DVDレコーダー 概説

DVDレコーダー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/18 06:18 UTC 版)

概説

DVDは第2世代光ディスクであり、Blu-ray Disc(BD)やHD DVDなどの第3世代光ディスクとは異なる規格のメディアで、それらのレコーダーも基本的には別の機器である(後述参照)。

テレビ放送のチューナーを内蔵し、テレビ番組を高画質で録画できるほか、家庭用ビデオカメラからの映像の取り込み・編集も可能。家庭用据え置き型録画機としては、VHSなどのVTRの次の世代に位置付けられていた製品である。

DVD-Videoの再生のほか音楽CD、機種によってはビデオCDMP3などの再生にも対応する。

なお、第3世代光ディスクの普及とともに、メーカーはBDの生産へと推移し、DVDレコーダーの生産は行われていない。しかしながら下位互換として多くのBDレコーダーがDVDレコーダーとしての機能を持っている。

各種DVDメディアや第3世代光ディスクの詳細については当該記事を参照。

特徴

記録方式

動画圧縮に使われるフォーマットはMPEG-2、音声フォーマットは主にドルビーデジタルまたはリニアPCMである。

録画品質のモード名称は機器メーカーにより様々で共通規格に従ったものではないが、以下のような呼称がよく使われている。

  • DR(ダイレクトレコーディング)/TS(Transporting Stream) - デジタル放送の映像や音声を劣化なしで直接記録(エンコードを伴わない記録)する。デジタルチューナー搭載機種で基本的にはHDDへの記録のみだが、東芝のHD Rec対応機ではHD DVD-VR(HDVR)フォーマットされた記録型DVDメディアへの記録が可能である。
  • XP、FINE、HQ(高画質) - 放送信号の中に含まれる映像や音声の信号を(デジタル放送の場合はデジタルデータを一旦デコードした後に)8.0~9.2MbpsCBRで再エンコードして記録する。ディスク1枚に約1時間。DVDの規格(AVCRECを除く)上の最高画質であり、映像信号をほぼ忠実に記録可能。また、このモードならDVDレコーダー2台を使ってアナログでダビングしても1度や2度なら画質の劣化が少ない。画質的にはDV方式やS-VHS方式の標準モード並なので、ビデオカメラで撮影した映像の編集などに最も適している。
  • SP(標準画質) - 約5MbpsVBRでのエンコード記録。ディスク1枚に約2時間。XPモードには及ばないが、それでもS-VHS方式の3倍モード並の画質である。記録時間と画質のバランスが取れたモードで、保存目的のテレビ番組録画ではこのSPモードが一番よく使われる。
  • LSP - ディスク1枚に約2時間30分。
  • ESP - ディスク1枚に約3時間。
  • LP(長時間) - 約2~3Mbpsでのエンコード記録。ディスク1枚に約4時間。画質はVHS方式の3倍モードと同等かそれ以下である。音声主体で動きの少ないトーク番組など画質をあまり気にしないでも良いテレビ番組を、コストや保存スペースを抑えるために長時間録画する用途に向く。個人差や用途にもよるが、このあたりが通常の視聴に耐えうる限界のモードとなる。
  • EP、SLP(超長時間) - 約1~2Mbpsでのエンコード記録。ディスク1枚に6~10時間。ただし、その画質はVHS方式の3倍モードにも及ばない。画面に映る人物などが辛うじて判る程度で、スタッフロールの文字などはほとんど読み取れないほどにまで崩れる。短期的に保存する番組などを録画する際に容量を抑えて記録するためのモードで、テレビ番組の保存用としての録画には向かない。
  • FR、MN、AUTO、SmartFit - エンコードの記録時のビットレートを自由指定したり、ディスク1枚に収まりきるように画質を自動調整するモード。そのため近年多い2時間超スペシャルといった番組などを録画するときにSPモードと遜色ない録画が可能。

※ディスクは片面1層の場合。XSP、LSP、ESPは主にソニーやパイオニアなどの製品で採用されている。東芝製品ではビットレートを1.0~9.2Mbpsまで0.2Mbps単位で自由に設定可能である。

解像度は720×480ドット(Full D1)が基本である。LP・EP等の低ビットレートモードでは圧縮によるノイズを抑えるため、720×480ドットに満たない解像度で記録し、再生時に引き伸ばしてテレビに表示することが多い。このためどうしても細部の描写が甘くなる傾向があり、色の再現性も悪くなる。とりわけLP・EPなどのモードでは長時間記録を実現するためにビットレートが低く抑えられる傾向にあり、不快なブロックノイズが増大し画質が著しく悪化することがよくある。

