ねじ ねじの概要

ねじ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/13 00:40 UTC 版)

概要

主として別個の部材の締結に用いられる。また、回転運動と直線運動との変換などにも用いられる。

ボルトのように外表面にねじ山がある「おねじ[1]」(雄ねじとも書く)とナットのように内表面にねじ山のある「めねじ[1]」(雌ねじとも書く)がある。多くは、おねじとめねじの組み合わせで使用される。なお、後者がなく木材や薄い金属などの部材に穴を開けながら締結するもので、タッピングネジ、木ねじ(もくねじ)と呼ばれる[1]ものがある。

これらの他にも、ぜんまいやぜんまいを巻く装置もねじと呼ばれる[2]。言葉の比喩として「ねじを巻く」とは、ぜんまいに動力を与えるところから、誰かを、何かを『追い込む』の意味として使われる。

長方形の一対角を直線で結び、この長方形を巻いて円筒とした時、対角線は「つる巻き線 (helix)」と呼ばれる三次元曲線を描く。ねじは、このつる巻き線に沿って溝を形成したものである。

今日ではねじはあらゆる用途で大量に使用されており、その多くはボルトナット、木ねじなどによる締結用途である。また、ねじは各種の機械の運動や位置決めなどでも欠かせないものとなっている。このため「産業の塩」と呼ばれることもある。ねじメーカーの日東精工は本体直径0.6ミリメートルというねじも開発しており、これを世界最小としている[3]

「木ねじ」など、ナットを使わないねじ類
多種多様なねじ
ボルトとナット

名称

ねじは、漢字で「螺子」(ねじ、らし)あるいは「捻子」「捩子」「根子」と書かれることがあり、JISでは「ねじ」が正式な呼称になっている。また「ねじ」は動詞「捩づ」(ねづ)の連用形であり、「ねじ」の他に「ねぢ」と表記されることがある[2]

ボルトとナット

ねじと同様の名称として「ボルト」があるが、JISでは以下のように定義している。

  • ボルト:一般にナットと組んで使われるおねじ部品の総称
  • ナット:めねじ部品の総称

実際には、ナットと組んで使わないものをボルトと呼ぶことや(この場合はねじ込み対象にめねじが切られていることが前提。でないと止まらない)、ナットと組んで使うものもねじと呼ぶことがあるため、これらの用語の使用には揺らぎが存在する。

昔の米国自動車整備マニュアル上での表記
boltとscrew、studの違いが分かる。

英語ではねじ山を持った円筒や円錐全般を"screw"(スクリュ)や"screw thread"(スクリュ・スレッド)と呼び、これが日本語のねじに相当する。「おねじ」は"external thread"と呼ばれ、「めねじ」は"internal thread"と呼ばれる。ボルトやナットのように部品の一部にねじを持った締結用の部品は"threaded fastener"と呼ばれる。英語圏でも"screw"と"bolt"の区別には混乱がある(1970年代の米国自動車整備マニュアル上での表記を参照)[注 1][2]

ビス

ビスはぶどうを意味するラテン語vitisフランス語でねじを表すvisとなり、英語のviseになった[4]。特に「すりわり」や「十字穴」を持つおねじ部品を指すことが多く「小ねじ」とほぼ同義である。

歴史

ねじの起源と黎明

ねじの起源は明確には分かっていない[5]。ねじの発明のヒントは巻貝だったのではないかという説と木に巻き付くつる植物だったのでないかという説がある[6]

また、発明者については、現代の歴史家によれば、アルキタスが発明したとする説と、ペルガのアポロニウスが発明したとする説がある。ギリシャの学者エウスタシウスはアルキメデスが発明したと主張した。実際、円筒状の筒の中に大きなねじを入れた揚水用のアルキメディアン・スクリューはアルキメデスの発明といわれ、今まで知られている限り、最初に螺旋構造を機械に使用した例だとされている[7]。水ねじは古代、灌漑や船底の水の汲み上げ、鉱山に溜まった水を排水することなどに使われ、労力に比べ極めて効率的に水を揚水することができた[7]。当時は他の揚水手法に比べて効率性が高く、現代でもねじ式コンベアーとして使われている。シケリアのディオドロスはこの発明がアルキメデスがアレキサンドリアで学んでいた青年時代に行われたと記している。ねじ構造はアルキメデスのような天才機械学者によってのみ思い描くことができたとする者もおり、実際「ねじは中国で独自に生み出されなかった、唯一の重要な機械装置である」とも言われる。

