り‐ぶ【吏部/×李部】
り‐ほう【吏▽部/×李▽部】
吏部
吏部
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 04:14 UTC 版)
「彩雲国物語の登場人物」の記事における「吏部」の解説
紅 黎深(こう れいしん) 声:真殿光昭 / 井上和彦 吏部尚書、紅家当主、邵可の弟。藍龍蓮と同じく、天つ才を持つ男。紅家特有の癖のない黒髪に、深い色の瞳、整って彫りの深い顔立ち。扇を持ち歩き、彼の特徴となっている。 兄同様に完璧に感情を制御でき、「怜悧冷徹冷酷非情な氷の長官」との異名を取る一方、一部の人間の前では、頭はいいのに直情的な面を見せる。関心のある人間の機微には聡いのに対応が不器用で、関心のない人間の機微には疎い。長い間「兄以外の他人=ぺんぺん草」という世界にいた為、人付き合いを分かっておらず、感情表現もおかしい。大切な人が望むことをかなえる、大切な人のためになるように動くという他の人間が容易くできることが最も不得手。余計なことは言うのに肝心なことは言わない為、特に絳攸には誤解されがち。嫌いな人間はとことん追い落とす主義で、彼に目を付けられたが最後、真っ当な人生は送れない。当主の地位はその才能ゆえに無理矢理就かされただけのものであって、本人は兄を軽視して追い出した紅一族を嫌っている。 『はじまり』の13年前、邵可から近くに居る条件として国試受験を課された。1年後、貴陽に向かう途中でコウ(後の絳攸)を拾う。悪夢の国試組の1人で、榜眼で及第した。状元でなかったのは「及第した後、どのような官吏を目指し、国をどう導くか」との会試最後の問いに「貴様なんかに仕えるつもりはサラサラない!!」と解答用紙いっぱいにデカデカと書いて提出したため。紅一族への当て付けと邵可に追い返されない為に、紅家当主にも関わらず仕官している。 その後、霄瑤璇から吏部尚書への就任を打診され、悠舜が茶州から帰って来る時の為だけに承諾した。兄を利用する王家、何かと神経を逆撫でする劉輝を嫌っており、職務を放棄しがち。本気を出せば、1年分の仕事も3日で終わるが、仕事をしている姿を見た部下がほぼ全員気絶し、その分の振り替えで彼らの休日が潰れることもある。 劉輝に紅藍寵愛の批判が出ていることに気付いており、絳攸らを助ける為、『青嵐』から仕事を完全に放棄し、『黎明』にて吏部尚書を解任される。王は紅家当主を解任できるという事実を作り出すことで時間を稼ぐつもりだったが、劉輝が紅姓官吏の解雇を躊躇った為、その意義が薄れた。自らはどうあっても劉輝に従えない為、『黒蝶』にて当主の座を邵可に譲る。 奇人を本名の「鳳珠」と呼ぶ数少ない人物。会試準備期間に百合が差し入れたお握りを飛翔が勝手に食べたことで、飛翔と共に満身創痍になる程の大喧嘩になった。 紅家への意趣返しで子を持つ気はなかった。コウを拾った理由は、生贄にされた彼が「誰かを待っているはずなのに、誰を待っているかを忘れてしまった」と泣く姿に、邵可を待っていた時の辛さを思い起こし、待つ相手も分からなくなったことを哀れんだ為。しかし本人には邵可が静蘭を拾ったのを真似てその苦労を追体験しようとしたとだけ語り、百合に真実だと推察されている。『黎明』で絳攸が親離れしたこと、当主交代の予定ができたことで、百合に子作りを提案、『紫闇』にて実子を授かったと見られる。 兄一家を溺愛し、彼らの一言でやる気が増減することも多い。幼少期から邵可が自分達の命を守る為に汚れ仕事をしていると理解しており、どんな態度を取られようとも懐いている。秀麗のことは最初認めていなかったが、薔君に邵可の子で、黎深の本性を知らない為に好く可能性もあると言われて陥落した。秀麗の男装時に自分のことを「おじさん」と呼ばせているが、「邵可を追い出して紅家当主におさまった鬼畜叔父」と秀麗に嫌われることを恐れ「叔父さん」であることを告白出来ずにいる。叔父と名乗れないことを、奇人にからかわれている。秀麗が国試を受ける際、後見人になったことも教えていない。秀麗に会うことを恐れる傾向が強まっており、秀麗に自らの存在を認知された後で吏部に押しかけたときにも逃亡したほど。このせいで秀麗に「自分を嫌っているのでは」と思い込みを与える事になってしまった。 玖琅が秀麗に蜜柑を食べさせて喜ばれているのを見て、黎深も不器用ながら真似たところとても喜ばれた思い出を大切にしている。この時の感動がきっかけで品種改良の指示まで出し、紅州みかんが生まれた。その後も百合の木と合わせて持ち歩いたり、蜜柑の仮面を作らせたり、蜜柑そのものにまで愛着を見せている。時折、蜜柑は扇同様に投げる武器として用いられる。 李が花でも実でも一番好きで、絳攸の姓にも選んだ。どこにでも根付き、白い花を咲かせ、実も根も薬になり、実が甘い一辺倒ではないところを気に入っている。相当な天邪鬼な為、その事を誰にも知られないようにしているが、邵可と百合と楊修にはバレている。後に邵可が絳攸にもバラした。 "風の狼"の解散後も邵可を兇手として使う王家および霄太師を憎んでいる。邵可に可愛がられている上に秀麗を諦めない劉輝を「洟垂れ小僧」と呼んで忌々しく思い、絳攸に(側近である事を)後悔させたら即刻首をすげかえると劉輝に宣言している。