このため、DVDレコーダーでは高画質と長時間記録が両立できるようにメーカー独自の長時間記録技術を搭載するようになった。例えばパナソニックのDVDレコーダー「ディーガ」には「高解像度LPモード」という録画機能が搭載されている。これはLPモードで記録する際、SPモードと同じ720×480ドットで記録するが、記録の際に映像信号を細かく分析し個々の被写体に最適なビットレートを割り振るというもの。これによってビットレートを低く抑え、なおかつブロックノイズは極限まで抑えられている。1枚のDVD(片面1層)に4時間以上の高画質映像が記録できる。

DVDレコーダーでは再生互換性などの問題により、後述するメモリーカードへの書き出しを除き、MPEG-2よりも圧縮率が高いフォーマット(MPEG-4など)は採用されていなかった。しかし2007年11月にはハイビジョン解像度のMPEG-4 AVCでデジタル放送を記録できる機器が登場する。

DVDメディアへの記録方式は、主に以下の2種類がある。

  • DVD-Videoモード - DVD-Video規格にほぼ準拠する。国内外のメーカーの幅広いDVD機器で再生可能。ただしデジタル放送の記録には非対応なので、自主制作ビデオ作品の配布などに適している。
  • DVD-VRモード - 記録後にカット編集などが可能。DVD-Videoと互換性がないが、最近のDVDプレーヤーはDVD-VRモードにも対応したものが多い。デジタル放送はこのモードでのみ記録可能である。

両モード間で相互ダビングが可能になっている機種も多いが両モードには規格上での相違点があるので、ダビングを行なうことを前提で録画を行なう場合は両モードの相違点を熟知しておくことが必要である。以下に主な相違点を列記する。以下は規格上の制限で、機種や設計上の制限ではないので各社各機種ともに共通する。

  1. 使用できる解像度の違い:DVD-VideoモードはFull D1、1/2D1、1/4D1(CIF)のみだがDVD-VRではその他に4/3D1、2/3D1も使用可能。
  2. 16:9スクイーズ記録の制限:DVD-VideoモードはFull D1でしか認められていないが、DVD-VRではその他の解像度との組み合わせでも可能。

また録音の音質も各社で扱いが異なっている。多くのメーカーがリニアPCM(48kHz16ビット)を採用しているのは同じだがドルビーデジタル音声ではパナソニックが128kbps、パイオニアは256kbps、東芝は384kbpsを採用している(高音質設定時)。

二ヶ国語放送の記録

アナログ放送(地上波アナログ・BSアナログ放送)の音声多重放送は2つの音声トラックを使って副音声付放送(二ヶ国語放送解説放送。デュアルモノラル)とステレオ放送を行なっている。副音声付放送は主+副であるが、ステレオ方法は単純に左+右ではない。詳細は音声多重放送を参照の事。

デジタル放送ではMPEG-2の技術(MPEG-2 TS)を採用している関係で音声信号の仕組みもDVD-Videoフォーマットに近い形になっており最大8トラック(技術的にはストリームと呼ばれている)まで利用可能であるが、それぞれの音声トラックに記録されている音声のチャンネル切換再生(例えばステレオ2ch音声の場合なら左右の切換)にはDVD-Videoフォーマットの場合と同様に対応していない。CS放送デジタル放送なので音声信号などの規格上はデジタル放送に極めて近い仕組みだが2006年初頭現在、アナログ放送の方式に合わせて音声ストリームは1系統のみで行なっている放送チャンネルがほとんど。一部のチャンネルや番組プログラムには第二音声信号があるものがある。詳細はCS放送の記事を参照のこと。

従って、DVDレコーダーのDVD-Videoモードでも音声トラック内のある1つのチャンネルを選択して再生する仕組みにはなっていない。DVD-VRでは、DVD-Videoの場合と異なりステレオ2ch音声の左右を選択指定して切替が可能な機種と、(DVD-Videoと同様に)左右の切換が不可能になっているものが存在する。ちなみにDVD-Videoの再生でもごく一部の多機能なAV機器やAVソフトでは左右音声を独立にボリューム調整可能なものはあるが、これらの機能コンセプトはあくまで音声切り替えではなく左右別のボリューム調整である。

DVD-Videoで音声を選択できる形で記録するには音声トラックを複数使用した形で記録しないと二ヶ国語が再生できるものは作れないが、未だDVD-Videoフォーマットの記録に音声トラックを2つ以上使用する機能をもった機種は登場していない。現状は、DVDレコーダーでDVD-VideoフォーマットのDVDに二ヶ国語番組を(音声の切り替えが可能な形式で)記録する事は実質的には不可能である。なお、パソコンで利用可能なアプリケーションソフトには、DVD-VideoフォーマットのDVD作成に2つ以上の音声トラックを作成可能な機能を持つオーサリングソフト(編集ソフト)がある。