ギリシア時代には既に機械として使われていた事が知られている。例えば西洋では、木の棒で作られたねじを利用してオリーブブドウなどの果汁を搾るねじ圧縮機(スクリュープレス)として使われていた[8]

ルネッサンス期と産業革命

ルネッサンス期にあたる1500年頃には、レオナルド・ダ・ビンチによってねじ部品を使った様々な装置が製作され、締結用のねじ部品の利用が広がった[5][9]。ほかにも実際に作られたかどうかは不明ながら、ねじ切り盤[10]やタップ、ダイス[9]のスケッチも見られた。

フランスの数学者ジャック・ベンソン(1500~1569)もねじ切り盤のスケッチを残しているが木製の機械で実用的でなかったとされている[6]

ドイツ人のゲォルク・アグリコラ(1494~1555)の著書にある(ふいご)の図から、1500年前後には金属製のボルト、ナット、小ねじ、木ねじ類は出現していたと考えられている[6]。15世紀にはフランスのルイ11世が金属製のねじで組み立てた木製ベッドを使用していた[6]

16世紀半ばになると、ねじは様々な場面で使われるようになった。懐中時計用の小さなねじや、銃に使う大きなねじ、甲冑用のボルトなどにねじが使われた。当時のリヨン近郊のフォレの町は、ねじ作りを専門にした町で、イングランドのミッドランド地方でも家内工業としてねじが作られた。ねじの作成には原始的な旋盤が使われていたが、1760年ミッドランド地方のジョブとウイリアムスのワイアット兄弟は手で刃を動かしてねじを切る代わりに、カッターで自動的にねじを切れるようにして、数分掛かっていた作業をわずか6,7秒で作ることができるようにするという画期的なねじ製造法を開発した。ワイアット兄弟は「鉄製ねじを効率的に作る方法」で特許を取り世界初のねじ工場を作ったが、事業は失敗に終わり、工場の新しい持ち主が事業化に成功し、その後蒸気機関の活用など各種の改善を経て、船や家具、自動車、高級家具などの需要の高まりとともに大量のねじが作られることになる。

18世紀の終わりまで、旋盤で物を作るのはヨーロッパ貴族の趣味の一つとなっていた。1762年にヨークシャで生まれ、ロンドンで精密機械を作っていたジェシー・ラムスデンは、当時天体観測用や航海用として使われていた精密機器の精度を上げるため、手作りで作る代わりに、より精密な旋盤を作ることによって達成するプロジェクトを始めた。ラムスデンは木製旋盤の代わりに金属製の旋盤を作り、カッターの先端にダイヤモンドを使用し、11年かけて旋盤を使って旋盤の部品を作り、それを使ってさらに精密な旋盤を作り上げて旋盤を次第に精密にしていき、最後には千分の4インチという精度のねじを作り上げた。彼が作った高精度のねじは顕微鏡や天文学といった科学分野で活用された。船の経度と緯度を300mの誤差で割り出せる航海用観測機器ができ、キャプテン・クックなどの航海上の偉業が達成されることになる[2]

モーズリーによる発明

量産方法を追求したワイアット兄弟と、精密さを追求したラムスデンは偶然にも同じ時期に活躍したが、両者の業績を統合したのが、英国のヘンリー・モーズリー (Henry Maudslay 1771-1831) であった。1800年に彼は、それまでの旋盤をさらに改良し鉄鋼製のねじ切り用旋盤を開発した[5]。モーズリーはフランス人マーク・イザムバード・ブルネルと組みポーツマスに世界初の完全に自動化された工場を作った。この工場は10人の工員が44台の機械を使い、年間16万個の滑車を作ることができたという。1825年には、ブルネルはテムズ川の下をくぐる365mのトンネル工事を受注した。モーズリーはブルネルが発明した矩形のトンネル用鋳鉄製シールドを製造してトンネルを完成させた。これがシールド工法の始まりである。モーズリーは他に印刷機、プレス機、貨幣鋳造の特殊機械、ボイラー板穴開け機などを作ったが、最も有名なのは蒸気機関であった。ブルネルの息子が初の大西洋横断蒸気船を作った際に、モーズリーの息子もその船に搭載する、当時世界最大の750馬力の蒸気機関を作った。これらの成功は、モーズリーが作り上げた極めて精度が高い基準ねじを用いた、規模が大きくなっても精密に仕事ができる旋盤によるものだった。モーズリーは1万分の1インチの精度のマイクロメーターを作っている。このマイクロメーターはモーズリーの工場で寸法を測る際の至高の基準とされ「大法官」と言われていて、弟子の製品の精度チェックに使われた。また、かつてはナットとボルトは一対で作られ、製造時につけた刻印が合うもの同士でなければ噛み合わなかったが、金属製のねじ切り用旋盤によりねじの精度が上がったため、その必要はなくなった[6]

