2020年9月15日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63841280V10C20A9000000/ 2021年2月26日閲覧。 
  43. ^ CD売上げがなんと17年振りに上昇。アデル、BTS、テイラー・スウィフトのおかげ。アナログ盤は50.4%も上昇。アメリカ人がフィジカルに戻ったのか? 懐古主義に?? TikTokは?2021年アメリカはどう音楽を買い聴いたのか。統計発表。 (中村明美の「ニューヨーク通信」)-rockinon.com|https://rockinon.com/blog/nakamura/201318”. rockinon.com. 2022年7月15日閲覧。






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