一方、DVD-VRモードではフォーマットの規格として二重音声である旨の識別情報が定義されている。DVD-Videoモードでは二重音声かそうでないかの区分が存在しないので、二重音声を記録した場合はステレオ2ch音声の場合に左/右の切り替えが不可能なのと同様に主/副の切り替えが不可能な状態で記録される。アナログテレビ放送やDVD-VRフォーマット、さらに一部のデジタル放送でも使われている二重音声(デュアルモノラル音声)の仕組みはデジタル放送のステレオ二ヶ国語放送(デュアルステレオ)やDVD-Videoフォーマットで採用されている多重音声の仕組み(論理的なデータ構造)とは異なっている。前者は2chステレオも二重音声も音声トラック(デジタル記録技術の場合は音声ストリーム)を2つ使用した技術であり、後者は2ch音声もそれ以上の多チャンネル(例:5.1chなど)音声でも使用するトラック(ストリーム)は1つとして定義されている。

市販の民生レコーダーではこの状態(主/副の音声の切り替えが不可能なDVD-Videoディスクが作成される状態)を回避するために二重音声のDVD-VRフォーマットをそのままDVD-Videoフォーマットに記録や変換ができないようにしている。DVD-Videoフォーマットで記録する場合は二ヶ国語放送の音声を別々に選んで再生可能な状態で収録するには音声トラックが2つ必要になるが、これに対応した民生レコーダーは2010年5月現在いまだ製造されていない。またデジタル放送で行われているデュアルステレオによる二ヶ国語放送の場合はそれぞれの言語音声を1つずつの音声トラックに記録し都合2つの音声トラックを使用することでデュアルステレオ音声とすることが理論的には可能でかつ技術的にも容易であるが、これについても未だ可能な機種は2010年5月現在製造・販売されていない。これはDVD-VRとDVD-Videoの両フォーマットへの録画機能を備えたDVDレコーダーで先行したメーカーが両フォーマット間のコンバート処理を技術的にシンプルにするためにDVD-Videoフォーマットで二ヶ国語放送のような二重音声放送を録画する場合、あるいはDVD-VRで録画した二重音声放送をDVD-Videoフォーマットにダビングする際に機器使用者に二ヶ国語のうち一方だけを選ばせることでDVD-Videoフォーマットでの音声トラックの使用を1つに限定した仕様を採ったこと、かつ後続メーカーや後続機種も全てそれに倣ったことによる。

対応メディアの違い

記録型DVDは複数の規格が乱立し、それぞれを支持するメーカーが分かれて消費者を混乱させた。複数規格に対応する記録装置(いわゆるDVDマルチドライブ)が普及して規格争いは沈静化したものの、一部その名残が各社のDVDレコーダーに残され、消費者は機器、メディアの選択、および非互換性に困る場合がある。なお、BDレコーダーはメディアがBD-R・BD-REの2種類に絞られており、BD-R・BD-RE共に大多数のレコーダーで録画・再生が可能である(但し一部DLメディア非対応の機器があるほか、3層以上のBDXLは対応機器が必要となる)。

  1. カートリッジ入りメディアを含む完全対応
  2. カートリッジなしメディアのみ対応
  3. 再生のみ対応
  4. 完全に非対応

の機器があり、同じメーカーでも製品によって対応状況が異なる場合もある。また自社開発を打ち切ってOEM供給に切り替えた結果、自社開発時代とOEM供給移行後とで対応状況が変わる場合もある。BDレコーダーに移行後もDVDレコーダー時代の状況をそのまま引きずっている場合も多い。

基本的にはDVD-R・DVD-RWは大多数のレコーダーで録画・再生が可能。ただしDVD-RWはDVD-RAMに比べ書き換え可能回数が少なく、録画・消去を繰り返すと劣化して比較的短期間で使用不可能になるおそれがある。

DVD+R・DVD+RWはソニーのレコーダー(現在はBlu-ray機のみ)のみ録画に対応している。再生は他社のレコーダー・プレーヤーでも対応している場合がある。

DVD-R・DVD-RW・DVD-RAM・DVD+R・DVD+RW(DVD-R DL・DVD+R DL)のいずれにも書き込み可能なDVDレコーダーは、かつてパイオニアに対応機種が存在したが、2010年現在BDレコーダーも含めてどのメーカーからも発売されていない。-RAM陣営のメーカーは現在-RWにも対応している一方で、-RW陣営のメーカーは-RAM敵視政策を変えておらず、ほとんどが再生のみの対応である。各社の対応状況は主なメーカーと各社主力製品を参照。