親友の鄭悠舜が宰相になった際には、劉輝に不幸の手紙を送ったり、腐った生卵を投げつけたりして、当の悠舜に呆れられた。 妻の百合には、幼い頃から無自覚に想いを寄せていた。鳳珠の百合への恋を面白半分に応援している内に自覚し、半ば強引に結婚した。悠舜が「恋人同士でおしるこを食べると縁が切れず、末永く暮らせる」と教えられた時には馬鹿にしていたが、結婚後、おしるこを3日に1回信心深く食べている(百合はその訳を全く知らされていない)。素直に愛情を示す事ができないが、彼女に対する独占欲はかなりのもの。彼女に求婚してきた奇人に対し彼女本人の与り知らぬところで勝手に断りの文を出したり、当主の仕事をしない自分の代わりに忙しい彼女をいきなり呼び出すことが多々ある。百合以外には髪を触らせないため、髪を切っているのも百合。邵可譲りで上手い琵琶は、秀麗にも好かれていたが、百合に求婚する際に彼女にだけ弾くように努力すると約束した。 絳攸とは半ば共依存で、一時期は劉輝から引き離そうと吏部侍郎としての仕事を増やしていたが、わざと自分の仕事を放棄して絳攸に罷免請求を出させることで親離れさせた。 悠舜に対しては、彼が劉輝に忠誠を誓った時から早死にする未来を見通しており、仕事を妥協させる形で命を助けようとするが断られる。帰省時に、過去に自分が悠舜にしたことを思い出して自失状態に陥り、邵可から紅本家で蟄居を命じられる。悠舜から脚を奪ったのは自分かもしれないと、初めて自分が人であることに気づけたかのような有様だったが、志美に叱咤激励され、悠舜の元へ駆け付ける。北方行脚にも付き合ったが、最後に山中に置いていかれ、百合の出した捜索隊に絳攸共々保護された。 李 絳攸 詳細は李 絳攸の項目を参照。 楊 修(よう しゅう) 声:荻原秀樹 吏部の覆面官吏、考課官。『緑風』において、国試に及第したのに吏部試に及第できない冗官のふりをして紛れ込み、密かにそれぞれの人物の査定をしていた。吏部官で黎深に楯突ける1人。秀麗に吏部として正当な評価をした上で「でも嫁にしてもいい」と報告書に書いたため黎深に睨まれる。蘇芳の父親の暗殺未遂を知っていた。自分の正体に勘付いた陸清雅に協力し、秀麗の上申書を詐取する。 絳攸の侍郎就任前は吏部侍郎最有力候補だった。侍郎になる時の為にと黎深を注意深く観察し、その天才ぶりは認めつつも、何でも手に入っていながら滅多に使おうとしない姿に苛立ちを覚えていた。ただ好きな人の為になろうとして空回る一面は嫌いではない。 吏部に配属された絳攸に仕事の全てを叩き込み、絳攸からも官吏として尊敬されている。いつまでたっても「吏部侍郎」ではなく「吏部尚書のお守り」でしかない絳攸に失望し追い落としを図るが、自ら引導を渡し免官を逃れる道を残していた。 適当な上の位で楽をしたいと思っている。自分より能力の低いものの下で働くのは嫌。欧陽玉の親友で、美的感覚抜群の彼には侵入捜査の際の変装を手助けしてもらっている。『黎明』では変装中の染髪の名残で、頭頂は黒、毛先は茶色になっており、玉にそれを活かして短く切られた。唇は薄く、鎖の付いた眼鏡を掛けている。 『黒蝶』で吏部侍郎に着任早々、出仕を拒否した紅姓官吏の首を次々切り、後に能吏を据えたことで注目を浴びる。上治6年秋より茶州州牧となる。 好きなものは「枇杷の実」「雪柳」「秋の鈴虫」「降るような銀杏の葉」「夏の虹」「紅黎深の琵琶」「李絳攸」。名の由来は楊修か。 碧 珀明(へき はくめい) 声:私市淳 秀麗の同期で、第四位及第。上治1年で15歳。絳攸に憧れ、16歳状元の彼に敬意を表して1年遅らせて受けたが、影月・龍蓮・秀麗に越され、17歳状元の野望は潰えた。秀麗には「珀」または「珀明」と呼ばれている(アニメ版では「珀明君」で統一されている)。 一本気で曲がったことの嫌いな性格。照れ隠しらしき文句も同時に出るが、同期の中で唯一、影月と秀麗を助ける。国試で秀麗や影月と共に、龍蓮とまともに向き合ったことから、龍蓮に「心の友・其の三」として認知される。また、茶州の奇病騒ぎの折、同期の二人を心底心配していたようで、騒動終結後に櫂瑜を経由して、文一つ遣さなかった彼らの下へ友を想う気持ちを土台とした、かなり長い説教文を送る。 希望通り絳攸と同じ吏部の下官に任じられ、こき使われている。当初は貴族らしい純粋さがあったものの、「悪鬼巣窟」と呼ばれる吏部での激務により、罵詈雑言の語彙が日々増加している。絳攸が吏部侍郎を追われた後も、吏部の内情を伝えるなど交流は続いている。 官吏になった理由は、碧家の芸術を政治的思惑から守るため。中央官吏を目指していたのはそのためである。芸能の一族の碧家の出身で、碧州では神童と呼ばれており、芸才はないものの鑑定眼は碧家でも屈指。 碧 歌梨の弟。姉想いで、贋金の件では官位剥奪も覚悟していた。『青嵐』の辺りから碧家より帰還命令が出ていたが、政治に疎い実家らしくなさに違和感を覚え、碧家系官吏を辞めさせない為に朝廷に留まる。『黎明』では歌梨が宝鏡作りで死ぬことになり、秀麗から絳攸のことを聞かれてもそれどころではない状態だった。『黒蝶』では絳攸の問い合わせに応じている。
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