アメストリス国
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国家錬金術師 アメストリスの国家資格、及びその資格を持つ錬金術師。国より多大な支援を受けることが可能となるが、様々な義務も負う。現在までの資格収得者の総計は200人程だが、後述する理由により、現在も資格を保有している者はずっと少ないと思われる。 大総統府直属の機関によって管理され、その地位は軍部の少佐にも相当(厳密には大尉と同じ権限)する。国家錬金術師になれば、その証である二つ名と銀時計(大総統紋章に六芒星をあしらったもの。身分証明になり、各種特権を享受する際にも必要)が与えられ、以下のような様々な特権を国家より与えられる。年間数千万センズの研究費の支給 各種、特殊文献の閲覧許可 鉄道や国が経営するホテルなどの国家施設を優先的に利用が可能 軍部少佐相当官の地位(国家錬金術師であることとは別に軍に所属しており、中佐以上の地位を得ていれば、この限りではない) ただし、国家錬金術師資格試験という厳しい試験(筆記・精神鑑定・実技)を合格しなければ得られない超難関の資格であり、さらに合格しても1年毎の査定(研究成果のレポートと実技。軍に所属するものは日々の軍務・戦功などを評価)に合格しなければ資格を剥奪されるという厳しい内容である。さらに以下のような三大制限が課せられる。人を造るべからず 一般に禁忌に準じた項目と認識されているが、本当の理由は戦闘に優れた人間を造り出すことで私設軍隊を持ち、国を脅かさないようにするため。軍部で密かに研究され、特に人と獣の合成獣において一定の成果を得ている。「不死の軍団」の研究も進められていた。 金を造るべからず 貨幣価値の暴落によるインフレなど、経済混乱を引き起こさないようにするため。金だけではなく、貴金属も含まれる。その性質上、一般の錬金術師も禁止されていると思われている。 軍に忠誠を誓うべし 実質的な軍属となるため。非常事態には軍に召集され、人間兵器として戦場に立つという義務も含まれる。イシュヴァール内戦への参加後に資格を返上した者もいる。 また、必然的にその研究は軍のために使われるので、錬金術師の指針である「錬金術師よ大衆のためにあれ」に反し、一般人には「軍の狗」と蔑まれることもある。 国、ひいては軍部にとって有益な錬金術師を確保するため、ブラッドレイによって創設される。しかし、本当の目的はホムンクルスたちの目的のために優秀な錬金術師を把握しておくことにあり、その最終選定はプライドとブラッドレイの相談によって決まる。 軍部(アメストリス国軍) アメストリスの軍隊。アメストリスは軍部が議会・裁判所を掌握した軍事政権のため、トップの大総統府は事実上の政府である。それ故に、長である大総統の地位は国家元首に等しい。 組織形態として、中央(セントラル)に本部を持ち、東西南北にそれぞれ司令部を置いて国の防衛に当たっている。また、警察権も憲兵として軍部が持ち、憲兵司令部が各地方司令部と同列に扱われている(ただし、一般の憲兵は軍の下位組織の扱いである)。また、重要拠点においてはブリッグズ要塞のように、地方司令部より独立していると思われるような形態を持つ。そして、それらを全て束ねる軍の最高機関として大総統府が存在する。士官学校や国の各錬金術師機関も大総統府直属の扱いとなっている。 軍の階級は順に、大総統 / 将官(大中少准) / 佐官(大中少) / 尉官(大中少) / 准士官(准) / 下士官(曹長・軍曹・伍長)となっている。各組織の総司令官は将官クラスの階級が担う。東方司令部のグラマン中将のように、各部署にある程度の裁量権を認めているところもあれば、ブリッグズ要塞のオリヴィエ少将のように司令官を頂点とする徹底したトップダウン的な形態を成すものもあり、組織の形状については各支部の司令官に任されている[要出典]。また、イシュヴァール戦でキンブリーが「自らの意思で軍服を着た」と言っていることから、兵士の徴募制度は志願制のようである。 物語の舞台は産業革命期をモデルとしているが、軍が使う武器には主に第二次世界大戦後期のドイツ国防軍やベトナム戦争初期のアメリカ軍をモデルにしたと思われる物が登場する。また、歩兵と砲兵が主力兵力だが、極一部では戦車も開発・運用されている。一方で、航空兵力は飛行機が発明されていないために存在せず、気球での写真偵察が細々と行われているのみである。 軍装は青色を基調とする。一般憲兵は黒色であるが、憲兵司令部に勤める士官クラスの軍人は青色である。また、地域によって微妙な差異が見られる。 アメストリス国そのものがホムンクルスたちの目的に沿って建国され、現在の国家体制もホムンクルス(ラース)であるブラッドレイによって、軍事国家化を経てより中央集権的な体制へと編成したものである。また、同時に軍事力の強化と対外侵略を繰り返して領土を拡大した経緯がある。現在は隣国と小競り合いが絶えないとはいえ、対外的には比較的安定しており、軍部の主な役割は国内の治安維持となっている。 軍上層部はホムンクルスたちの策略に咬んでいるとはいえ、ほとんどの軍人は国のために働いている。