DVDレコーダーの形態と機能

形態の違いによる分類

技術の革新や投入時期による製品の特徴などを記す。

DVD単体レコーダー

記録型DVDに直接録画する。初期は全てDVD単体だった。2003年ころからHDD搭載機に取って代わられ、2006年に生産終了した。

HDD+DVDレコーダー

PCと同様、ファイルのやり取りが容易なDVD-RAMの性質から東芝松下電器産業が商品開発で先行し低価格単体機投入とハイブリッド機の強化により、当時の-RAMと-RWの規格シェアが逆転した。

さらに1年遅れて-RW陣営のパイオニアもハイブリッド機をリリースするが機能面で-RAM陣営に遠く及ばず、-RAMハイブリッドに性能的に追いつくのにさらに1年費やすことになった。その後、HDDの製造コストの低下や大容量化、さらにその信頼性も家電製品として耐えうるものになってきたためHDD搭載型が一般的になりDVDは録画された映像の長期保存、持ち出し等に使用することが多くなった。

複数の記録装置を搭載した機器をハイブリッドレコーダーと呼ぶが、多くの場合はHDD+DVDレコーダーのことを指す。また単に「DVDレコーダー」と言ってもHDD+DVDレコーダーのことを指す場合がほとんどである。

HDDの搭載は家庭のテレビ視聴・録画スタイルに革命をもたらした。以下のような機能はHDD搭載機種ならではの特長である。

  • 録画しながら別の番組を再生する
  • 録画しながら少し前のシーンに戻って再生する(タイムシフト再生)
  • タイムシフト再生しながら早送りして現在の放送に追いつく(追っかけ再生)
  • 電子番組ガイド(EPG)をキーワード検索し、ユーザーの嗜好に合いそうな番組を自動的に録画する(おまかせ録画)
  • HDDに録画し、編集(CM削除、番組分割、番組結合、チャプター作成、プレイリスト作成など)をしてからDVDへのダビングが可能

※タイムシフト再生・追っかけ再生はDVD単体レコーダーでも可能な機種がある。一方、最近の機種では操作の簡略化と録画予約への特化からタイムシフト関連機能が廃されている物が多い。

HDDからDVDへのコピー(ダビングと呼ぶ場合が多い)はそのままの品質でコピーする場合もあるが、ディスクの容量に合わせて再エンコードを行う機能を持つものが多い。機種によっては再エンコードダビング中は録画などの操作を受け付けないことがある。

2003年12月にソニーPSXを発売したが不人気で、在庫を捌くために他社製品に比べ圧倒的な低価格販売に切り換えた。そこから各社も販売価格を下げて対抗したがソニーを含め各社とも低価格化に対するコスト削減が追いつかず、メーカー側は全く儲けにならないという事態になる。特にDVDレコーダー事業が中核のパイオニアは企業規模を考えると価格競争に強いという訳にはいかず経営上深刻な危機に陥り、ついに2006年6月にはメディア各社が「パイオニアは自社でのDVD機器開発中止に追い込まれた」と報じた。しかしパイオニアはこの時点では報道を否定し、その後DVDレコーダーの新商品を発売したものの後継機種が発売されないまま既存モデルが相次いで生産終了している。 HDDの容量はどんどん大きくなる傾向にあったが、2006年頃に飽和状態に達した。2007年現在の日本市場では200~600GBモデルが一般的であり、1TBモデルも登場している。

2006年後半ころから、HDDの大容量化や倍速の進化、操作の簡略化などを目的にDVDメディアへの直接録画が不可能なモデルも出始めた。以下に該当機種を記載する。なおソニーの該当機種はすべてBDドライブ搭載モデルであり、BDへは直接録画可能となっている。

  • パナソニック:DMR-XP10/XP11/XW30/XW31/XW50/XW51/XP20V/XP21V/XW40V/XW41V
  • シャープ:DV-AC72/AC75/ACW72/ACW72/ACW75/ACW80・BD-HDW15/20
  • ソニー:BDZ-T50/T70/L70/X90

Wチューナー搭載機

HDD搭載によって多数の番組を録画するのが手軽になり、時間帯が重なる裏番組も同時に録画したいという需要が増えた。2004年ころから各メーカーがアナログダブルチューナー搭載機を発売し、価格帯も手の届きやすいものになった。