日本へのねじの伝来

日本には1543年種子島へ漂着したポルトガル人が所有していた火縄銃とともにねじが伝来したとされている[6]。種子島領主・種子島時堯は2挺の火縄銃を購入し、うち1挺を刀鍛冶八板金兵衛に与えて銃の模造を命じている[6]。この時、金兵衛は自分の娘若狭をポルトガル人に嫁がせてまで、ねじの作成法を習得したとする伝説が残っている。火縄銃の銃身の後ろ側(銃底)を塞ぐ尾栓に使われていたおねじとめねじが日本人が初めて見たねじとされている[6]。金兵衛にとって「おねじ」の製造は比較的簡単だったものの「めねじ」の製造は難しく、おねじを雄型とする熱間鍛造法で製作したと推定されている[6]

日本を含めて東洋では、ねじ構造自体を独自に発見・発明することができなかった。村松貞次郎は『無ねじ文化史』で江戸の工業製品にはねじの使用例はなく、江戸幕府江戸時代とは「ねじの無い文化」の時代であるとした。結局、ねじ製作のための優れた工作機械や工具に恵まれず、ねじを作ること自体が「大変困難な仕事である」ということがその理由である。和時計も特殊なねじがわずかにあるだけで、ほとんどがで作られている。

日本では、1857年にモーズリー由来でホイットワースが改良したねじ切り用旋盤が輸入された。1860年遣米使節として渡米した小栗忠順は、ワシントン海軍工廠を見学後、西洋文明の原動力は「精密なねじを量産する能力である」と考え、1本のねじを持ち帰ったという[2]

製造方法と標準化の発展

西洋での産業革命期には、締結用のねじが大量に生産されるようになった。産業革命によって金属製のねじが蒸気機関や紡績機械、各種工作機械に欠かせないようになっただけでなく、そもそも精密に物の長さや角度を測ったり物を加工するには、ねじ構造が必須であり、産業革命もこれらの技術がなければ成り立たなかった[2]

ねじは専門業者が製造していたが、各機械メーカーは自社製の機械に合わせて独自の直径・ピッチのねじを発注していたため、大量生産の利点は生かされていなかった[6]

ねじの形式を調査し標準化に貢献した人物にジョセフ・ホイットワース(または、ウイットウォース)(Joseph Baronet Whitworth 1803-1887) がいる[6]。モーズリーの弟子であった彼は、顧客から製作を求められる多様なねじの形状を整理した上で、1841年には山の角度を55度とするなど独自の規格を決めて公表した。1841年に発表されたこのねじ形式を「ウィットウォースねじ」という[6]。この「ウィットウォースねじ」の規格が次第に普及し、英国の国家規格BSに正式に採用された[6][注 2]

ねじの標準化の動きは、工業製品の大量生産を得意するアメリカ合衆国でも進められ、ウィリアム・セラーズがウィットウォースねじに改良を加え、山の角度60度の「インチ系ねじ」を発表した。これは1868年に「セラーズねじ」として米国内標準規格となり、米国政府関係事業に全面的に採用され、「USねじ」「アメリカねじ」とも呼ばれるようになった。このUSねじ規格は、第2次世界大戦中に米国、英国、カナダの3ヶ国が武器に使用するための互換性のあるねじとして生み出された「ユニファイねじ」規格へと発展した。こういった北米圏での「インチ系ねじ」とは別に、1894年にまずフランスで制定され、1898年にはフランス、スイス、ドイツが採用した、山の角度60度の「メートル系ねじ」が「SIねじ」規格として欧州域で普及し、その後も広く使われた。このSIねじが21世紀現在、世界中で最も普及している「メートルねじ」の原形になっている。

メートル系やインチ系といった違いの他にも、各国ごとにそれぞれ異なるねじ規格が存在していたため、国際間の物流の拡大につれて不便が生じ始めた。やがて、世界的なねじの互換性の要求が高くなり、国際間でのねじを統一しようとする動きが起こった。

第二次世界大戦期後、1947年国際標準化機構 (ISO) が設立され、ねじ規格でも国際的な標準化が進められた結果、1953年に「ISAメートルねじ」に準じた全世界共通の「ISOメートルねじ」規格を制定するとともに、アメリカ、イギリス、カナダが推奨する「ユニファイねじ」を「ISOインチねじ」として採用した[6]

