『ウルトラマンZ』に登場するキングジョーSC
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「キングジョー」の記事における「『ウルトラマンZ』に登場するキングジョーSC」の解説
『ウルトラマンZ』第11話「守るべきもの」より登場。正式名称は対怪獣特殊空挺機甲3号 キングジョー ストレイジカスタム、略称はキングジョーSC。形式番号は「SC-3」。 地球防衛軍日本支部が回収したバロッサ星人が操縦していたキングジョーの破片より得た詳細な解析結果を元に、ストレイジが独自技術を用いて復元・改修・再構築することで火力重視型の戦う武器庫として生まれ変わった、ハイブリット機ともいえる特空機3号。キングジョーの異星テクノロジーによる動力源を解析して再構築した動力ペダニウムエンジンにより、ウインダムの5倍のエンジン出力と3倍の反応速度を獲得している。その一方、出力が一定値を超えるとオーバーヒートするリスクも抱えているうえに高い操縦練度も要求されるため、専任パイロットのナカシマヨウコをして「じゃじゃ馬」と言わしめるピーキーな仕上がりとなっている。腹部に黄色い機内照明の操縦席があるが、口元にもハッチがあるため、M1号戦ではイナバコジローが乗り込んでそこから無反動砲で細胞分裂逆進剤を打ち込んだ。戦況に応じて、高機動二足歩行型であるロボットモード、戦術分離戦闘型のセパレートモード、自走多目的兵装型のタンクモードの3形態で運用される。 起動テスト直前で出現したレッドキングへの対処で初陣を飾り、正式にロールアウト後は退役したセブンガーに代わるストレイジの主力として活躍する。ストレイジ解散後は新設された第一特殊空挺機甲群の所属となり、バロッサ星人(三代目)出現時はヨウコに代わって男性パイロットが操縦を担当する。デストルドスとの最終決戦ではナツカワハルキが搭乗し、ほかの特空機と協力してセレブロに寄生されたヨウコの救出に成功する。 セパレートモード各機 ロボットモードから分離した4機の戦術分離戦闘型。各機が飛行能力を持ち、現地でも自在に合体分離が可能なため、上半身のみでも攻撃することが可能。主に広範囲の警戒時に用いられる。ヘッドファイター 頭部を構成する無人攻撃機。小回りが利く小型の戦闘機のため、警戒区域の哨戒にも使用される。多連装ペダニウム誘導弾発射システムを背面に装備している。 ブレストタンク 胸部と両腕部を構成する無人装軌自走砲。近接鉄拳攻撃システムと26口径750㎜榴弾砲を装備している。そのため、遠近両方の攻撃に対応するが、機動力が乏しいため、敵をヘッドファイターで誘導し、そこを迎撃するという連携戦法をとる。 コアシップ 腹部を構成する唯一操縦席を持ち、タンクモードとロボットモードの操縦席も兼ねる司令機。この機体で、他の3機の無人機の遠隔操作による制御を行い、レーザー誘導によって合体に導く。司令機に特化しているため、非武装。第22話ではオオタユカも搭乗し、レッグキャリアーを遠隔操作した。 レッグキャリアー 脚部を構成する無人装軌輸送車。三連装砲を左右に装備し、4基の履帯で走行する。セブンガーを搭載して超信地旋回を行えるほど強固な車体を誇り、絶大な機動力と輸送力を発揮する。作戦区域まで怪獣を輸送し、車体を展開して放り投げる。また、煙幕用のスモークディスチャージャーを前部に装備している。 タンクモード レッグキャリアーにヘッドファイター・ブレストタンク・コアシップが接続・搭載した自走多目的兵装型。前面に全機の兵装が向いており、同時に全ての武器を発射する全兵装一斉射で敵を激甚な飽和攻撃によって制圧する。 装備 26口径750mmペダニウム粒子砲 右腕内蔵の主砲から超強力なビームを放つ。ただし、メインエンジンに多大な負荷をかけるため、同じ砲身で実体弾である750ミリ榴弾と弾種を使い分けながら使用する。ブレストタンクではエネルギーの関係からビームの発射が不可能なため、750mm榴弾砲のみ使用可能。タンクモードではロボットモード同様の最高出力によるペダニウム粒子砲の発射が可能。ケルビム殲滅作戦では、総合先進装備研究所が次元を操るバラバの角を解析して開発した異次元壊滅兵器D4レイに換装し、次元崩壊によって無数のケルビムを掃討する。D4レイがウルトロイドゼロに移設されたあとは、元に復旧された模様。 近接鉄拳攻撃システム(通称ベダニウムハンマー) 三段階に折りたたまれた左腕部を展開・伸縮させ強力なパンチを放つ。ブレストタンクでも使用可能。 多連装ペダニウム誘導弾発射システム (MPLRS) 背部の5連装の筒状砲塔から最高射程距離100キロのペダニウム誘導弾を放つ。ヘッドファイターでも使用可能。 ペダニウムシールド ボディ前面に展開したエネルギーシールドで敵の攻撃を防ぐ。 煙幕弾 両足に装備されている。 麻酔弾 肩口に装備されている麻酔薬を内包した弾丸。M1号戦で使用された。 スーツアクター:岡部暁 デザインは、井野元大輔が担当。スーツ用のデザインは玩具の設計図面を基に起こされている。