デジタルチューナー搭載機(後述)は一部を除き全てアナログチューナーも搭載しているため、デジタル/アナログのW録画が可能なモデルも多い。さらにシャープ日立製作所は早くからダブルデジタルチューナー搭載機を発売し、後者はBSデジタル放送や110度CS放送の同時録画も可能であることからやや高価ながらもこの機能を重視する消費者からの支持を増やし他メーカーも追随した。

VHS一体型・DV一体型

ビデオデッキ一体型のDVDレコーダーや、ビデオデッキ・DVDドライブ・HDDの3つを1つのボディに搭載した3in1レコーダーも各社が生産している。HDD・DVD・VHSそれぞれの間で双方向、計6方向の6WAYダビングがワンタッチで行え1台でVHSテープからHDDに録画して必要な部分だけをDVDに記録することも可能。またダビングしながらの録画や2チャンネル同時記録(Wエンコーダ/チューナー搭載の場合)など、多彩な利便性を実現した。そして2005年からは、デジタルチューナー搭載(後述)の3in1機も登場している。

劣化したVHSテープで起こりがちな画面の揺れ・ぶれを軽減するタイムベースコレクタ(TBC)やデジタルノイズリダクション(DNR)、輪郭補正回路など各種の画質向上機能が一般的に搭載され、また映像出力をDVDとの共用にする事で従来からVHSデッキに搭載されているS端子コンポジット端子に加えD端子HDMI端子からの出力も可能にし古いVHSテープでも市販DVDソフトに迫る鮮明な画像で楽しめることを謳っている。

しかし、録画可能な方式はあくまでノーマルVHSのみ。S-VHS日本ビクター(現:JVCケンウッド)製の業務用製品で録画・再生に対応している(ただしHDDなし)が民生用のVHS一体型はすべてノーマルVHSであり、S-VHSの簡易再生(SQPB)ができる程度である。また、D-VHSデッキとの一体型はこれまでどのメーカーからも発売されていない。

2007年1月23日には、日本ビクターからDVデッキ一体型の新モデル「SR-DVM700」が発表された。DVDレコーダーでDVデッキとの一体型を実現しているのは2007年現在、日本ビクターのみである。DV方式のカムコーダで撮影したテープをパソコンよりももっと手軽にノンリニア編集し、簡単にDVD-Videoを作成できるという。DVデッキについては、DVCAMの再生にも対応している。このモデルは業務用で主に企業学校医療機関結婚式場映像制作趣味とするハイエンドユーザーなどを対象としている。製品のコンセプトはあくまで映像制作なので、地デジなどのテレビチューナーは非搭載である。

搭載チューナーによる分類

アナログチューナー搭載レコーダー

従来からのアナログチューナーのみを搭載するモデル。2011年以降はデジタルチューナーの接続が必要となる。機種によっては現在のハイビジョンレコーダーでは搭載されていないBSアナログチューナーも搭載。ハイビジョンレコーダーが本格的に展開された2005年末ごろから市場は徐々に縮小。デジタル放送への移行まで5年を切った2006年末ごろから各社が生産を順次終了させている。

さらにDVDプレーヤー単体(再生専用チューナーレス)機もSONYパイオニア東芝などを除く[1][2]殆どの日本国内大手電機メーカーは2006年頃までに生産を終了し、現在は再生専用(チューナーレス)BDプレーヤー単体機やポータブルBD/DVDプレーヤーがわずかに生産されているのみである。

デジタルチューナー搭載レコーダー(ハイビジョンレコーダー)

2003年12月に地上デジタルテレビジョン放送が始まり、放送地域が拡大していくと共に地上/BS/CSデジタルチューナーを搭載したDVDレコーダーが普及を続けている。これをハイビジョンレコーダーと呼ぶ。ただしハイビジョンを録画できる録画機器はDVDレコーダーには限らず、HDDのみへの録画機器(HDDレコーダー)もハイビジョン対応機はハイビジョンレコーダーに含まれる。DVD録画機能を持つ「ハイビジョンレコーダー」は元々、DVDにハイビジョンを記録できるレコーダーという意味で使われ始めたわけではない。ただし2007年以降、AVCREC方式やHD Rec方式を採用することでDVDにハイビジョンを記録できる「ハイビジョンレコーダー」(松下電器産業の「ハイビジョンディーガ」や東芝の「VARDIA」など)も発売された(後述)。またそれを機に、従来は不可能だったカムコーダで撮影されたAVCHD記録のDVDも再生可能になった。

HDDのみのレコーダーも含めたハイビジョンレコーダーはデジタル放送が最初からMPEG-2 TSのファイルとして放送波に載せられて送られてくることから、アナログ放送レコーダーが録画機側でMPEG-2(MPEG-2 PS)に変換して記録するのと異なりMPEG-2 TSをそのまま記録する方式を採っている。従ってDR/TSモードを利用することによってHDDには全てのデジタル放送を放送局から送出されたままの状態で劣化なく記録できる。