加工法では、1955年頃から転造法による生産が本格化した[注 3]

日本でも、日本産業規格 (JIS) によってねじの標準規格が作られている。1975年からは毎年の6月1日を「ねじの日」としている。ISOによるねじの国際規格は世界の統一規格のために定められたが、北米圏や豪州では使用されていない。日本国内ではかつてはインチねじが主流を占めていたが、今では国際規格であるISO規格に準じたJIS規格によって寸法が統一され、インチねじは航空機その他特に必要な場合に使われる程度になっている[6]。日本国内での輸入製品などの修理には、ユニファイやインチといった海外規格のねじが必要になる[2]


注釈

  1. ^ "bolt"は「矢」や「稲妻」から、"nut"は「硬い木の実」を語源とする。
  2. ^ ホイットワースが55度という半端な数値を選択したのは、当時のイギリス工業界で流通していた多様なねじ山角度のうち、代表的なもの大方を集計した結果の平均値であったことによる。つまり技術的優位性ではなく、規格統一実現を目的に工業界全体の同意を取り付けることを優先した結果の産物であった。55度のねじ山角度は計算上半端なため、ねじ加工を行う工作機械設計の面では不利であり、ウィットウォースねじよりも後発で制定されたアメリカのセラーズねじ以降、角度算出・製図に適した60度ねじ山が一般化した。
  3. ^ 第二次世界大戦中の1943年には、ドイツの潜水艦で精密転造盤が日本に運ばれるほど、当時は高度な技術だった。
  4. ^ 「左ねじ」は動力工具の回転刃の固定、扇風機模型航空機の回転翼(プロペラ)の固定、船外機スクリュープロペラの固定、レシプロエンジンの左側クランク軸の固定、左側の車輪などの固定に使われる場合がある。またボンベにおいては可燃性ガスのボンベの口金は誤結を防ぐために充填する気体によって形状を異なったものにする規定となっており、ヘリウム水素・医療用亜酸化窒素(いわゆる笑気ガス)などは左ねじが使われている千代田溶断機カタログ2013(溶断用)pp.163-164” (pdf). 千代田精機. 2017年4月28日閲覧。高圧ガスのバルブ、継手形状”. 大東医療ガス. 2017年5月12日閲覧。
  5. ^ ピッチが細かなねじは一般にねじ部での締結力が強くなるが、ピッチの粗いねじに比べて多く回転させる必要があり作業性が劣る。
  6. ^ 不完全ねじ部は、JISでは長さに幅を持たせているだけでなく、山や谷の形状についても規定していない。必要ならばねじメーカーとユーザーの間での確認や協議が求められる。
  7. ^ 座面角度が60度[要出典]で小頭の皿小ねじ(JIS規格外)[18]、座面が円弧状になったトランペットねじ(JIS B1125 参照)[19]というものもある。
  8. ^ 超低頭ねじでは、M5で頭部の厚みが1.2 mmほど、M3では0.7 mmほどしかない。
  9. ^ 本来、「ねじ山」とはねじ軸に刻まれた螺旋の溝・歯を指すので、ねじ頭の一本線や十時に切った溝や四角・六角の穴を「ねじ山」と呼ぶのは間違いである。「ねじ頭の溝」と呼べば間違いはない。
  10. ^ 工具を使った締結時にズレの少ない「十字穴」や「トルクス」のようなねじの方が、作業性が高く大きなトルクにも対応できるため、「すりわり」を持った頭のねじは減少している。
  11. ^ 「フィリップス形」の名前は、米国のフィリップス・スクリュー社が1933年にJ.P.Thompsonの発明した特許を買い取り発売したことに由来する。
  12. ^ 「ロバートソン形」の名前は、カナダの発明家ピーター・L・ロバートソンが1907年に特許を取得。カナダにあったフォードの関連工場などに採用された。
  13. ^ "TORX"(トルクス)と"TROX PLUS"(トルクス・プラス)は、共に米カムカー(Camcar)社(CAMCAR DIVISION OF TEXTRON Fastening System Inc.)の登録商標である。
  14. ^ 携帯ゲーム機の筐体などを締める時に、使われているねじがこれである。
  15. ^ 球状の先端部も持つねじは「作用性向上ねじ」や「傷防止ねじ」と呼ばれ、取り付け時に不用意に取り付け面に先端部が当っても傷を付けないように考慮されている。
  16. ^ コーススレッドは木ねじよりも歯のピッチが粗い他は概ね似た形状である[26]
  17. ^ 戻り止めナットの一種とされる「ナイロンインサート付きプリベリングトルク形六角ナット」には軸直角振動方式ねじ緩み試験では緩み止め効果は無かったとされる。