地球人が作ったという設定から意味と機能のあるデザインとして、実在する武装やメカ、ロボットの要素を取り入れており、原案のディテールを再構築して、右腕のペダニウム粒子砲や左手の指、胸の発光部の構造、足の側面に装備された銃の形状を変更し、地に足のついたハードSFガジェットとすることが志向された。発注時のプレックスがデザインした分離合体の仕組みはそのままに、新規要素を元を活かしながら加えてデザインを進めていき、パネルラインなどはカッコよさではなく、実際の機能としての必然性がある方向性が優先されている。別途に左右側面も描かれている。『Z』メイン監督の田口清隆はストレイジカスタムのコンセプトについて、映画『地球防衛軍』のモゲラに対する映画『ゴジラvsスペースゴジラ』のMOGERAに例えている。セパレートモードは当初、ストレイジの基地玩具として考えられ、敷地に分離した状態で配置され、怪獣の襲撃時に各防衛ラインで迎撃にあたり、最期に合体して肉弾戦、というイメージで考えられていたが、そんなに大きな特空機は存在しえない、ということから却下となった。タンクモードは、田口が玩具の試作でレッグキャリアーに各パーツを積み上げて組んで戦車のようになったものの図面を引き直したものが採用された。全体のカラーリングと分離システムはプレックスがデザインし、ペダニウムハンマーの内側のディテールを井野元が担当した。額の電飾は、原案では前のみであったが、後ろも光るようにディテールが追加された。口元の部分や頭頂部のフィンはカッコよくなるように原案を変更し、右腕のペダニウム粒子砲や左手の指の構造も変更している。白い装甲を外した内部のイメージもデザイン段階で描かれていたが、実際に分解することはできない。スコープも付けられる案もあったが、キングジョーはスコープを覗かないであろうということからカットされた。原案では肩のアーマーはくっ付いていたが、具体的な構造を考えてそこに落とし込んでいる。足側面の銃は監督の田口の指示で形状を変更している。 スーツは新規造形。6ピース構成のスーツとなっており、膝まで一体になったブーツを穿いて上半身を前後から装着、下腿部と前腕部左右を差し込んで完成となる。白い面積が多く、ディテールが照明で白飛びして形状がわからなくなってしまうことを避けるため、シャドー塗装を全身のディテールやエッジに施している。スーツの通常時の可動する左腕はスーツアクターのグリップ操作によりリアルタイムで開閉することができるほか、差し替えで握り拳が固定されたパーツも存在する。ペダニウムハンマー展開時は、左腕を肩の基部のプレートごとに回転する構造や伸縮機構を持つ専用の腕などに交換しており、スーツアクターの左腕は胴体部に引き込んでいることから可動域に限界がない。左手の指は開いた状態と閉じた状態を内部の固定具の位置を変えることで選択できる。左肩のみ交換でき、右肩はその機構がないことから交換できない。額と後頭部、胸はLEDによってリレー発光し、回転・明減速度と光量は撮影のコマ数に応じて逆転や可変、全発光などの調節が可能となり、電子的な制御によって前後で光の流れる方向を逆にすることでパトランプのように回転しているように見せている。視界は目元の喉元までメッシュになっている黒い凹部で得ている。胸部の3対ずつのLEDは頭部同様、撮影のコマ数に合わせて明減速度と光量を変更することが可能。 企画段階では、キングジョーを最初に登場させる案も挙がっていたが、田口は最初から強くてはウルトラマンが不要になってしまうと考え、最初は弱いところからキングジョーへ向けて段階的に強化していくことを主張したという。本作品にはセブンガーとウインダムが登場していたが、それだけではインパクトがないため、メカレッドキングやメカゴモラのような案もあったが、防衛隊を強くするとウルトラマンの必要性がなくなることから、合体変形ロボとしての特徴を持った新デザインのキングジョーを出すこととなった。防衛隊の武装が激化していってしっぺ返しを喰らうという全体の流れは決まっていたため、その流れとも矛盾しないことから、それで行くこととなった。 CGではなく、分離形態もすべてプロップで表現されている。分離形態のプロップは新規造形で、ロボットモードとはサイズが異なるため、パーツの使い回しが出来ず、それぞれのサイズで作り起されており、流用しているパーツもないといい、ディテールは暗く見えないようにやや抑え目のシャドー塗装となっている。エッジを立てるような塗装を要所要所に施している。ブレストタンクには撮影用スーツと同様の電飾が仕込まれており、明減・発光し、明減速度と光量を調節することが可能だが、小さなサイズのため、別途で専用に作成された。ブレストタンクの両腕はタンクモードとデフォルトの肩の角度が異なるため、水平から真上まで四段階に調節することが可能。レッグキャリアーのプロップの全長は成人男性一人分に相当する。タンクモードのプロップはセパレートモードを積み重ねただけで成立しているが、固定する機構も組み込まれているため、揺れたり傾いたりした程度では簡単には崩れないようになっており、撮影によって使い分けができるように配慮している。
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