しかし、ハイビジョンをDVDメディアに記録する際はDVDビデオ(DVD-Video)規格はMPEG-2 PS以外の記録には対応していない(MPEG-2 TSやMPEG-2 PSによる圧縮では容量が不足する)ためアナログ放送程度の解像度へのダウンコンバートを余儀なくされる。ただし、メーカーの製品カタログではそうしたDVDであってもHDMIで接続しアップコンバートすることでハイビジョンで放送された元の映像により近い画質での再生が可能とされている。2007年11月以降には、パナソニックや東芝からDVDメディアにハイビジョン記録できる製品が登場した(後述、「MPEG-4 AVCエンコーダの搭載」参照)。

デジタル放送とアナログ放送では音声の仕組みが若干異なることによる煩雑なコンバート処理を避けるために、2006年初頭現在は放送波やMPEG-2 TSの録画データからは一つの音声ストリームしか取り出せずステレオ二ヶ国語放送などを二ヶ国語としてコンバート出来ない製品がほとんどである。 デジタル放送で行なわれている二ヶ国語放送のうち、第一音声信号以外を用いて行なわれている二ヶ国語放送の場合は二ヶ国語の同時録画が出来ない。つまり、内蔵チューナー受信のデジタル放送のデュアルステレオ番組をDVDに録画できない。(外部入力に別チューナーを接続して録画する場合はもともと不可能である)

以上のことにより、例えば、デジタル地上波放送の開始以後のサイマル放送が行なわれている放送局において、二ヶ国語番組がアナログ放送では副音声付放送、デジタル放送ではデュアルステレオで行なわれている場合には、アナログ放送受信の場合は二ヶ国語DVD録画が可能で、デジタル放送受信の場合は二ヶ国語のDVD録画が出来ない、という現象が発生している。なお、アナログ放送とデジタル放送の双方が副音声付放送(デジタル放送では二重音声放送と呼ばれる)で行なわれている放送局の場合は、両方とも二ヶ国語DVD録画が可能になる。

ハイビジョンDVDレコーダーは第3世代光ディスク普及までの過渡的な製品ではあったが、DVDレコーダー自体の普及が成熟・収束しきっていない現状もあり、高付加価値・高価格で2006 - 2007年の各社の主力製品になっていた。なお現時点で録画データをHD画質でをムーブ出来るのはi.LINK接続したD-VHS機とBlu-ray Disc/HD DVDレコーダー、一部のDVDレコーダー、HDDレコーダーだけである。

ハイビジョンレコーダーには、既存のDVD-Videoの再生映像をハイビジョン映像信号にアップコンバート(ただし走査線を補完するなどして若干の補正を加えた信号フォーマットの変換なので、SD映像がHD映像に変わるわけではない)する機能を持つものも多い。D端子またはHDMI端子を搭載したハイビジョン対応テレビまたはモニター(ハイビジョンブラウン管テレビ薄型テレビなど)と組み合わせればより高画質で鑑賞でき、またその機能をパソコンなどで行なう映像編集で活用すればSDで撮影された過去の貴重な映像資産をHD素材として用いることも可能。ただしコピーガードが施されている市販DVDは著作権保護のため、ハイビジョン画質での出力についてはHDCPで暗号化された出力しか許可されていない(これに対して一時期は消費者のみならずメーカーからも批判的な声が大きく、三菱電機はHDMI搭載機種を発売しない方針を取っていた)。

ハイビジョン放送を快適に扱うには大容量のHDDが必要でHDD容量アップの需要を加速させたが、2005年に1TB(1000GB)に到達してからは一段落した感がある。これには後述するMPEG-4 AVCエンコーダの搭載で実質的な録画可能時間が長くなったことも関係がある。

BS 110度CS 地上デジタル共用B-CASカード

2004年4月より始まったコピー制御(B-CASカードの使用)によりデジタル放送は自由にコピーすることができず、HDDからDVDに移すとHDDにある元の映像は消去されてしまう。機器のエラーなどにより移動に失敗すると元の映像まで失われてしまうといった苦情がメーカーに多く寄せられ、総務省がコピー制御の是非を2004年9月以降審議している。DVDレコーダーとコピー制御の関係について、詳しくは後述。

アナログテレビ放送終了まで5年を切った2006年末期からデジタルチューナー非搭載機の生産を打ち切るメーカーが相次ぎ2007年末までに東芝を最後に大手メーカーの製品は全機種生産終了し、BSアナログチューナーは録画機から廃止された。2009年夏にはパナソニックが「DMR-XE1」、「DMR-XE100」を「地上アナログチューナー廃止DVDレコーダー第一号」として発売していた。