軍部の横暴・不正とそれに対する国民の不満が時折描写されるものの、総じて国民はその国政を受け入れている。 イシュヴァールの内乱 / イシュヴァール殲滅戦 物語が始まる13年前(1901年)にイシュヴァール地方で起こったイシュヴァール人による内乱。ある軍将校がイシュヴァール人の少女を撃ち殺した事件が発端とされる。 当初、軍部は通常の内乱鎮圧と同じ扱いで対処していたが、1人でアメストリス兵10人に匹敵すると言われる精強なイシュヴァラ教の武僧や、アメストリスの弱小化を狙う隣国アエルゴによる秘密裏の支援等で非常に長引き、その結果、1908年に国家錬金術師を投入しての殲滅戦へと移る。最終的にイシュヴァール全土は完全に軍の管理下に置かれる。 その目的においてイシュヴァール人の全滅が目的であるものの、一部は逃げ出すことに成功しており、アメストリス各地でスラムを形成したり、遺跡や山間部に隠れ住んでいたりしている。一部は内乱の支援者であった隣国のアエルゴに対して亡命を希望し国境に殺到したが、アエルゴ側は亡命要請を無視していた。また、内乱中は軍服用の羊毛の産地ということで、リゼンブールがテロの被害を受けており、イシュヴァール地方外にも広がりがあった。 鎮圧戦から殲滅戦に移行するに当たり、アメストリス国軍内部のイシュヴァール人将兵は兵籍抹消の上で拘束されている。 その真実は、ホムンクルスたちが「血の紋」を刻むために仕組んだことであり、少女を撃ち殺した軍将校もエンヴィーが化けたものであった。 ウィンリィの両親の死や「傷の男」の復讐、殲滅戦にまつわる軍部や国家錬金術師の話、またホムンクルスの目的など、時系列的には過去の話だが、物語に対する影響が大きい出来事である。 不死の軍団 人形に賢者の石のエネルギーを流すことによって動く人造人間。成人男性のような体つきで、体と顔に基盤の様な模様がある。本来の場所に眼は無く、額に1つ眼球がある。頭などを失っても動けるなど不死に近いが、再生能力は持たない。相応の身体能力を有するが知能は低く、攻撃方法はもっぱら相手に噛み付いてその肉を喰らうことで、さながらゾンビのようである。軍によって密かに研究され、少なくとも軍上層部は最終的にアメストリス国民の魂を注入することによって自分らの優秀な兵にするつもりでいた。 「約束の日」、軍上層部の1人が反乱への対抗手段として不死の軍団を起動させる。しかし、ろくな実験もせずに全て起動させた結果、完全に暴走して敵味方問わず人間を襲い出し、起動させた将校も真っ先に喰われる。更に市内の研究所と中央司令部が繋がっていたために第三研究所を経由して「お父様」の元へ乗り込もうとしたエドワード達が襲われた上に中央司令部にも人形兵がなだれ込み、中央兵や幹部も犠牲になる。 賢者の石になった魂達が正気を失ったに等しい状態でもあるので知性は皆無であり、眼に入った相手を手当たり次第に喰らう。加えて上述通り頭を破壊されても死なず、身体を一撃で完全に破壊するしか倒す方法がない。オリヴィエ達が統率する中央兵は一体に二人以上であたり、上顎を潰すことでかみ殺されるのを防いだ。 国土錬成陣 アメストリス国に築かれつつある(築かれた)国土全体を利用した巨大な賢者の石の錬成陣。「お父様」らホムンクルスたちの目的であり、そもそもアメストリスを建国した目的でもある。陣の線はスロウスの手による地下トンネルによって築かれ、交点で必要な人の死は、ホムンクルスたちが仕掛けた戦争や紛争などによる大量の人の死で補われていた(「血の紋」)。 その目的は、アメストリス国民全員の魂を賢者の石として取り込む事。さらに、星そのものを1つの魂と見立ててその「真理の扉」を開き、集めた賢者の石の膨大なエネルギーを利用して、「神」と呼ぶその真理を自らの内に封じ込め、手に入れるためであった。そのため、発動には雌雄を表す太陽と月が交わる日(皆既日蝕)を待つ必要があった。 「約束の日」に「お父様」によって陣は発動し、アメストリス国5000万人分の魂が「お父様」の体内に集められる。しかし、ホーエンハイムは「お父様」の計画を見越しており、自身が「カウンター」と呼ぶ日蝕によって星に写る月の影を円に見立てた錬成陣を発動させ、「お父様」が集めたアメストリス国中の魂を元の人間たちへ戻す。これとその次に発動した「逆転の錬成陣」によって、国土錬成陣は完全に無効化される。 逆転の錬成陣 国土錬成陣の存在に気付いた「傷の男」の兄が用意していた錬成陣。国土錬成陣をベースに錬丹術を上書きすることで賢者の石を中和し、本来はアメストリスの生物の魂を集める錬成陣の効果を、地殻エネルギーを制限なく引き出せるように書き換える。 「約束の日」、「傷の男」と共に決起したイシュヴァール人たちが発動に必要な錬成陣を要所に置き、「傷の男」がブラッドレイとの死闘の後に発動させる。「お父様」との最終対決でエルリック兄弟ら錬金術師たちの大きな戦力源となる。 センズ アメストリスの通貨。1センズあたり現実世界における1円とほぼ同じ価値[要出典]。 大陸暦 アメストリスで(ひいては物語で)使われている紀年法。物語開始時点で1914年。
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