  18. ^ 一般的なねじの種別の1つとしてのロックナットに加えて、自動車用のホイール用ナットでの盗難防止用のナットもロックナットと呼ばれるため、状況により区別が必要である。
  19. ^ 一般の木ねじより比較的大きい木ねじで、四角コーチねじと六角コーチねじとがある。
  20. ^ 「タッピンねじ」はJISでは、1種から4種までが規定されている。ホームセンター等で容易に入手できるタッピンねじは、1種である。2種と3種は先端が切り落とされて溝が切られており、2種は3種よりねじ山の間隔が広く3種は普通のねじに近くねじ山の間隔が狭い。4種は先端が尖っている。
  21. ^ ここで言う「スペーサー」とは、長ねじなどを通して支柱を構成する金属製などの円筒形の部品である。
  22. ^ 座金の使用目的の1つであるボルトのバネ定数の縮小とは、ボルトが軸方向でバネのように伸びが大きくあると座面やねじ面での初期緩みを吸収してなお軸力を維持する余力が生まれる。バネ定数の縮小のためには、ボルトが長いほうが有利であるが座金を噛ませることで距離が稼げてバネ定数の縮小に繋がる。
  23. ^ 座金の使用目的の1つである漏洩防止とは、ボルト穴が潤滑油の流路になっている場合などで、特殊な座金(ガスケットと呼ばれる場合がある)を使って油の漏洩を防ぐことがある。
  24. ^ 座金で斜面の補正を行うとは、座面が傾いている場合に傾きに合った座金を噛ますことでボルトとナットを軸に直角な面へ適正に締め付けを行うことである。
  25. ^ 熱間圧造では、材料を約1,250℃にまで加熱してから加工を行う。
  26. ^ 転造法による製造は、おねじと比較的小径のめねじに対して用いられ、とくに転造盤によるおねじの生成は、適度な精度での大量生産には欠かすことのできないものとなっている。平ダイス式転造盤と丸ダイス式転造盤では毎分数十本程、プラネタリ式転造盤では毎分千数百本程が転造できる。このように転造は量産に向いているが、ねじ山の大きさやピッチの違いごとに異なるダイス類を用意して保管し、品種の異なる作業ごとに交換するなど、コストと手間が掛かる。
  27. ^ ニッケルクロム鋼(SNC)は、鉄に炭素0.12-0.40%、ニッケル1.0-3.50%、クロム0.20-1.00%を加えたものである。耐食性、耐摩耗性に優れる。
  28. ^ クロムモリブデン鋼(SCM)は、鉄に炭素0.13-0.48%、クロム0.90-1.20%、モリブデン0.15-0.30%を加えたものである。焼き入れ性が良好で、機械的性質に優れる。
  29. ^ ニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM)は、鉄に炭素0.12-0.43%、ニッケル0.40-4.50%、クロム0.40-3.50%、モリブデン0.15-0.70%を加えたものである。焼き入れ性が他の鋼種より優れ、引っ張り強さ、粘り強さに優れる。
  30. ^ 製鋼メーカーが作る「冷間圧造用炭素線材」(SWRCH, carbon steel wire rods for cold heading and cold forging)を元にして伸線メーカーがSWCH材を作ることが一般的である。
  31. ^ リムド鋼は鋳隗を作る時に特別な脱酸素剤を入れないので激しく火花を飛ばしながら固まり、塊の縁にリムが付く。キルド鋼は鋳隗を作る時に脱酸素剤を入れるので鋳込む時もガスを出さずに死んだように静かに注がれる。アルミキルド鋼は脱酸素剤としてアルミを入れるものである。一般にはリムド鋼よりキルド鋼の方が組織が均一となって優れる。
  32. ^ “PEEK”(ピーク)はビクトレックス社の登録商標である[48]
  33. ^ 初期緩みによるトラブルを回避するために、1度ねじを締め付けてからしばらく後に再び締め付け直す「増し締め」と呼ばれる作業を行うことがある。
  34. ^ (社)日本建設業連合会・建築本部・鉄骨専門部会『鉄骨工事Q&A』(2011.7.1)B.工事現場施工 1.建方1-6「アンカーボルトのダブルナットの上ナット締付に規定はあるか?」(2012.9.1)にその回答として、誤った施工方法を記載しており、事例は大型の鉄骨プレハブ住宅など身近に多く見られる。
  35. ^ 偏心テーパ二重ナットには「ハードロックナット」という商品名の製品が存在する。

出典

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