但し2010年当時発売中の最新モデルでも地上アナログチューナー廃止には至っていなかった。理由は「地デジ中継局整備が2010年時点で未完了のため」であった。

その他の機能

MPEG-4 AVCエンコーダの搭載(ハイビジョンでDVDに記録する機能)

2007年11月発売の松下電器産業のレコーダー6機種では、デジタル放送をハイビジョンのままMPEG-4 AVC圧縮しDVDメディアに最長100分(片面1層の場合)記録できる機能を搭載する[3]。本当の意味でハイビジョン記録可能なDVDレコーダーが実現した。一方、同時期にBDレコーダーを発売したソニーはレコーダー製品を全てBDにシフトすることを表明しDVDへのハイビジョン記録という過渡的な機能を搭載していない。詳細はDIGABDZを参照。

東芝のHD DVDレコーダーのRD-A301(2007年12月発売)にも、同じくDVDにハイビジョン記録する機能がある。MPEG-4 AVCで圧縮した映像のほか、DRモード(MPEG-2 TS)をそのままDVDに書き込むこともできる。

ただし、これらの機能(DVDにハイビジョンを記録する機能)で記録されたDVDには既存のDVD-VideoフォーマットやDVD-VRフォーマットとの互換性が全くない。松下はBlu-ray Disc Associationが策定した「AVCREC」規格を採用し、東芝はDVDフォーラムが策定した「HD Rec」規格を採用する。どちらも既存のDVDプレーヤー・レコーダー等では再生できない。そのため今後BD/HD DVDが低価格化し、過半数が普及した後のサポートが懸念されている。

なお、AVCRECHD Recのフォーマットによりハイビジョンを記録したDVDに従来のDVDビデオ機器での使用に互換性が全く無いのは、意図的にそうしたわけではない。従来のDVDビデオのアプリケーションフォーマットの規格にはハイビジョン映像の記録や再生を想定した技術が全く含まれていない(DVDのアプリケーションフォーマットを策定した当時はハイビジョン映像規格は存在しなかった)ため、機器側もハイビジョンの再生や記録を前提にした設計をしていない。そのため、どんな方法でハイビジョンを記録しても従来の規格を基に設計された機器での再生や記録は不可能となっている。「ハイビジョンを記録したDVD」とは、メーカーや規格を問わずDVDの器を利用して全く異なったアプリケーションフォーマットにより記録された光ディスクのことを意味する。

2層DVDメディアへの対応

2005年にソニーがDVD+R DL対応レコーダーを、パイオニアがDVD-R DL対応レコーダーを発売した。東芝・松下など他のメーカーも上位機種でDVD-R DLに対応する。

DVD-R DLに関しては最初期はビデオモードのみの対応で、2006年から各社からVRモード対応機種がリリースされた(CPRM対応DVD-R DLメディアは2005年から発売されていた)。

1層メディアの2倍近い記録容量があるが、メディアの価格が高いことが普及の足かせとなっている。ドライブ自体のコストは1層専用と大差がないためレコーダー側の採用は拡大したものの2007年9月現在では第3世代光ディスクBlu-ray DiscHD DVD)よりもGB当たりの単価が高いほどであり、このまま1層DVDとの間で埋もれた規格となる可能性もある。

メモリーカード等への対応

松下の「DIGA」シリーズの多くや日立の一部モデルはSDメモリーカードスロットを備え、カードに記録された静止画を見ることやカードとHDDの間で静止画のダビングを行うことができる。またその中の一部機種に限られるが、HDDに記録されたテレビ番組などの動画をMPEG-4形式でカードにダビングすることが可能な機種がある(最初からHDDにMPEG-4で録画することも、ダビング時にMPEG-4に変換することも可能。ただし、カードに直接録画はできない)。該当機種では、レコーダーで録画した番組をSDメモリーカード対応の携帯電話や同社カーナビゲーションシステム「Strada」で視聴するといったこともできる。

またソニーは、PlayStation Portableと連携して録画した映像を持ち出す機能を備えた製品を発売した(現在はDVDレコーダーとしては生産完了。BDレコーダーで同等の機能を持った機種が発売されている)。

松下電器産業のSDメモリーカードスロット搭載モデル一覧
  • DMR-E100H/E200H/E500H(全機種生産終了)

以下はSD動画非対応機種(XW**/***シリーズは音楽転送機能搭載)

  • DMR-E60/E90H/E220H/E330H/EH50/EH53/EH60/EH66/EH70V/EH73V/EH75V
  • DMR-EX100/EX150/EX300/EX350/EX550/EX200V/EX250V
  • DMR-XP10/XP11/XP20V/XP21V/XW30/XW31/XW50/XW51/XW40V/XW41V
  • DMR-XP12/XP22V/XW100/XW120/XW300/XW320/XW200V(AVCHD対応)
ソニーのメモリースティックスロット搭載モデル一覧
  • RDZ-D70/D90
  • DESR-5000/5100/5500/5700/7000/7100/7500/7700(PSX

以下はPSP連携が可能な機種一覧(全てスロット非搭載)

  • RDR-AX75/RDZ-D77A/RDZ-D97A/RDZ-D900A/BDZ-V9/BDZ-A70/BDZ-X90

家電リンク機能の搭載

2006年に松下電器産業(現:パナソニック)がビエラリンク、やや遅れてシャープがAQUOSファミリンク対応製品を発売した。どちらもHDMIケーブルを通して自社の薄型テレビ・DVDレコーダー・AVアンプなどを連携させる機能で1つのリモコンで操作したり、レコーダーの電源オンと共にテレビの入力を切り替えるといったことが可能になり操作性が大幅に向上した。これによりパナソニックとシャープはDVDレコーダーのシェアを大幅に伸ばした。メーカー側には薄型テレビの価格下落を補うメリットもある。

そしてこれに呼応するかのように他社も同等のリンク機能(三菱電機(リアリンク)、東芝(レグザリンク)、ソニー(ブラビアリンク)、パイオニア(KURO LINK(旧名・HDMIコントロール))をそれぞれ発表した。いずれもHDMI CEC規格を拡張したもので、一部で互換性が保たれている。

薄型テレビと同様の機能

ネットワーク接続機能
薄型テレビと同様に、LAN端子を備えデジタルチューナーの双方向通信や有料番組購入、DLNAなどによる他の機器と連携やスカパー等の外部チューナーとの連携、さらにはアクトビラYouTubeなどの動画共有サービスSkypeによるテレビ電話に対応する機種が発売されている。
データ放送
デジタルチューナー搭載機では、薄型テレビ等と同様に、BMLによるデジタル放送のデータ放送を表示できるものが殆どである。
3D対応
時期的にDVDレコーダーでは対応機種が少なく、各大手メーカーともBDレコーダー/BDプレーヤーでの対応となっている。

  1. ^ http://www.sony.jp/dvd-player/ DVDプレーヤー/ポータブルDVDプレーヤー|ソニー
  2. ^ http://pioneer.jp/dvdld/player/ DVDプレーヤー:パイオニア株式会社
  3. ^ HDD搭載 ハイビジョンブルーレイディスク/DVDレコーダー「DIGA(ディーガ)」6機種を発売 - Panasonic
  4. ^ [1][2]
  5. ^ a b c d e f g 2007年3月3日配信 <DVDレコーダー>普及進まず 操作の難しさなどで敬遠か - 毎日新聞
  6. ^ a b c 民生用電子機器国内出荷統計 2006年12月国内出荷実績 - JEITA(1月からの累計を参照)
  7. ^ 民生用電子機器国内出荷統計 2004年12月国内出荷実績 - JEITA(1月からの累計を参照)
  8. ^ 民生用電子機器国内出荷統計 2005年12月国内出荷実績 - JEITA(1月からの累計を参照)
  9. ^ 民生用電子機器国内出荷統計 2007年12月国内出荷実績 - JEITA(1月からの累計を参照)
  10. ^ 民生用電子機器国内出荷統計 2008年12月国内出荷実績 - JEITA(1月からの累計を参照)
  11. ^ a b 山崎秀夫『スマートテレビで何が変わるか』翔泳社、2011年、33頁
  12. ^ 山崎秀夫『スマートテレビで何が変わるか』翔泳社、2011年、34頁
  13. ^ 山崎秀夫『スマートテレビで何が変わるか』翔泳社、2011年、39頁
  14. ^ 山崎秀夫『スマートテレビで何が変わるか』翔泳社、2011年、40頁
  15. ^ “ソニー、MPEG-4 AVC録画対応の新BDレコーダ4モデル”. AV Watch. (2007年9月12日). https://av.watch.impress.co.jp/docs/20070912/sony1.htm 2019年2月12日閲覧。 
  16. ^ “VHSビデオ機生産に幕 国内勢最後の船井電機、7月末で”. 日本経済新聞. (2016年7月14日). https://www.nikkei.com/article/DGXLZO04817850T10C16A7TI1000/ 2019年2月12日閲覧。 






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